| 甘い言葉 |
「確かに、正宗の傷だ」 セフィロスによってつけられた傷に触れ、ルーファウスは目を細める 「ルーファウス様」 ルーファウスに触れようとした時、手は離された 「そんなに好きならなぜ手放した」 ツォンの目を見ずに、ルーファウスはツォンの煙草に手を伸ばす 「…エアリスを手放したのは私ではない…神羅、です」 「言い訳だ」 煙草を一本出し、火を点ける ツォンはその煙草を取り上げた 「任務を遂行する以外に、私には時間はありません」 「どれも言い訳だ」 ルーファウスは面白くなさそうにベッドに沈んだ 「私にエアリスをどうにかしろと、それだってエアリスを殺した言い訳でしょう」 「手放したくなかったなら、どうやってでも自力でなんとかしろ。その暗い顔を私に見せるな」 「暗い?何故」 「鬱陶しい」 「ルーファウス様!」 ツォンはかぶさるようにルーファウスを組み敷いて、見下ろした 「大声を出さずとも聞こえるんだが」 無表情のまま、ルーファウスはツォンを見上げる 「セフィロスを…見たそうですね」 「…ああ、見たが?」 一瞬、ルーファウスは唇を軽く噛んだ 「そんなに未練があるなら、連れて帰ればよかったではありませんか」 「まさか。でかすぎて持ち帰る事が出来なかった」 「ほしいならなんとしてでも持ち帰ればよかったでしょう」 「いらん。それに、あれはさすがに不可能だ」 「エアリスの事だって同じです。不可能です。それに、自由にしてやりたかった」 ルーファウスはツォンの煙草を取り上げると、軽く吸い込み、立ち上がった 自由ね、と呟き、煙草を灰皿に押しつける 「不味い」 「なら吸わないでください」 ツォンがルーファウスの手首を掴むと、ルーファウスは目を吊り上げため息を吐いた 「貴方には苛々しますよ」 「勝手にしてろ」 ツォンは煙草に手を伸ばし、その手を引っ込めた 「貴方には、大切に思う人がいませんか?わかりませんかこの気持ちが」 「わかろうとも思わん」 「私には、ルーファウス様が大切な人です」 「当たり前だ。いくら給料払ってると思ってんだ」 「ふざけずに聞いて下さい」 「鬱陶しい」 深くため息を吐いて、ツォンは包帯を手に取った 「ああ、忘れていた」 ルーファウスが包帯を取り上げると、ツォンの前に膝をつく 「自分でやりますから」 「傷を見せろと言ったのは私だ。私がやるよ」 「とんでもない!自分でやれますから!」 包帯を取ろうとするツォンの手をすり抜け、ルーファウスは包帯をツォンに巻きはじめた 「君よりは上手いぞ」 背中に手を回す 抱きつくように ツォンは目を細めて、ルーファウスを見下ろした 巻きおわり、ルーファウスがツォンの胸に軽く触れる 「よし、いいぞ」 「ルーファウス様」 「なんだ?」 ルーファウスが見上げた瞬間、ツォンはルーファウスを抱き締めた 一瞬、ルーファウスの身体が硬直した 「何事だ」 「慰めてくださいませんか」 「なに?」 「とても悲しくなってきました」 「何故」 「好きな人に、好きと伝えられない」 「…ああ、彼女は花が好きだったな。持っていってやるといい。 ゲルニカでも何でも使っていいから行ってこい」 「…意地が悪い」 「なに、休暇が欲しいならそう言えよ。休暇くらいやるから行ってこい」 「ルーファウス様は、私がエアリスを愛していると思っていませんか?」 「なんだ違うのか」 ルーファウスが、自分を抱き締めるツォンの腕を掴み、ツォンの顔を覗き込んだ ツォンがルーファウスに軽く口付け、微笑む 「これが答えです」 ルーファウスが力一杯、自分を抱き締めるツォンの腕を離そうとする びくともしない 「離せ」 「嫌です」 「離れろ」 「お断りします」 「命令だ。離れろ」 「従いません」 手の甲でルーファウスがツォンの額を叩くと、ツォンがルーファウスを解放した 「聞かなかった事にしてやる」 立ち上がろうとしたルーファウスの腕を引っ張り、ベッドに押し倒す 「いいえ、覚えていて下さい」 腕を押さえつけ、キスをする 「ツォン、無礼は承知か」 「罰は受けます」 「地獄に落ちろ」 「共に落ちてくださいますか」 「私は先に落ちる」 「つれないですね」 またキスをするツォンに、ルーファウスはきつく目を閉じるが無抵抗 「ルーファウス様、私は男色ではありません。しかし」 「それ以上言うな、怖いから」 「貴方を抱きたい」 「いや…嫌だ」 「無理矢理されるほうがお好きですか」 「撃ち殺すぞ…」 「ルーファウス様、貴方はやはり忘れられないのですか、セフィロスが」 「彼とは別問題だ」 「なら、今思いを寄せる人がいるのですか、セフィロス以外に」 「いいや、だが、だからって君とどうこうなるわけでも…」 「では、ルーファウス様、私を見てください。私は貴方のすべてを知りたいです」 「ほう、何かを掴んで私を売ろうというのか?」 「違いますよムード無いですね」 苦笑するルーファウスを、ツォンは見つめ、微笑んだ 「真剣に聞いて下さい」 「可笑しくなったか」 「正気ですよ」 「正気なものか」 「私は貴方を想う資格すら与えられないのですか」 ルーファウスがまた、苦笑する 「あなたはそうやって不器用な笑顔で、私をとらえて離さないんです」 「わからん」 「守りたいんです。心も身体も」 「もしかしてお前酔ってるのか」 「酔ってませんよ失礼な」 「そろそろ退かないか」 「…では、抱き締めていさせてくれますか?」 「…少しだぞ」 しばらく黙って、ツォンはルーファウスを抱き締める いつの間にか寝入っているルーファウスに気付いてツォンは微笑んだ 絶対心を、開いてるだろう 「全く随分とお疲れだ。さすがに寝込みは襲えない」 ベッドに横になり、一緒に寝入った 数時間後、ルーファウスはあたたかい人肌の温もりに擦り寄り、覚醒した 目の前にいたのはツォンだった 「あー、そうだ…そうだった…」 ルーファウスは一人苦笑して、寝入るツォンにそっと抱きつき、目を閉じた これが、ツォンの匂い 温もり 自分を抱き締めるツォンの腕に力が入る 「ルーファウス様」 「うん?」 返事はない 寝言かとルーファウスは微笑む セフィロスを思い出さずにはいられなかった 頭の中の過去を振り払おうと、きつく目を閉じ、ツォンに回していた手を引っ込める なにをしてるんだろう、私は 「ルーファウス様?」 穏やかな表情でルーファウスを眺め、優しく髪を撫でるツォンを見上げる どうして思い出してしまうんだろう 「寝てしまいましたね、すみません。…どうなさいました」 額にキスをして、目の端を撫でる 「ルーファウス様?」 素早く上半身だけ起き上がり、ツォンはルーファウスの頬を両手で包んだ 目の端を撫でた指が濡れた 「欠伸」 「嘘おっしゃい」 「はは…」 力なく笑うルーファウスを抱き締め、ツォンはその目の端にキスをした 「私がおります。私は決して貴方のお傍を離れません」 泣かないで ルーファウスの手が、ツォンの背中に回された 「私の中に彼が残ってる。息づいているんだ」 それは不幸なことじゃないのに、酷く悲しい 「貴方の心に触れることを、お許し下さいますか?」 「…どういうことだ?」 深く深く、キスをして 「ルーファウス様、私を信じて下さい。私は、貴方のためだけに存在します」 「馬鹿か、お前は。言葉など、信じるものか」 悲しそうに自分を見るツォンに苦笑する 「貴方が信じられるものはなんですか?」 「自分だけ」 「私は信用できないと?」 「実力と、忠誠心は認める。多少捻くれてはいるが」 「素直に喜べません」 「褒めたのにか?」 「貴方に信じていただきたいのです、私の思いを」 「人の心を信じろと?馬鹿げてる」 「貴方の捻くれ方は、尋常ではない」 「褒め言葉として受け取ろう」 「貴方と話していると、涙が出そうになります」 ツォンの目が揺れているのを、はっきりと確認し、 何故、と言葉を発すると同時に、ルーファウスはツォンの首筋にキスをした 「止まらないですよ、最後まで」 「甘い言葉を囁かないのなら、今だけは大人しくしていてやろう」 ツォンもルーファウスの首筋にキスをして、舌を這わせて シャツのボタンを丁寧に外していく 「愛を告白させてはいただけませんか?」 「そんな寝言を言おうものなら、私は、お前を絶対に信じない」 「では、身体で感じていただけますか?」 甘く、ルーファウスが吐息を吐く 「君次第だ」 丁寧な愛撫とキス 甘ったるく長めの前戯 触れたままの肌 優しく抱かれて 大事にされて それだけで泣けるなんて とてもそれは重症だと 我ながら情けない 「ルーファウス様、どうか泣くならせめて、抱きついて下さい。そのお姿は胸が痛みます」 「見なければいい、見て見ぬ振りを」 「できません、私を、誰かの代わりにしてもいいですから、そんな悲しそうな顔をしないで」 「ではもう、泣かないように、気を付けよう」 「泣くのを我慢する貴方を見せるなんて拷問です」 「どうしろと」 「泣きたいとき、泣くときはどうか私に甘えていただきたい。 それだけで私は満足感をえられるのです。自己満足ですが」 「君と話していると馬鹿らしくて涙も止まるよ」 「甘えるのが下手なんですよ貴方は」 「君は上手いのか」 「貴方よりは」 「ところでルーファウス様、そろそろ我慢の限界なのですが、挿れてもいいでしょうか?」 ルーファウスが声を上げて笑って、ツォンの肩を叩いた 「ムードが無いのはどっちだよ」 そしてツォンの耳に口を寄せる 「いいよ」 期待なんか、しない そういつも思っているのに 涙が出るのはなぜだろう ツォンの温もりに包まれ 視界がぼやける ルーファウスは自分の頭が麻痺したように感じた 自分に降り掛かる全ての恨み憎しみは、行動を起こす糧に 自分に降り掛かる全ての悲しみ虚しさは飲み込み封じ込めて 喜びは誰かと分かち合うこともせず 貴方は独り、戦ってきた 常に独り、人を拒否して 貴方は自分から、孤独を選ぶ ルーファウス様、私は、貴方のお傍に居たいのです 貴方を支える柱になりたいのです 例え悲しみを拭う事を許されなくても 貴方のお傍に居たいのです |
セフィルー前提のツォンルー でもツォンエアではない いろいろな形の始めてのツォンルーを書こうと思っています、私。 |