癒しの場所・4













けたたましいチャイムに、ルーファウスはどりきとした



「まさかな」



来客を確認するための防犯カメラに写っていたのは紛れもなく、セフィロス



久しぶりに目にするその姿に

ルーファウスは胸が痛んだ

そして笑顔がこぼれる



「まだ気持ち、整理ついてないんだけどな」



「ルーファウス、話がある!」



インターフォン越しにルーファウスは「何だ」と質問をする



「言いたいことがたまっていた。最後に言わせろ」


「やれやれ。何を言われるのかね」



ルーファウスは震える手で、施錠を解除した




家に上がり込んだセフィロスに、ルーファウスは苦笑した


ああ、セフィロスだ、と。




傷の無いルーファウスの顔は本当に綺麗だ、とセフィロスは一瞬見惚れる



「調子は?」



ルーファウスの質問にセフィロスは深呼吸をして、笑った



「最悪だ」



ルーファウスは苦笑したまま、なに?と、用件を聞く



「会いたかった」



自分から素直に出た言葉に、セフィロスは穏やかな顔をした



言えた



ルーファウスは逆に、顔をしかめて唇を噛んだ



「言いたいことを、言ったらどうだ」



なんとも言えない顔をするセフィロスに、ルーファウスは首を傾げる



「ルーファウス、気分は、どうだ?」



泣き出しそうなセフィロスの顔に、ルーファウスは
何かあったのかと心配そうな表情に変わった



泣き出しそうな表情のまま、セフィロスがルーファウスに手を伸ばすと
一瞬だけルーファウスの肩がすくんだ


手を止めてルーファウスを見ていると、ルーファウスは首を横に振った



「セフィロス、なにかあったのか?」



そのまま腕をのばし、ルーファウスを強く抱き締めると

ルーファウスは一瞬にして硬直した



「ルーファウス、抱きついてみろ」



視線以外動かないルーファウスの手を無理矢理自分の背中に回す

ルーファウスは震えながら、背中に抱きついた



「殴られるのが怖くないお前が、何故震えているんだ?俺が怖いか?」



ルーファウスはふるふると首を横に振る



「キミが…何をしたいのかがわからない」



ルーファウスがセフィロスを見上げると


セフィロスは額と額を合わせた


そしてキスをする




だめだ、泣きそうだ




ルーファウスはセフィロスから手を離し、自分の腕を強く引っ掻いた



唇を離すと、セフィロスが泣いているのに気付いて

ルーファウスはその涙の筋を撫でた


振り払われることは、ない



「どうした。セフィロス」


「今更かもしれないが、言いたかった。ルーファウス、お前がずっと、好きだった」



ルーファウスはセフィロスの頬を叩き、睨み上げる



「馬鹿な事を」




セフィロスは寂しそうに微笑んで、すまなかった、と呟く


ルーファウスは自分が叩いたセフィロスの頬を撫でた


セフィロスはそのルーファウスの手を握り、口付ける



「お前が好きだから、触れられると涙が出たんだ。
叶わない思いを、否定したくて振り払い続けた。
離れてから、否定しきれなかったと気付いた」



ルーファウスはいまだに泣いているセフィロスを座らせて頭を撫でた



「お前と離れたくない」



ルーファウスは自分の腰に抱きつき、恥ずかしがりもせずに泣くセフィロスに笑いかけた



「好きだルーファウス」

「うん」

「好きだ」



ルーファウスはそっとセフィロスの手を取り払うと
手を握りながらしゃがみ込んでセフィロスを見上げた



「で、キミは好きな人にでも玉砕してきたのか?」


「クリスマスの夜、お前にな」



ルーファウスは笑顔を崩さずに必死に頭を回転させる


本気で私が好きだと?



「お前の好きなやつって、俺の知ってる奴か?」



セフィロスの言葉にルーファウスは再び考える



「…ああ、そうだな…一応」


「そいつは、お前を好きなのか?」


「いや、それは…」



からかわれているのだろうか

表情も涙も仕草も、真剣そのもの



でも、本当だとは思えない



「セフィロス、キミはふざけているのか?それとも本気なのか?」



セフィロスは優しく笑って、ルーファウスの頬をなでた



「お前は本当に、なんでそんなに素直に信じてくれないんだ」





「まさか、ずっと両思いだったなんてな。バカみたいだ」



セフィロスは目を大きく開き、苦笑するルーファウスを見る

その笑顔に、セフィロスは顔を歪めて泣きながら、ルーファウスの肩に額を乗せた



「優しくできなくて、すまん」



ルーファウスはセフィロスを抱き締め、背中を優しく叩く



「これから優しくなるか?」

「なる」

「手を払わない?」

「払わない」

「じゃあ、君の恋人になってあげようか」

「そうしてくれ。俺もお前のものになる」





セフィロスは笑うルーファウスを



笑いながら抱き締めた





最初から素直に

ぶつかっていればよかったんだ





随分と遠回りをしてしまったものだ




















ハッピーエンドにしてみた

ルーはいつでもセフィの癒しの場所です。個人的には。

後味悪くてもよかったよねー。


ルーファウスを殴るセフィロスは書いていて楽しかったデス。
すんまそん。