優しい暴力 |
ルーファウスと変わらない年の兵士は五万と居る 殺しをする、そんな姿を見ると どうしてもルーファウスを思い出さずにはいられない ルーファウスと変わらない年齢だろう人たちを殺すときも同じ そういえばルーファウスの戦闘能力はどの程度なのだろう 綺麗な手をしているから まず肉弾戦は無理だな 「副社長がお出掛けだとさ」 そう聞く度に、護衛は誰かと考える いっそ副社長直属にしてくれと頼みたい気分だ あいつが誰かと二人きりに? 考えるだけで憂鬱だ 過去に解雇を恐れずにルーファウスを抱こうとした運転手がいたらしい 本人は話したがらず、どこまでされたかはわからないが その運転手は車内で死んでいたという 誘拐されかけたこともあった 偶然、俺が助けた事もあった そういう事件は度々あった 心配がない筈が無い 「続けて」 耳慣れた声が聞こえた その声の方を向くと いつの間にか稽古を見学にきていたルーファウス、副社長 見晴らしのいい、高い場所から兵士を眺める その存在感に兵士達に緊張が走る たまに現われては、無能だと、兵士何人かを解雇するルーファウスは 兵士達にとって恐怖の存在だった 大抵切られるのは少し慣れてきた兵士で、 ルーファウス曰く前に見た時使えないと思い、また見た時もそう感じたら切るそうだ 一部の兵士はルーファウスをまるで死神扱いだ 「副社長」 廊下を歩くルーファウスを呼び止めると 優雅に振り向く 「何だ」 いちいち綺麗だ 「お話が」 「…では私の部屋に来い」 人通りの多い廊下からルーファウスの部屋に招かれ 中に入ると俺は鍵をしめた 「今日もお気に召さない者がいましたか?」 「今日は優秀だ。ひとりだけ」 「ひとりくらいなら見逃してくれ」 「まあいいけど、次はないぞ」 俺としてはできるだけ兵士達を守ってやりたいのだが たまにこいつなら仕方ないという奴もいる 「さて来週出張の予定があるのだが、護衛を一人、そうだな君がいい」 「仰せの通りに」 ははっと笑ってルーファウスはデスクに向かった 「ルーファウス、今日は仕事遅いか?」 書類に優雅にペンを走らせる 「どうかしたか?」 デスクの前まで行き、俺はその指先を見つめる 「俺が明日休みなのは知っているか?」 「ああ、知っている」 ルーファウスがぴたりと手を止めて 俺を見上げた 「そして明日はキミの誕生日だという事も知っている。 もし予定が無いのなら今晩食べにでも行くか?」 おごるぞ、と笑うルーファウス 俺は思い切り抱きしめた 「おいおいおい英雄コラセフィロス!離せ!」 慌てて抵抗するその力の無さも可愛いもんだ 「ルーファウス、キスしていいか?」 思い切り鼻をつままれ、俺は手を離した 「馬鹿者が」 衣服の乱れを直しながらルーファウスはまた書類にペンを走らせる 「で、副社長さん、今日は遅いのか?」 「いいや、今日は早いよ英雄くん」 ドアをノックする音が聞こえ「ツォンです」と声がした ルーファウスが入れ、と一言言うと ツォンの戸惑うような声が聞こえてきた 「…あの、鍵かかってませんか?」 ルーファウスが俺を見る 俺が「あ」と言葉を漏らすとルーファウスが俺にペンを投げつけた 「開けて来い」 「はい…」 まずペンを拾い上げ、ルーファウスに放り投げ それから鍵を開けると扉が開き、ツォンが礼をして入ってくる そして俺を見て驚いた 「な、なぜセフィロスが?」 「ああ…気にするな」 ルーファウスの言葉にツォンが困惑した表情をルーファウスに向けた 「はあ…」 怪訝そうな顔で俺を睨むツォンを見る 「…ルーファウス様、お願いしていたデータをいただきにきました」 「ああこれだ」 「ありがとうございます。急かしてしまい申し訳ございません」 「いいや」 ルーファウスがツォンにデータの入ったチップを渡すと ツォンが頭を下げる 「では、明日はゆっくりお体をお休めください」 ツォンの言葉に ルーファウスが額を押さえてデスクに肘を付いた 「…ルーファウス…お前明日休みだったのか…」 「セフィロス、副社長になんて口の聞き方を…」 ルーファウスが俺の顔を見るなり 疲れ切った顔でデスクに突っ伏した 「…ツォン、気にするな、こいつは特殊なんだ」 「はあ…」 ツォンが下がった後、俺はルーファウスの目の前に立った 「明日休みか、今晩はゆっくり出来るか?」 俺の目を見て、頬杖をついているルーファウスがため息をついた 「ああ、どこでも連れて行ってやる。いかがわしいところ以外なら」 「俺の家かお前の家」 ルーファウスは両手で顔を覆ってデスクに頭をぶつけた 「もうヤダ」 「お帰りですか?」 退勤したルーファウスに声をかけると ルーファウスが苦笑して俺に何かを放り投げた 受け取ったものを見ると、それはルーファウスの車の鍵 「好きな所へ連れていっていいぞ。好きなものを買ってやる」 俺が女なら、市役所で婚姻届をもらってくるトコロだ ルーファウスを抱きしめようとすると ルーファウスはさっと距離を開けて歩き出した 「他の社員もいるんだが」 「俺は気にしない」 「殴るぞ」 俺はルーファウスを見て微笑むと その手を掴んで歩き出した 「行くぞルーファウス」 その声はフロアに響き渡り、他の社員達が振り返る 「おいコラ!」 慌てるルーファウスをよそに 俺は歩き出す 気持ちがいい さすがにルーファウスの車は最高級車 子供が乗ってはいけないような車だ 目立つことこの上ないデカい最高級車を俺が運転する 助手席にはルーファウス 「いつも自分で運転してるのか?」 「自分で運転するのはたまにだ」 「いつもは誰が?」 「運転手」 「それって誰だ?特定の人か?」 「大抵タークスだ」 そしてルーファウスが俺を見上げる 「なにが欲しい?」 「お前」 「そんなことばかり言ってると帰るぞ」 「わかったわかった」 「買える物で頼むよ」 ルーファウス関係以外で欲しいもの それは難しい 「随分難しい顔してるな」 ルーファウスが笑う 俺はルーファウスの笑顔が好きだ 「そうだな、お前の写真」 「やっぱり帰る」 「なんでダメなんだ」 「それは売ってないからだ」 「…じゃあ、お前が俺にあげたいと思うものをくれ できれば売っていないものがいい」 ルーファウスは少し悩んだ顔をして うちに来ないか?と言った ルーファウスの家に来るのは二度目 ルーファウスは家に上がるとすぐに地下へ続く扉を開いた 「おお、こんなものがあったとは」 「下には酒がたんまりあるぞ。好きなものを持って来い。 私はワインな。あと、これはプレゼントじゃないから安心しろ」 下に下りると見事に色々な酒が並んでいた その中から迷いながら数本選び 上に戻るとルーファウスが料理をしていた 俺はその姿にしばし見とれていた ルーファウスは振り向いて俺に包丁を突きつけた 「シャワー浴びて来い バスタオルと着替えは用意してある」 「…わ、わかった」 悪くない、いや、いい。 シャワーを浴びながら何故着替えがあるのか考えた ルーファウスの服なんか小さいのは目に見えている じゃあ誰の服だ? ルーファウスならサイズを間違えて買うということも有り得る 何せわりとバカだから 気に入ったものはまとめて購入するらしい だが、サイズを確かめない、とタークスの誰かが言っていた気がする シャワーを済ませ、着替えるとそれはラフだが上品な生地の服 「上がったか、丁度できたところ」 ルーファウスがフライパンの中の物を味見して 小さくうん、というと皿に盛った 愛しいといわずなんと表現できる? 「私は人のために作った事があまり無いから、レアだぞ」 「確かにレアだ」 そう言ってイスに座る とても綺麗な盛り付けは、さすがいいものしか食べてないだけあると思う 「実を言うと味には自信がない」 食べ始めると、それはごく普通の味で 上品な味だとか飛びぬけて旨いとか なにか味が足りないとか、そういうものはない これが俗に言う家庭の味なのかもしれない 少し感動しているところにルーファウスがなんだか貧相な味だ、と笑った 「旨いよ、なんかほっとする」 「そうか?もっと旨く出来る予定だったんだが、悪かったな」 「いいや、毎日食べたい」 「私はイヤだなー」 ルーファウスは自分の料理に納得できないといった顔で苦笑い 「俺には最高に贅沢な食事だ。ありがとう」 ルーファウスが俺の表情を見て、また笑う 「恐縮だ」 「家族と食事をするって、どんな感じだ?」 俺の問いにルーファウスは眉間にしわを寄せる 「さあ、それはわからない。家族だけで食事なんて 私は記憶の中では経験が無いんだ」 悪いことを聞いただろうか、そう思った瞬間 ルーファウスは俺にナイフを向ける 「でも、こうして作って食べるのは楽しいものだな」 次はキミが作ってくれよ、と笑うルーファウスに俺はああ、と頷いた 食事も終わり、ルーファウスがワインを飲みながら俺に近づいてくる 俺は膝に座れと自分の膝を叩くが ルーファウスは苦笑いして俺の隣に座った 「帰るとき言えよ、車を呼んでやるから」 「いい、泊まる」 俺の言葉にルーファウスが噴き出して俺を見上げた 「そうか?じゃあ私はシャワー浴びてくるから好きに…TVでも見てろ」 こんなにあっさり許されるとは思わず 俺は少し固まった テレビを見ていても内容は頭に入らず 俺は音楽番組をバックミュージックに窓の外を眺める これはそうとういい眺め この家に何人足を踏み入れたんだろうか 恋人とか連れ込んだことがあるんだろうか そんな事ばかり考えていると ルーファウスが出てきた 俺はワインを渡すと、ああ、とルーファウスがそれを受け取る 風呂上りのルーファウスをじっと見つめると ルーファウスは髪をかき上げて俺をじっと見つめ返した 「どうした?」 「いや、綺麗だと思って」 ルーファウスがまた苦笑いをしながらワインを飲んだ 「セフィロス、煙草は?」 「イヤじゃないのか?」 「ああ、我慢するな、吸えよ」 そういって灰皿を出す 「なあルーファウス、お前煙草吸わないのに何故灰皿がある?」 「来客用」 そしてルーファウスは俺にジッポを差し出した それはひと目で高価なものだとわかるような代物だが 黒と銀でまとめられていて、まるで俺みたいなジッポだった 「バースデープレゼントだ。 自分で吸わないくせに一目惚れして買ってしまったんだ。 まあ、打っていないものではないが、カッコイイだろう?やる」 俺はルーファウスを強引に抱きしめ、額にキスをすると ルーファウスはあまり抵抗もせずに俺の背中を叩いた 「ありがとうルーファウス」 「苦しい、離せ」 そのジッポで早速煙草を吸うと ルーファウスが笑ってワインを飲んだ 「うん、やっぱり似合うな」 二人でワインを飲みながら、雑談をしていた 0時を回るとルーファウスが時計を見て 俺を見る その目は少し艶っぽい 酔ってるな 「セフィロス、ハッピーバースデー」 笑うルーファウスに近づき、頬を掴んで唇を寄せた ルーファウスの身体は一瞬にして強張り そしてルーファウスから唇を重ねて すぐに離された 「誕生日、だからな」 ニッと笑うルーファウスを見つめる ああ、綺麗だ 「なあルーファウス、ダメか?」 ワインが体中に回る感覚に思考を鈍らせているルーファウスが 難しく考えた顔で俺を見た 「何が?」 そう言ってワインを喉に流し込む 「お前を抱きたいんだ、ルーファウス」 ルーファウスが思い切りワインを吹き出した 「おま、おまえ…なに…」 明らかに動揺するルーファウスにゆっくりと体を寄せ 俺は後退るルーファウスの腕を掴み、抱き寄せて耳から首筋にキスをした 「酔いすぎ!」 「酔ってない」 俺の腕から逃れようと暴れるルーファウスを抱き上げ ベッドに寝かせると、耳や首筋に小さなキスを繰り返す 「ははっ、バカ、くすぐったい」 「もっと」 抱き締めて耳を舐める 「やっ…ちょ、ま、まてセフィ…」 「もう待てない」 首筋に吸い付き、シャツの中に手を入れ腰を撫でる 「あっ…」 ルーファウスが自分の声に驚いたらしく 口をおさえる その声には俺も驚き、心搏数が上がった 俺は微笑んで、その手を掴んで口から離し キスをしながら押し倒す 「待って、くれって…セフィロス、それは…」 「なに?」 「それはいくらなんでも…」 「嫌か?」 「さすがにちょっと…」 「でも、したい」 「…男だぞ…」 「そこは何も問題じゃない、お前を抱きたい」 ルーファウスの頬を両手で包むと 俺は自分の心音が部屋中に響いているのではないかと思うほど 緊張で胸が高鳴った ルーファウスが俺の胸に手をあて、目を閉じ、小さく深呼吸をした そして目を開いて俺の首に腕を回す 「…いいよ」 これも、許されるとは思っていなかった ワインのせいで流されているわけではないと思う 俺はルーファウスに笑いかけると、ルーファウスも不器用な笑顔を俺に向けた ゆっくりと、俺は服を脱ぎ、ルーファウスの服を脱がした 身体中を指先と唇と、舌で撫で回すと ビクリと反応を示す その度にルーファウスは固く目を閉じて 自分の手の甲を噛んで声を殺す 「我慢しないで、声出せ」 「出せるかっ…」 横に首を振るルーファウスの手の甲を舐め、キスをして自分の背中に回させる 「聞かせてくれ」 前戯の間、頑なに声を出さずにいたルーファウスの口から漏れる吐息とその表情だけで 充分俺は興奮した 「ルーファウス、ちょっと待って」 俺はこの時の為にと用意したローションを取り出す ルーファウスが何をしているのかとそれを見た それと同時に俺はローションをルーファウスの後ろに塗った 「わっ、ちょ、なに?!」 「滑らなきゃ痛いだろう?」 塗りながら指を一本、少しだけ入れると、ルーファウスがシーツを強く掴んだ 「っ…う…」 俺に掴まればいいのに、でもシーツに掴まるこの景色もなかなか興奮する 少しずつ指を沈め、ゆっくり動かすと、ルーファウスの足に力が入った 「セフィ…ロ、ス、お前…慣れてる?」 苦しそうに俺を見上げる潤んだ目に、俺の物は痛いほど大きく膨れ上がった 「慣れてない、男相手は初めてだし、これまでになく興奮してるんだ」 指をもう一本入れると、ルーファウスが声を漏らして手の甲を噛んだ 「ルーファウス、いれたい…」 情けない俺の告白に、ルーファウスは苦笑して俺のものを見た 「ちょ、待って、それ入れるのか?は…入るのか?」 「入れなければ爆発するぞ」 ルーファウスは笑いながら先程使ったローションに手を伸ばした その細い指で俺のものにローションを塗る ルーファウスのあの手が、俺のものに触れている 「だめだもう、挿れるぞ、ルーファウス」 軽く抱き上げ、ルーファウスの腰を掴むとルーファウスの目が揺れた 少しの恐怖が、その目の中にあった 俺はルーファウスにキスをして 優しく髪を撫で、頬から首、胸、腰と手を下に下ろしていき、腰を掴む ルーファウスの身体に力が入る 「シーツじゃなく、俺に掴まれ」 ルーファウスが俺を見上げて、緊張した顔のまま笑った そして俺の肩にしがみ付く 「ルーファウス、力抜いて」 俺はゆっくり自分自身をルーファウスに埋め込んでいく 「…っいっ…う、ああっ!」 「ルー、キツい…力抜いて…」 微かに力は抜かれたものの、そのキツさは痛いほど 「は…ああ…」 閉じたルーファウスの目から涙が落ちた おそらく、尋常じゃない痛みなんだろう その涙に、俺は少し胸が痛くなった 無理強いしてしまった 「ルーファウス、辛いか?やめるか?」 ルーファウスが横に首を振り、俺の髪を引っ張りキスをした 「大丈夫、続けて…セフィロス」 俺に向けられた熱を帯びた瞳と、そこから零れ落ちる涙 そして俺を呼ぶ声 ゆっくり腰を動かすと、辛そうに顔を歪め 惜し気もなく声を出す 苦しそうに喘ぐその声は、更に俺を興奮させる 「ルーファウス、も、駄目だ…」 「はっ…早く、いっ…あぁっ、」 ルーファウスの中で達した俺を非難することもなく、肩で息をするルーファウス 俺はその頼りない肩を抱き締める 「痛かっただろう?」 ルーファウスは深呼吸をして息を整え、俺を見上げた 「気絶するかと思った」 「お前最後早くいけとか言わなかったか?」 ルーファウスが苦笑して俺の胸を叩いた 「あっ、」 ルーファウスが一瞬固まり、俺の腕を掴んだ 「ん?」 ルーファウスは俺を見上げ、ああ、と納得したように声を出し、また胸を叩いた 「おま…中で…出したな?」 「…すまない…」 「馬鹿者…」 起き上がりかけたルーファウスがぱたりとまた倒れこんで俺の腕を掴んだ どうやらまた、俺の出したものが中から流れてきたらしい 「俺はもう一回できるけど、する?」 「調子のんな!」 ルーファウスは俺を睨み上げて肩をバシバシ叩いた ああ、愛しい ルーファウスを抱きしめ、体温と心音を感じる 「ルーファウス、俺はお前…」 を、愛してる、言おうとした瞬間、ルーファウスの目が冷たくなった そして気だるそうにルーファウスは身体を起こした 「セフィロス、言っておくが、愛だの恋だのという言葉は、私は嫌いだからな」 俺も起き上がり、そして目線をどこにやればいいかわからず 泳がせた 急に、熱が冷めた気がした 自分の思いを否定された気がした 「それは、相手が俺だからか?男だから言う資格もないというのか?」 ルーファウスは困ったように俺を撫で、困ったように笑った 「…違う、私自身に問題がある、キミじゃない」 「どういう意味だ?」 「愛も恋も、感情というものは人を裏切るものだろう 私はそんなもの、信じないし、言われると、余計相手を信用できなくなる」 「そういう経験があるからか?俺は…」 「俺は違うとか裏切らないとかはやめてくれよ」 俺は頭を抱えた ルーファウスには愛の言葉は無意味? 伝えたくても伝えたらいけないのか? 「そんな顔するな」 ルーファウスの笑顔は、優しかった 「じゃあ、どうしてこの気持ちを伝えればいい?言いたいのに、俺は…ルーファウスを」 強ばりながらも俺に笑顔を向けようとするルーファウスに、俺は何も言えなくなった 「何故、」 ルーファウスは口角を上げたまま、 立てた膝を抱き、その膝に頭を乗せて目を閉じた 「信じれないんだ、言葉が、だから、私が好意を抱く相手に言われると悲しくなる その言葉は私にとって暴力だ」 ルーファウスを抱きしめていいのか迷った 愛を伝える言葉が暴力とは、何故 「きみはそんな暴力、ふるわないでくれ」 穏やかな顔のルーファウスを抱きしめる 「…どうすればいい?」 ルーファウスが驚いた顔で起き上がり そして俺を抱きしめた 「とりあえず、泣くな」 「…何があった?」 ルーファウスに抱きつくように 俺はルーファウスを掴む ルーファウスは母親が子供をあやすように俺の背中を優しく叩いた 「私はこういう人間だ。理解してくれるか?」 そして俺の顔を覗き込み 困ったように笑った 「ああ、そうか、優しいんだ、キミは」 そういって俺の涙を拭う そうして、俺が抱きしめられる形で 裸のまま抱き合って眠った 翌朝腕の中にルーファウスがいないことに気づいて 飛び起きて 寝室を出ると、ルーファウスが優雅に紅茶を飲みながら新聞を読んでいた 「やあ、おはようセフィロス」 俺は額を押さえてほっとした 「おはよう、ルー」 「ははは、うん」 そう言いながらルーファウスは歯ブラシを俺に渡した 「顔洗って来い」 顔を洗って歯を磨いて 使った歯ブラシをルーファウスの歯ブラシの隣に収める 自然に笑みがこぼれる なんか同棲してるみたいだな リビングに行くとルーファウスがコーヒーをテーブルに置いた 「うまい豆らしいぞ。飲んでみろ」 俺はテーブルに座り、言われるがままに飲んでみた 「うまいな、どこの豆だ?」 「さあ、もらった」 あ、読む? そういってルーファウスは俺に新聞を差し出す 「ああ」 俺は普通の顔をして受けたったつもりだ でも、なんだか新婚みたいだ。悪くない…寧ろいい 目の前でルーファウスが頬杖をついて俺をじっと見ている 視線を感じながらも俺は気づかないふりをする 新聞に集中できない 「なあセフィ」 おれは思わず噴き出した 「だってお前昨日も今日もルーとか呼んだじゃないか 私もお前の名前省略しただけだぞ」 「いいい、いや、構わない、初めて言われた、で、どうした?」 「そうか、新聞読んでからでいいんだが…」 俺は新聞をとじて、ルーファウスと向き合った 「いや読んでからでいいって」 「どうした?どっか行きたいか?」 ルーファウスが笑う つられて俺も笑った 「いやいや、なにか他に望みは無いかって、今日が誕生日当日だからさ」 「よし、ドライブでもしよう、デートだ」 「デート」 そう呟いてルーファウスは小さく噴き出す 「ダメか?」 「いいや、そんなのでいいのか?」 「それがいいんだ」 「欲の無い奴だな」 立ち上がるルーファウスを追う様に俺も立ち上がり ルーファウスの頬を掴んだ 「一緒にいることで俺の欲求は満たされているからな」 額に額を合わせて、至近距離で微笑むと ルーファウスが何ともいえない複雑な顔で笑った 「キミは綺麗だな」 恥ずかしそうに一歩離れるルーファウスを抱きしめる 「お前の方が綺麗だ」 「バカかキミは」 笑いながらルーファウスが車の鍵を俺に放り投げる 「プライベートの運転手は俺できまりだな」 ルーファウスは笑いながら合鍵でも作っておけ、と玄関へ向かった 「家の合鍵もいいか?」 ルーファウスは横目で俺を見て、ニッと笑う 「好きにしろ、鍵しめてこいよ」 そう言ってこの家のカードキーを俺に渡して先に外へ出た 俺もその後を追って 二つの鍵を持って家を出た |
ラブラブ。 大好きなんだけどね |