しまうた







昔見た透き通る美しい青い海



優しく寄せて返す波に

ルーファウスは素足をつける




そして腕を伸ばしてから


座り込んだ




綺麗な青と波の音に集中する






セフィロスと出会ってから


セフィロスがいない初めての夏

































「しっかり捕まってろよ」



セフィロスのヘリの操縦の荒さに

ルーファウスの足が突っ張った



「どこ行くつもりだドコ!おい!」




楽しそうなセフィロスの隣に

顔が引きつったルーファウス



久しぶりの二人そろっての休暇




透き通るような青い海を「見せたかった」と笑ったセフィロス



ルーファウスはその美しさに声を上げた



「こんなトコ、どうやって見つけたんだ?」



「任務で来たんだ。立ち入り禁止の島なんだが
許しはもらったから大丈夫だ」



「さすが英雄。だからラフな格好してこいって言ったのか」




早速素足になってズボンのすそを捲り上げ

海に飛び込むルーファウスを

セフィロスが笑いながら眺める



「来いセフィロス!」


「俺はいい」


「よくない!来い!私がおぼれたらどうする!」



溺れはしないだろう、と笑いながら

セフィロスも素足になって海へと入った



水を掛け合ったり


沈んだり沈めたり、抱き合ったり









陽が高くなり、ルーファウスが顰め面で海から出る



「どうした?」


「眩しい」




ルーファウスの目は光に弱い







強くなりそうな日差しを避けるように木陰に転がると

ルーファウスが笑い出した



「砂だらけ」





砂だらけで転がりながら二人

特にすることもなく他愛のない話で笑った






「ルーファウスは海が好きだな」



「ああ、あまり人がいないとなると最高だ」




























昔と少しも変わらない島で

昔はしゃいで転がった場所を見つけるのは簡単



転がった木陰に、座ってみた



でも昔とは違って見えた



海も、波も、空も、雲も、太陽も

この樹も、暖かい砂浜も


とても寂しく見えた



セフィロスがいるだけで、世界はあんなに輝いていたんだ




セフィロス、今、なにしてる?




































「平和だな」



平和がどれだけ大事な時間なのか

痛いほど解ってるセフィロスの言葉



「セフィロス、もう英雄やめろよ」



ルーファウスの言葉にセフィロスが首をかしげた



「どういう意味だ?」



ルーファウスはゆっくりと流れる雲を見上げている



「そのまんま。兵士じゃなく、普通の人になれ」



セフィロスは苦笑して、同じ空を見上げた



「許すと思うか?神羅が」



ルーファウスがセフィロスを見ると


セフィロスもルーファウスを見た



「許さない…だろうけど、でも」



「いつか、兵士を辞めてずっとお前のそばにいれるようにするよ。
だからお前も、神羅やめろ」



「私が社長になるから問題ない」



セフィロスは困ったように笑った



神羅は問題だらけだぞ、と小さく言った































あの時神羅をやめると言えばよかったな


そんな小さな後悔が胸をかすめる




セフィロス、今もあの時と同じ気持ちでいてくれたら

私が今必死になってやろうとしてること

見てわらってくれるだろうか?



望むなら、すぐにでもオヤジを殺して

神羅をキミに丸ごとあげるのに


いろんな気持ちがキミにあるのに

どうして伝えられないんだろう


言葉にできない思いがあることをはじめて知った



キミがいなきゃ私は真っ直ぐに歩くことすらままならない







































砂浜の上で寝転びながら、手をつないで

クスクスとセフィロスが笑う



その姿を見て

ルーファウスも笑った





「また来ような」



来て一日も経ってないのに、と笑いながらルーファウスは首を縦に振った



「次はもっと安全運転をしろよ」


「そうだな、でも引きつったお前の顔面白かったぞ」



「失礼な!」









































その約束は果たされることはなかった


でも、独りでも、来たかった



私の思いはキミに届いていただろうか


この思いを届ける術はあるのだろうか


無駄なことを考える自分を笑いながら

ルーファウスは足についた砂をほろった





私が独りここでのんびりしてる間にも

セフィロスは戦ってる


きっと自分と戦ってる




人の痛みや苦しみは、何故肩代わりできないのだろう


できるなら、全部まとめてもらってあげるのに















キミを守る力が欲しかった



























繰り返す悲しみは 島渡る波のよう

島唄よ風に乗り届けておくれわたしの愛を