月光









冷たい青色の目が開かれた



生気を取り戻した肌の色と体温に、クラウドは安堵した



「驚かすなよ」



ルーファウスは小さな声でクラウドの名前を呼んだ



「ルーファウス、今、アンタ息してなかった」

「君の声が聞こえた」



舌がもつれる様な喋り方に、ルーファウス自身が眉を寄せて苦笑した



「上手く、喋れない」

「いいよ、無理するな」








クラウドの肩越しに見える月明かりに手を伸ばして
光を掴もうとする様な仕草を見せるルーファウスを
クラウドは困惑して眺めた



「ルーファウス、何してんの」

「掴めたら、いつでも見れる、暗いとき、明るくなる」
「暗いのが嫌なの?」

「私のじゃない」




クラウドはルーファウスの手を握り、抱き締める


「アンタが暗闇にいなければ…セフィロスは……
セフィロスも俺も、暗闇にいなくて済む、俺たちはアンタを見てるから」



ルーファウスはクラウドの目をじっと見る



「クラウド、君が今見てるのは私か?」

「そうだ、ルーファウス、アンタを見てる」

「そうか」

「アンタを今、見てるのは俺だ」



ルーファウスは目を伏せて微笑む


クラウドがルーファウスの長い睫毛に口付けた




「あの月、アンタの髪の色に似てるな。月の光はアンタの肌みたいだ」



その言葉に、ルーファウスは目を丸くしてクラウドを見上げた


その表情に、クラウドが笑う



「珍しい顔してるな」



ルーファウスは苦笑してクラウドの肩を軽く叩いた



「どんな顔だよそれ」

「アンタ男なんだよなあ。間違っても女には見えないけど、たまに性別忘れる」

「忘れるな。私は男だ」

「わかってる、どっからどう見ても男だ」

「君は…男らしく、なったかな?少しだけ」

「少しかよ」

「ああ、少しだけだ」




クラウドの腕の筋肉の筋をなぞりながらルーファウスが笑う



クラウドはルーファウスの両手をベッドに押さえ付けて耳を軽く噛んだ



「退けれるか?」



ルーファウスは力を入れ、びくとも動かない自分の腕を見て笑った



「無理」



そんなルーファウスを、クラウドは満足気に笑った



「力無いな」

「今、力が入らないんだ」

「調子いい時なら俺の手退けれるか?」


無理、と笑ってルーファウスはクラウドの腕に擦り寄る



「顔色まだ悪いな」



クラウドが自分の額をルーファウスの額に付ける



「平気だ」



ルーファウスは機嫌よさそうに目を閉じた


クラウドもそのまま横になり、ルーファウスの首の下に片腕を入れてから目を閉じる




「アンタの息が無いのに気付いた時、本当に焦った。
このまま息が戻らなかったらって…なあ、ルーファウス…」



ルーファウスがふと目を開いて横を向くと

クラウドと目が合った







真っ直ぐな目で、クラウドは口を開く








「俺を置いていくなよ」





笑ってクラウドの髪を撫で、ルーファウスは「君も」と、呟いた









月光クラウドサイド。