白4







「最近、帰ってくるんだね」




目を開くと、ティファが笑っていた



ここ最近はずっとルーファウスとは連絡を取っていない



とっくに退院して、体調も戻っていると聞いた



電話もメールも来ない




あれからセフィロスは一度も来ていない




「…ティファ、今日は仕事はもう終わってるから
買い物あるなら付き合うぞ」





ティファは嬉しそうにありがとう!と言ってすぐに準備を始める



何かあったの?

別れたの?


聞けないまま、ティファはクラウドを見る



クラウドは微かに笑ってバイクのキーを持った








街を歩いては

近くに来てるのではないかとあたりを見回す


その姿にティファは苦笑する



「クラウド、これ持って」


「ああ」


「ねえクラウド」


「ん?」


「…誰か、探してる?」




ルーファウスを頭の中から追い出すように

クラウドは首を横に振る


そのしかめっ面に、ティファは目を伏せた




「嘘。心ここにあらず、ってカンジだよ?」







ベンチに座り、飲み物を飲みながらティファは満足そうに両手を伸ばす



「いっぱい買えた。ありがとうクラウド」


「ああ」


「クラウド、調子悪そうだよ?大丈夫?」



クラウドの額に触れ、平熱を確認する



「おー、クラウド」



少し遠くで聞こえた声に

クラウドはハッと顔を上げて辺りを見回す



レノと目が合った




「レノ」



ティファが呟くと

クラウドはティファの前に出て、レノを迎えた




「ティファ、荷物は置いておいていいから
少し自分のもの見て来い」



クラウドの様子に、ティファは頷いて人ごみにまぎれて行った








「なんでティファ追い出すんだよ」


「なんとなく…」



そこのベンチに座るレノの前に立ち

クラウドは腕組をする



「最近見ないけど、忙しいのか?」



ケロっと言うレノに

クラウドは、もしかしたら知らないんじゃないかと考える



「普通だ」


「ケンカでもしたのか?社長と」



言葉を詰まらせて、クラウドはレノの隣に座った



「もう、終わったんだ」



一瞬レノが瞬きを繰り返し、ああ、と呟く



「…元気か?アイツ」



「社長?」


「ああ」


「うーーん…普通」


「そうか」


「…なあクラウド、ティファと付き合ってるのか?」


「違う、そうじゃない」


「なんで別れたんだ?」



「…セフィロスの影が、消えないんだ」



レノは顔をしかめて少し考えて

ふっと笑った



「社長にしたらセフィロスは死んでるんだ。
影が付きまとって当然だろ」


「でも」


「だってお前も、死んだ大事なやつ、今でも大事だろ?」




頭の中に駆け巡る

大事な人たち



「社長にとって、恋人って枠を超えた存在だったんだと思う。セフィロス」



「でも…」



「なんだよ」



クラウドは頭をかいてため息をつく



わかってるけど、許せなかった


どうして自分はこんなに、器が狭いんだろう





「でも、あいつにとってオレって存在はそこまでじゃない。
オレは結局セフィロスが帰ってきたら・・・」


「社長が言うセフィロスが、帰って来るわけねーだろ」



レノが笑って、自分が来た道を指さした




「社長いるけど、会うか?」







































「レノとの話はもういいの?」



荷物をしまってバイクにまたがる



「ああ」



ティファも後ろに乗り



クラウドはぼんやりと、ルーファウスを思い出す




「…ルーファウスと、会ったの?」




笑いながら、クラウドは首を横に振った




「帰るぞ」


「うん」


































ティファを家において、おれはまたあの場所に戻った


勿論その場にルーファウスも、レノもいるはずはなく



ただ、知らない人の群集











また、日常に戻る




どこか寂しいのはきっと

すぐに埋まる穴












ルーファウスを頭から振り払うように、仕事をこなす

暇な時間は作らないように




ふと立ち止まったのは、フェンリルの目の前


急に思い出したのは、俺の後ろに乗るルーファウス



あの時病院で、ルーファウスは何を思っただろう



ルーファウスは同じように、俺を思っているか?


まさかセフィロスとなんて、ないよな?






毎日のように会っていた時は

会ってない時間が長く感じていた



終わりだと告げたあと


何日も、時間が経つのが遅くて


会いたい、顔が見たい、声が聞きたいと






はっきりとまだ覚えてる


呆れた顔も


悲しそうな顔も


笑った顔も




髪も声も、指や手や、身体も





後悔はある





それでも俺は、許せなかった


ルーファウスの中のセフィロスの存在が










なあルーファウス、今なにしてる?


































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