小さな約束 |
「初めて会った時は、お前の印象は最悪だった」 ルーファウスを腕に抱いて その金色の綺麗な髪を弄りながら 俺が口を開いた 「お前すごい態度わるかった」 俺を見上げて、俺の髪を引っ張り ルーファウスは俺にキスをする 「今でも生意気で可愛げも無いが、悪くないと思っている」 そう言って俺が笑うとルーファウスが俺を小突く 「私はなんでセフィロスが英雄なのか 時々忘れてしまう なんか、きみがすごく身近なんだ」 当たり前のように体を重ねる 愛の言葉を拒絶したのはルーファウスで 俺は 好きだの愛してるという言葉を言ったことが無い 俺はその言葉をを拒絶されるのが ひどく怖かった 愛しい これは罪と呼ばれる感情なのだろうか ルーファウスが俺を好きだという自信はある 俺以外に心を開いていないというのもわかっている でも俺は、いつか戦場で死ぬんだろう こいつが耐えられるはずが無い 「ルーファウス、お前は銃なんか使うな」 「護身用だ」 ルーファウスの銃の腕前は本物だ それはわかっている 「でも、俺はお前に人は殺して欲しくない」 フンと笑ってルーファウスが俺に銃を渡した 「私はどちらかというと殺意の塊だ」 すでに破滅の道に進もうとしているルーファウスを 止めるすべは無かった ルーファウスの考えは既に固まっていて 社長の言うとおりの危険思想 その思想はどこからきた? 「お前が望むなら誰だって、俺が殺してやる」 俺をまっすぐな青い瞳が捉える 「いつか私は、親父を殺す」 その目には本物の殺意があった 「俺が、殺してやる」 ルーファウスが横に首を振る 表情が柔らかくなった 「お前は、そんなことしなくていい ただ、セフィロス 私より先に死ぬな」 そうして俺に抱きつく 俺は返答に詰まる 抱きつくその肩は震えていた 「殺すのなんか、怖くない でも、先立たれるのは怖いんだ」 その細い肩を強く抱きしめ 俺はルーファウスの耳に口付けた 「俺はお前のそばにいる そばに居てやるから、もうそんな思いをするな」 声を殺して涙を流すその姿を 見ていられなかった 「セフィロス、約束だ、死ぬな」 「ああ、約束する。安心していい」 守れない約束をしてしまったと思う もし、俺が先に死んだらルーファウスはどうなってしまうのか 他に心を開くことは無いかもしれない ルーファウスの心の闇は深いだろう 嘘でも安心させたかった またあの、前に見た 普通の笑顔を見たかった |