棺の花・4 |
ルーファウス様は自分のことを話す子供ではなかった 子供というのはたいてい自分のことをしゃべり倒すのに ルーファウス様に彼の事を聞いても 言葉を濁すか、多くを答えない 仕事が忙しくなると 距離ができた リーブさんとも ヴェルド主任とも ルーファウス様は距離ができていたらしい 目が回るほどの忙しさ ルーファウス様からの連絡も 私からルーファウス様への連絡も 途絶えていた 最後にルーファウス様の笑顔を見たのは 初めて友達ができた、と話している時 プレジデントの部下の息子さんだという 私はその友人の存在に安心していた エアリスとの時間のほうが確実に長かった エアリスからもらった花、一輪 デスクに飾っていた ピンク色のなんともかわいらしい、彼女のような花 「ツォンさん似合わないぞ、と」 「…私もそう思う」 「ツォンさんってロリコン?」 「なに?!」 「エアリスのことめちゃくちゃ可愛がってるから…」 私のデスクに張り付いているレノの額を指で弾くと レノは額を押さえる 「痛いって」 「失礼な奴だな」 「ヴェルド主任、最近ルーファウス様に会っていますか?」 「なぜだ?」 「いえ、気になって。元気でしょうか? もうかなり長い間会っていないんです」 ヴェルド主任は新聞を私に手渡した それは昨日の新聞だった 「一家心中したそのプレジデントの部下 そこの息子さんが、ルーファウス様のご友人だった子だ」 プレジデントが死に追い込んだとされる人物だった 「この子も、死んだのですか?」 「ああ」 「葬儀には…」 「プレジデントは、参列しない」 「ルーファウス様は」 「自宅にいるようだ」 「…主任…」 「ツォン、具合が悪いなら午後は休んでいいぞ」 「…ありがとうございます」 自宅にルーファウス様はいなかった 澄んだ空を見上げ 空に昇る煙を見上げ そして歌を呟くルーファウス様の後ろ姿を確認する 「式には参列しないのですか?」 「追い返された」 「あなたは、友人だったのでは?」 黒い服の行列を眺める白い服のルーファウス様を 細めて眺める 「花を手向けることも許されなくて、でも仕方ないな」 同じくらいの子供が走ってきて 人殺し、と叫んでルーファウス様に石を投げた その子供の目には今にもあふれそうなほど涙がたまっていた 「ルーファウス様」 「いいんだ」 帰れ、人殺し そんな言葉と、投げ付けられる石を背に ルーファウス様は歩き出した 「仕事はどうした」 「午後からはお休みなんです。お送りしますよ」 「ずる休みか」 私が苦笑いをすると ルーファウス様は笑いそうな、笑えないような顔を見せた ルーファウス様は特に笑うでもなく 悲しむでもなく、怒るでもなく じっと車の窓から流れる景色を見ていた その友人とは、どう仲がよかったのか 友人の友人だろう、さっきの石を投げてきた子とは どういう仲だったのか 悲しかったですか? 聞きたいことは、聞けなかった |
ビックリかもしれないですが、ここで終わりです。 失敗作にもほどがあるですね、ハイすみません。 ええ、そうなんです。おもっくそ詰まってズッコケたんです。 ツォンルーじゃないですよねーなんか。 私の中ではツォン→ルーですこの二人。 デモツォンは最初はルーが苦手という印象が昔からありますが なんでかな。 |