pain・2







「なぜここに?」



ルーファウス不在のルーファウスの家にいたのはツォン


顔を出したクラウドに驚く



「アンタには関係ない」



ツォンは腕を組み、ため息をつく



「クラウド、ルーファウス様には恋愛感情を?」




クラウドがしかめ面でツォンを睨む



「アンタらそういう仲か?」



そう言ってから腕を組み、クラウドがソファに座った



「どういう意味だ?」



ツォンは拳を握り、答えないクラウドに言葉を続ける



「昨夜、この家に寄った」



クラウドが頭を掻きながらツォンに背中を向けた



「やっぱりアンタだったのか」


「わざと見えるようにしたんだな?」



クラウドがフン、と鼻をならす



「ルーファウス様に、お前を近付けたくない」



「それはアンタが決めることじゃない。アンタには関係無い」



「ルーファウス様を傷つけるなら許さないぞ」


「アンタ、ルーファウスに惚れてるのか」



ツォンを睨むクラウドが、目を細めた



「知りたいか」

「興味無いね」




「私はルーファウス様を君に差し出す気はない」


「だから?」

「抱くな」



クラウドが眉間にシワを寄せる



「それはアンタには関係ない」


「ルーファウス様じゃなくてもいいだろう」

「アンタはあのタークスの女がいるだろ」

「君にはティファがいるだろう?私はルーファウス様…」



ドアが開き、ルーファウスが帰ってきた



「…来てたのかクラウド」


「呼んだのアンタだろ」


「今日じゃなくてもいいと言ったじゃないか。
ツォン、外にいるレノとルードにそこの書類を渡してきてくれ」



そう言いながら、ルーファウスがクラウドに合鍵を渡す



「この書類ですね?」


「ああ」



ツォンが書類を届け、家にもどると

クラウドがルーファウスに手を伸ばしていて

ルーファウスは素早く、クラウドと距離を取った



「ご苦労ツォン。クラウド、君はこれから仕事か?」


「ああ、まだ時間はあるが」


ルーファウスが少し考え、そしてクラウドを見て、口を開く



「少し、話をしないか?」


クラウドがツォンを横目で見てから


「ああ」と返事をした



「ツォン、少し席を外せ」


「…はい」


ルーファウスの言葉に返事をして、ツォンが少し荒っぽくドアを閉めた






「昨日電話したんだが」


「ああ、寝てた」


クラウドが冷蔵庫からミネラルウォーターを出し、飲む


「寝るのが早かったんだな」


「まあな。何の用だった?」


「…いや、たいしたことではない。それよりティファの怪我は?」


「全然浅かった」



ルーファウスが持っていたペンで自分の指先を押しながら

それはよかった、と笑う










「鳴ってるぞ」


ルーファウスが鳴る携帯を指さすと

クラウドが電話をとった


「ああ、…まだ出先だ、ああ、夕方には帰る……わかった早めに帰るから」


電話を切ると、クラウドは水を飲んで立ち上がる



「帰るのか?」

「ああ、あと一件あるからな」



その前に、とクラウドがルーファウスの肩を軽く押し、倒す



















ベッドの中でクラウドが去るバイクのエンジン音を聞き

目を開くとルーファウスは額を押さえる

目眩が取れない




「なんだか、馬鹿馬鹿しい」














シャワーを浴びて、上がるとレノがいた


バスタオルで頭を拭きながら、ルーファウスはレノを見る



「どうした?急用なのか暇なのか」


「…社長、最近クラウド、頻繁に出入りしすぎじゃないか?」


「何故」


ルーファウスはクラウドが飲み残した水を眺め

新しいミネラルウォーターを取り出した



「俺が言うことじゃないけど、また繰り返す気か、と?」



ミネラルウォーターを一口飲んでルーファウスはレノを見た



「…社長、クラウドにはティファが」


「わかっている」



レノが後ろに回り、ルーファウスの頭を拭く



「…ツォンさんの時みたく、辛い思いすんのわかってんの?」



「…ああ」



ツォンにはイリーナがいた




「…深入りは…しないよ」



ルーファウスの言葉にレノがため息をつく



「もうしてるだろ、と」



ルーファウスが唇を噛み「じゃあ、期待はしないから」と呟く




レノはルーファウスを抱きしめ

派手にその金髪を撫でた





ドアが叩かれ、開き、ツォンが入ってきた



「ルーファウスさ…レノ?」


「ようツォンさん」



レノがルーファウスを抱き締めていた腕をおろした


ルーファウスは小さくため息をついて、今度は君か、とぼやいた



「ルーファウス様、お話が」

「疲れているんだ、明日では駄目か?」



だるそうにルーファウスがバスローブの腰紐を縛りなおし、手で髪を梳いた



「…ルーファウス様と二人で…話をしたい」



ツォンがレノに伝えると、レノがバスタオルをルーファウスの肩にかけて歩きだした



「ツォンさんイリーナとの約束忘れるなよ、と」



ツォンがレノを軽く睨む

レノがルーファウスに笑いかけて、出ていった

レノを見送り、ツォンがルーファウスに近づく







「ルーファウス様、クラウドに鍵を?」


「ああ」


デスクに向かうルーファウスに寄っていくと、ルーファウスはツォンを見上げた



「…どうしたツォン」



「ルーファウス様、貴方はクラウドに特別な感情を?」



首をかしげ、何故、と形の良い唇が言葉を発した



「クラウドに抱かれるのは何故ですか」



ツォンの言葉にもルーファウスの表情は変わらない



「どういう意味だ?」


「クラウドが好きですか?」



俯くツォンに、ルーファウスの視線が注がれているのがわかる



「ツォン?」



「貴方は…気持ちが無くても抱かれるんですか?」



ツォンの手が震える

その手で殴って目を覚まさせて欲しいと思った



ルーファウスがデスクによりかかりながら


ツォンの顔を覗き込んだ



「一体どうしたというんだ」



その綺麗な瞳と目が合って


ツォンは昨晩のルーファウスの声と

クラウドと重なるルーファウスの影と

自分が抱いていた頃のルーファウスを思い出した



ツォンがルーファウスの手を強引に引っ張り

キスをするとルーファウスの肩が大きく揺れた



「っ…ツォン!」



「クラウドが…特別ですか…?」



ルーファウスの目が大きく見開かれる



「ルーファウス様、私たちは何のために関係を切ったのですか?」



ルーファウスは横目でツォンを睨むように見る


綺麗な青







「イリーナとこじれたからだろう、君が。」



ツォンがルーファウスの腰をつかみ、更に近づく



「では、クラウドは?彼はティファが本命なのでは?このままだとまたこじれる」

私は貴方に辛い思いをさせるために関係を切ったのではないのですよ?



ゆっくりと近づくツォンを見上げるルーファウス



「また、クラウドがこじれたら関係を切って他の誰かと関係を持つんですか?」

「関係を切ると言ったのはツォン、君じゃないか」

「また貴方は2番目になりたいのですか?
貴方が求めているのは心ですか?身体ですか?」



いつになく攻撃的な声のツォンに、ルーファウスは面白くなさそうに顔をしかめる



「君にはどう見える?」



バスローブの胸の隙間から手をいれ、ツォンがルーファウスの体をまさぐると

ルーファウスが微かに目を細めて腰を引いた



「…愛されたい?」


「さあな」



ルーファウスを抱き上げ、デスクに座らせまたキスをする



「んっ…」



舌を舌に絡めると、ルーファウスがツォンの肩を掴み目をきつく閉じた


ルーファウスの頬を両手で包むように掴み、舌で舌をなぞり続ける



「はっ…」



ルーファウスがツォンの肩に掴まりながら、唇を離す


口の中が熱い


紅く染まる頬と潤みかけた瞳に

ツォンは吸い込まれそうだと思った



「ルーファウス様、熱、ありますか?」

「いいや、ない」

「寒気はないですか?」



心配そうに自分を見るツォンの顔に

ルーファウスは苦笑する


昔のように優しく自分に触れ、心配するこの顔が懐かしく思えた


胸に棘が刺さったような痛みに襲われる




ツォンはそのままバスローブを掴み、肩をさらけ出させると

ルーファウスがツォンの手を止めた



ツォンには

ルーファウスの白い鎖骨がやけに艶めかしく見えた


この身体を愛したのはどのくらい昔だったか



「ツォン、また後悔するぞ」

「貴方がですか?」

「君が。イリーナがいるだろう?」


「私は…」



唇を重ねる



「私には貴方がなによりも大事です」



ルーファウスの頬に触れる



「そして愛しいのです」



もう一度キスをして、ルーファウスの唇を舐めると

ルーファウスの身体が微かに揺れた

そのまま舌で唇を割り、舌を舐めるとルーファウスがツォンの腕に掴まった



意識が遠のきそうだ

一瞬、クラウドとティファの影を思い出す




「…信じれると思うか、そんな言葉が」



肩のバスタオルをツォンに投げつけ

ルーファウスは着替えをしに部屋へ行った




「ルーファウス様」


背後から聞こえる声にびくりと体を揺らし

ルーファウスは振り返らずに 部屋から出ろ、と告げる



「また、私の所に戻って下さい」



ツォンが後ろからルーファウスを抱き締める



「貴方だけの私になりますから」



許せない気持ちがまだあるはずなのに

ルーファウスは胸が高鳴った自分に腹が立った



無言のルーファウスの首筋に唇を這わせると

ルーファウスが小さく声を上げて振り払おうと手を上げた



ツォンはその手を掴み、自分のネクタイを外してそれで縛った



「…なにしてる」



ルーファウスのバスローブの腰紐を外し

それでルーファウスに目隠しをした



「好きな人を、想像していいですよ。誰を想像しますか?」



優しくベッドに寝かされ、ルーファウスは着替えをしに来たことを後悔した



バスローブから肩が曝け出され、そこに口付けられる



「…縛らなくても、抵抗しないから、外してくれないか?」


「…クラウドは、貴方をどうやって抱きますか?」



強く歯を食い縛り、ルーファウスがツォンを思い切り蹴った


軽く笑われ、ルーファウスはまた蹴ろうとして止めた



「優しいですか?激しいですか?」



ルーファウスが口角を上げて鼻でわらった



「さあな」



「激しいのがお好きですからね、貴方は」



イラつきを隠すようにルーファウスは笑う



「お望みですか?」


「イリーナと約束があるのでは?」


「時間はまだ、ありますよ」








その行為は力強く、激しく、痛みさえ伴った










「私は、貴方が欲しいのです、ルーファウス様
私はまだ貴方を諦めきれません」














ツォンのあの苛立ちはどうしてだろう


あんなこと、する奴じゃなかったのに



レノともっと、話したかったな




ツォンの車が去るエンジン音を聞きながら

ルーファウスがベッドで一人、呆っとしている



まだツォンの感覚が中に残っている



クラウドは今頃ティファの元だろうか


ツォンは今頃イリーナの元へ向かっていて…










重い身体を両手で支え、ベッドから降りようと立ち上がると


腰からかくん、と倒れこむ



「クソ…」



片足を立て膝して、そこに額をつける



「シャワー、浴びたい」



少し呆っとしてから、ベッドや壁に捕まりバスルームへと移動した








綺麗に洗い流して



何もなかったようにして





吐き気に襲われ、また吐いて



胃液しか出ないそれには微かに血が混ざっていた


喉が痛む



「喉、切れたかな…」








ラフな服でソファに横になり


携帯を開いて、ディスプレイを眺める



会いたいなんて言えやしない


声が聞きたいなんて言えやしない



指先に、胸に、微かな痛み

それに気付いてルーファウスが携帯を閉めた



震える瞼をぎゅっ、と閉じて深呼吸をすると、突然電話が鳴りだした




驚いて、相手を確認しようと携帯を開くと

名前を見ることもなく通話ボタンを押してしまった




「…ルーファウス?」



その声に心臓が揺れた気がした



クラウドの声



「おい?聞こえてるか?ルーファウス?」



ルーファウスが自分の口を押さえて声を殺し

流れる涙を拭わずにその声に集中した



何故?

何故今、電話をして来るんだコイツは




「…聞こえてないのか…?…何かあったのか?」



少しだけ沈黙



「ルーファウス?」



「…泣いてるのか?」


その時背後から、クラウドを呼ぶティファの声が聞こえて

思わず通話を切って、ルーファウスは携帯の電源を落として携帯を床に投げ付けた





膝の上に額を付けて


頭を抱えるように


声を殺して泣いた




もしかしたら来てくれるかもしれない


いいや期待なんて馬鹿馬鹿しい


それより用事があったなら話を聞くべきだった



どうして電話してきた?



仕事の話か、それともお決まりの関係を切るという話?



今頃また電話をしてくれていたら、繋がらなくて不愉快にさせてるだろう



また吐き気がして、洗面台へと走った







目が覚めると、真っ暗な部屋のソファの上


床に落ちた携帯を拾い上げ、電源を入れた


もう夜中。


ミネラルウォーターを飲んで、窓をあけると月が明るくて、しばらくそれを見上げた




なにしてるんだろう、私は




寒さに頭が落ち着く様で、震えてもそのまま






その時ドアが叩かれ、がさがさと窓の方へ足音が進んだ




ルーファウスは銃を握り、その気配を黙って追った










「いた!」



目の前に出てきたのはツォンだった



思いがけない訪問者に、ルーファウスが口を開けて見上げる



「電話、ずっとつながらなくて…心配で…謝りたくて…」



不安そうなツォンの顔



「…いま…何時だと思っている…」



冷たい口調のルーファウスの声に、ツォンが寂しそうに笑う



「すみません、でも、よかった」



冷たいルーファウスの頬に、さらに冷たいツォンの指が触れる



「イリーナは?」

「寝てますよ」


「目が覚めて君がいなかったら不安がらせるぞ、戻れ」



ツォンがルーファウスを優しく抱き締める


ルーファウスは身体が固まり、目を見開いた


なんだか、胸を中心に、色んな所が痛かった




「目が覚めて、誰もいなかったら不安ですか?」



解らないほど微かに、ルーファウスの身体が震える



「…イリーナの話だ」

「貴方は不安ですか?」


「そんなもの、あるものか」



慣れた胸に抱かれる安心感に、ルーファウスが目を細める



「ルーファウス様、先ほどは…」


「随分荒れてたな」


「申し訳ありません…」


「いいよ」







「おい離れろよ」



ルーファウスがその声に素早く反応をして振り向いた



「クラウド」


そう言ったのはツォン



「ルーファウス、離れろ」



言われるまま、ルーファウスはツォンを見上げ、そっと離れた



「ルーファウス様、もう一度、チャンスをください」



ルーファウスはふっと笑って、持っていた銃をソファに放り投げた



「帰れツォン、イリーナが目を、覚まさないうちに」

そして、これが私の答えだ、と付け足す


それは、繰り返したくない思いから出した結果





ルーファウスに向けられたツォンの顔はひどく寂しげで

ルーファウスがツォンの頬を撫でた



「情けない顔だ。こんな冷えて、風邪なんかひくなよ」


「…貴方も」






クラウドがルーファウスに近づき、手を伸ばすと

ルーファウスはその手を取って笑った




その姿を見て、ツォンは一人、帰路に着いた


イリーナと居た場所ではなく、自宅へと









「実は、彼女とは別れたんです」


誰もいない車内で呟き、車を道の脇に止めてタバコを取り出す




ルーファウス様


私はやはり、貴方を愛しているのです















「クラウド、さっきは何用で電話をかけてきた?」



愛しそうにその手を眺めるルーファウスを

クラウドは荒っぽく抱きしめる



「アンタの声が聞きたくて」


「…なあクラウド」



「なに?」




ルーファウスが手を離し、ゆっくりと身体を離す




「なぜティファと関係を持つ?」



「は?」



クラウドは表情を曇らせると

立ち上がりソファの方へ歩いていくルーファウスを追って、窓から入った



「ティファに感情があるからだな?」



先にソファに座って 黙って自分を見上げるクラウドを無視して

ルーファウスは窓を閉めて、クラウドが座るソファの隣にある椅子に座った



「キミは彼女の気持ちを知った上でそういう行為に及んでるよな?」



不機嫌そうにクラウドは、ルーファウスを睨む



「私は泥沼はごめんだ。手を引かせてもらう」



「今日、ティファと話してきた。アンタとの関係も言った」




ルーファウスは微かに眉を片方だけ上げ

ため息をついた


本当は内心、とても驚いている

でも、もし嘘だったら?

ティファとはなんでもないといいながら、なんでもなくなんかなかった

だからもしこの言葉も嘘だったら



「もう、私の気持ちはキミから離れた」



「俺は」



クラウドが立ち上がり、ルーファウスの腕に手を伸ばす

身を引くルーファウスの腕を、素早く掴んだ



「俺はアンタが」



ルーファウスの表情は、こわばったような、驚いたような


そんなルーファウスを睨むように強く クラウドは見つめる



「アンタを選んだから、言ったんだ、そしてここに来たんだ!」



「でも、私は…」



今更、私は、



困惑するルーファウスに、クラウドの強い視線は注がれ続ける



「アンタはもう、俺との関係を切りたいか?」



そう言ってクラウドがルーファウスの正面に来ると

しゃがんで目線を合わせた



ルーファウスの両手を掴む




ルーファウスはクラウドのぬくもりを感じると、目線を合わせられずに俯く

また、胸が痛む

指先まで痛む


そして自分の手を包むその手を眺め

静かに首を縦に振った



「ああ、この関係は、切ってしまいたい」



「なんで」



ルーファウスから見えないクラウドの表情は

泣きそうとも取れる、悲しそうな表情



「キミを、信じてあげられないからだ」



「ティファに聞いてみろ。みんなに聞いてみろ
俺は本当に」



言葉をさえぎるように、ルーファウスはクラウドの手を握り返し

あのな、と声をかける



「うん?」



クラウドが反応を返すと

ルーファウスはクラウドを見た



「キミが彼女と関係を持っていることを知った時、私はとても嫉妬して
私はそんな自分の感情が許せなかった。
だってキミは私のものではないから。
そして、人を求めることはとてもつらいと思った。もうそんな思いはしたくない」



クラウドは微笑んで、そこに座ってルーファウスを見上げる



「それは、俺が好きだってコトだろう?
俺がツォン相手に嫉妬したり、アンタと朝まで居るために
ティファにアンタとの関係を言った俺の気持ちもそうだ」



ルーファウスがクラウドと目を合わせる


クラウドはまた、口を開いた



「あんたが待ってる人が、俺じゃないなら俺は諦めるけど」



そして立ち上がる



「なあ、すぐ答えれる?」




ルーファウスはゆっくりと、首を横に振る



「今は冷静になれなくてね」



見守るクラウドを見上げ、ルーファウスが複雑そうな表情を見せる



「悪いが、一人にしてくれ」


「…わかった」




窓から出て、クラウドがフェンリルに乗り込む



エンジン音を聞いて

ルーファウスは窓を閉めた




決めたはずだ。関係を絶つと




このまま

彼とはもう無関係になればいい


そうすれば、楽になる





閉められた窓を見て

クラウドはため息をついてゴーグルをする



そして、ゆっくりと発進した








ミラーで後ろを確認すると


外に出ているルーファウスを見つけて

素早く引き返した






ルーファウスの目の前に停まり

ルーファウスを見る



「んな早く答え出たのか?」



寒そうに身を縮めているルーファウスが

クラウドのゴーグルを取り去った



「うん、実は答えは出ていたんだ」



ゴーグルをクラウドに渡し

そのままクラウドの胸に頭を預ける



「一緒にいたい」




優しい顔で、クラウドが微笑むと

優しい腕で、ルーファウスを抱きしめた



「ああ、俺も」










指先から全身まで広がった痛みが

やっと消えた


































ブハー。オエッ、甘ッ