STAY |
あなたの目には今 何が見えているのでしょうか 奇跡的にウェポンの攻撃とライフストリームから生き延びたこの方は 体の自由を奪われ 記憶も欠落していた部分があった 誰をも寄せ付けず 半年、ほとんど口を開かなかった 寝たきりの状態だった 記憶体力共にかなりの回復を見せ 車椅子から立ち上がれるまでに回復すると 私たちタークスはそばにいることを許された その時私たちにご自分の気持ちを話し 「ついてきてくれるか」 と言った言葉と、表情は忘れられない 強い気持ちが現れた表情だった 以前の様に無茶苦茶な事は言わず しかしその中にはまだ世界を相手に動く気持ちが見える 以前、たまに見られた子供の様な癇癪は起こさず 代わりに物事を自分の中で消化している様に見える たまに全くこの方の考えていることが読めない ルーファウス様を死んだことにすると決めたのは本人だ 一生表舞台に出るつもりがなかったのだろう あの日以来、人々から離れ人知れず療養してきたルーファウス様が 初めて外の空気に触れた時 一番最初にしたことは 亡き父の墓参りだった プレジデント神羅が死んで この方はこれが初めての墓参りだった 穏やかな横顔に 私は初めてこの方の素顔を見た気がしたのだ 「ルーファウス様、お身体に障りますよ」 「ツォン、お前変わったな」 「変わったのは貴方ですよ」 「タークスみんなに、今は本当に感謝している」 そう言って生前プレジデントが愛煙していた葉巻と 愛用していたジッポを取り出した 「…持っていたんですか」 「これをもっていたのは私じゃない」 「…誰が?」 返事は無い 以前の冷たく狂気に満ちた雰囲気は今は無い 代わりに、感情が見えにくくなった気がする 人に執着をしても 人を愛する気持ちを持ち合わせているのか、正直今でも疑問ではある しかし今のこの人は 私が仕えるべき主人だと確信している 一番ひどいダメージは足にあった ルーファウス様が救出された時 歩けなくなる可能性は十分にあると聞かされた我々は深い溜め息しか出なかった しかし、歩けなくても、立ち上がるまで回復したこの方は本当に強いと思う 車椅子に座っていても ルーファウス神羅は健在だった 堂々と笑って見せた時、私だけじゃなくタークス全員が心から ほっとしたのだ しかし、すぐにルーファウス様を星痕症候群が襲った 「星痕症候群、私は発病した」 その生々しい跡を見せられた私たちは絶句した 発病を知った時は、正直私は絶望した 恐らく他の三人も 今度こそこの人が連れて行かれてしまうのかと不安に駆られた 「いつまで持つか私にも分からん。治療法がまだ無いからな」 堂々とした態度に安心するよりも 不安を出さないで一人抱え込んでるのだと思った 「安心しろ。医者の話では伝染病ではないらしい」 その時思った気持ちを、私は口に出してしまった 「ルーファウス様は私たちを信じていますか?」 すると強いまなざしでルーファウス様が私を見た 「キミ達は私を信じているのか?」 ルーファウス様は立ち上がり、私たちに元気だと言いたそうに笑みを浮かべた 「まだやり残した事がある。死ぬものか」 それに、君たちがいるから殺される心配はしていない、と付け加えた ジェノバもカダージュも星痕も消え去った今 一人神羅の看板を背負って 押し潰されそうに見える時がある 崩れた街や人、孤児達を見るルーファウス様の視線は 痛々しく見えるほど 自分を、神羅を責めている時がある それは当然のことだとは思う しかし一人では重過ぎる 「ルーファウス様、あなたにはやるべき事がたくさんあります」 死んではいけないというメッセージを込めた 「私はどんな道でも進み続けるさ」 優雅に笑ったルーファウス様の横顔は 今にも表情がなくなってしまいそうなほど感情が読み取れなかった 「休暇をとれ。みんなにも伝えろ。少しゆっくりしてくれ」 「取りません。忙しいですよ、これから貴方も私たちも」 ルーファウス様 今あなたの胸には何があるのでしょうか 誰にでもある闇かもしれない それでもこの方は力強く駆け抜けすぎた たまに虚空を見つめるその視線に 私はどうしようもない不安に駆られるのです この先もまだ、試練と困難が重なる茨道を歩くでしょう 誰も肩代わりできないたくさんの罪 その罪はこれからも増えるでしょう そしてこれからは、以前とは違うものも手に入れるはず ルーファウス様がいつか心から笑えるように 私は、私たちは貴方に付いていきます 星よ どうかこの方に、心の平穏を |
初めてのツォンルー。 いや、基本的にはツォンイリーナなんですけどね一応。 でもほら、ツォンだし。 ツォンにはルーファウスが強く見えてるっぽい。強がりめ。 でも社長は基本強い人だと思う。 |