ある雪の日




雪は降るの?とかそんな普通の疑問は無視




















































窓から外を覗くと、楽しそうな家族や恋人達


腕時計を見ると、約束の時間まであと少し

セフィロスは家を出た




おそらく、自分に会う前にルーファウスは寄るだろう場所に向かうと、雪が降ってきた



教会を覗くと矢張り、ルーファウスの姿があった


祈りを捧げる姿を、見つめていると

ルーファウスが振り向き、ゆっくりと歩いてきた



「なんだセフィロス、来ていたのか」


「お前が神に祈るなんて、柄じゃないな」


「自分でも、そう思う」


「でも、似合う」



ふふ、と笑い、外に出るルーファウスに、セフィロスも続いた



「雪か」


「ああ、さっき降り出したばかりだ」



車に乗り込み、ルーファウスは白い手袋を取った



教会の鐘が鳴る



「いい音だな」



セフィロスの言葉にルーファウスは小さく笑う



「あの教会のクリスマスツリー
天辺に天使がいた」


「天使か。天使ってなんなんだ?」


「知らないのか?あの羽根の生えた人の形をした…」


「いや、知ってるけど、あいつらはなんなんだ?」



ルーファウスは運転するセフィロスをじっと見てから

視線をフロントガラスに移して少し、シートを倒した



「天使は昔、神だったんだと」

「神?天使が?」

「本人に確認してないからわからんが
人間が勝手に納得のいかない神々を降格させて世に伝えたとか」

「何故そんなことを?」

「さあ、昔聞いただけだからなんとも。
その前に神や天使が実在するかも疑問だが」

「…そんなお前が何で教会なんか行くんだ?」

「それも疑問だよな。習慣だ習慣」



腕を伸ばしてルーファウスは、呆っと外を眺める



「神って存在すると思うか?」



セフィロスの言葉に

ルーファウスはちいさく、「無いだろ」と呟いた



「なあルーファウス、お前何しようとしてるんだ?」

「なにが」

「なにか、やらかそうとしてないか?」

「いつものことだ。どうおやじを殺してくれようかと考えている」

「まさか、実行に移そうとしてないか?」



ハッ、と吐き捨てるように笑い

ルーファウスはセフィロスから缶のココアを受け取った



「なあセフィロス、私は最低だ。そしてそんな自分が好きなんだ。
私は私のやりたいようにやる。それだけだ」



ルーファウスは壊れかけてきていると、感じてはいた


もしかしたら既に、壊れている



「人の命は、軽いんだろうな、お前にとっては」



セフィロスは、ルーファウスがわからない時が、多々あった



「人による。興味が無い場合が多いだけのこと」



ルーファウスが運転席側のドリンクホルダーにあった
未開封の缶コーヒーを開けてセフィロスに渡す



「不幸な奴だな」



悲しい奴だ、という気持ちを込めた

そしてセフィロスは、缶コーヒーを受け取った


何も言い返さず、ルーファウスは笑うだけ



「プレジデントがそんなに憎いか」

「ああ。邪魔だな」

「プレジデントは、お前を大事にしているように見えるけどな」



ルーファウスの手がピクリと動く

唇を噛み、自分の首に爪を立てる姿を、セフィロスは横目で見た



「大事なのは私自身ではなく…」



くそ、と小さく強く呟き

ルーファウスは拳を握った



「続きは?」



自分を見るセフィロスの目が、冷たく感じて、胸が勝手に痛んだ

ルーファウスは顔をしかめて窓の外を見た



「続きは無いのか」



ルーファウスの手が微かに震えているのに気付いて

セフィロスは車を道路脇に停めた

肩を掴み、ルーファウスを自分の方に向かせると

ルーファウスがセフィロスを睨み上げる


唇から、血が流れた



「どうした?」

「神なんか、いるものか」



掌に食い込んだ爪が、ルーファウスの白い皮膚を僅かに紅く染める



「…何があったんだ」



まっすぐにセフィロスを見るルーファウスの目が見開かれる



「私は…違う、セフィロス、違う、ただ、あいつのやり方が、気に入らないだけだ」

「嘘だろう」

「ぬるいんだよやり方が」

「それだけじゃ、ないんだろう?」



ルーファウスがセフィロスの襟を掴み、顔を寄せる



「いつか私が正気に戻った時に、教えてやる、馬鹿げた理想も中身の無い過去も全て」

「教えては、くれないのか」

「恥は、弱みよりも見せたくない部分だ」

「そういう所を教えろよ。恥より傷なんだろう?」

「恥だ!」



ルーファウスはセフィロスの襟を離し、車から降りた

セフィロスも車から降りて、ルーファウスに近づく



「何してる」

「頭を、冷やしているんだ」



ルーファウスの頭を抱き寄せ

セフィロスはその金糸の髪に口付ける



「無理に会話を続けて、悪かった」

「私が窒息して死ぬ前に、その話はやめてくれ」



ルーファウスの頬を包み、その切れた唇を舐めるように

セフィロスはルーファウスにキスをした













「見ろルーファウス、綺麗だ」



壁一面ガラス張りの部屋

最高級ホテルのスイートルーム



「君のほうが綺麗だよ」



ルーファウスの意外な言葉にセフィロスは一瞬固まり

二人同時に笑いだした




「なあルーファウス、教会で何を祈っているんだ?」



綺麗に飾られたスイーツを摘みながら、セフィロスがソファに座った



「世界平和」



噴き出すように笑って、セフィロスがルーファウスを見た



「嘘が下手だな」

「ははは」








朝まで二人で、笑いあって

抱き合った


























だからなに?とか

文章力ってなに?とか

いまさらだし!

天使ってナニ?(知らないから)