jouer










クラウドは、ルーファウスの家に入りすぐ
少し前から感じていた気配のことを切り出す




「気配が、するんだが、弱い」



ルーファウスがクラウドに、コーヒーを出した



「誰の?」

「セフィロスに似ているが、セフィロスじゃない」




そう告げるとルーファウスが、目を大きくして頷いた



「ああ、それは」

「兄さん?」



ドアが開かれ、出てきたのは



「カダージュ」



クラウドとルーファウスの声が重なった




カダージュはルーファウスのココアを掴み、飲み込む



「どうしてここに兄さんがいるの?」



クラウドは眉をしかめ、カダージュを睨んだ



「お前は、なぜここにいる」

「僕が先に質問したんだけど」

「…ルーファウスこいつ何しに来た」



ルーファウスがココアに手を伸ばすと

クラウドがルーファウスにコーヒーを差し出す



「話をしに来たらしいが、話す前に寝てな。今起きた所らしい」



ルーファウスがコーヒーを一口飲んで、クラウドに返した




「社長、兄さんはなんでここに来たの?」

「さあ、私に会いに来たんじゃないか?」

「社長は先にどっちと話をするの?」

「どっちでも」

「おい、こいつ大丈夫なのか」



クラウドがカダージュを指さすと、ルーファウスは肩をすくめた



「大丈夫だろう」

「本当に?」



ルーファウスは薄く笑って、クラウドのコーヒーをとった



「君がいるから、心配はない」

「なにもしないよ」



カダージュがルーファウスの手にあるコーヒーをクラウドに渡し
代わりにココアを持たせた



「ねえ社長、好きな人って何?」

「なんだ唐突に」

「いや、好きはわかるんだけど
恋人か好きな人がいるかって聞かれて答えれなくて」

「誰に聞かれたんだそんなこと」

「レノ」

「…カダージュは、誰に会いたくなる?誰と居たい?」

「…母さんと、社長」



ルーファウスが苦笑してココアを飲んだ



「じゃあ、その二人だ」



カダージュが身を乗り出してルーファウスに近づく



「じゃあ、社長の好きな人は?」



ルーファウスは肩をすくめ、横目でクラウドを見た



「私は、自分が一番好きだ」

「それって答えになってないよね?」

「気にするな。続きを話そう」


「どうしたら好きな人に好きになってもらえるの?
母さんも社長も、僕を好きじゃないんだ」



ルーファウスが答えずにいると、カダージュはクラウドを見た



「兄さんの好きな人は?」

「お前には教えない」



カダージュは不機嫌そうな顔を見せる



「好きな人は、兄さんを好きなの?」



クラウドがルーファウスを見ると、ルーファウスは笑って見せた



「たぶんな」

「どうしたら、好きになってもらえるの?」

「知るか」

「カダージュ、クラウドは好かれる人間だが、不器用だ」

「わかんないよ」



立ち上がるルーファウスを無視して

クラウドがカダージュに近づく



「ルーファウスを好きなのは、何故だ?」

「わかんない。社長と居ると、なんか人になった気がしてさ、居ていいんだと思うんだ」



クラウドをじっ、と見て、カダージュが口を開く



「兄さんはどうして社長が好きなの?」



クラウドは顔をしかめると、コーヒーを飲んだ



「人の心読むなよ」

「読めないよ。好きだから社長に会いに来たんじゃないの?」



クラウドがテーブルに突っ伏すと、カダージュがクラウドの真似をした


少し離れた場所からルーファウスがそれを眺め

微笑んだ



「兄さんは好かれてるから、いいよね」

「ルーファウスが言うには、俺は大事な人が多いかららしい」

「わかんない」

「好きな人、大事なを大事に思えば、大抵の場合は大事に思ってくれる」

「社長は兄さんが好きなの?」

「俺の口からは言えない」

「社長はセフィロスが好きなんだと思ってたけど」



クラウドの顔を見て、カダージュがルーファウスを呼んだ



「兄さんの顔が怖い」

「怒らせたのか?」

「知らない。社長はセフィロスが好きなんだと思ってたって、言っただけ」



ルーファウスがクラウドを見ると、またテーブルに突っ伏した

ルーファウスが笑ってクラウドの肩に手を置いた



「君の兄さんは欲張りだ。たくさんの好きを、持っていて、もらっている」

「アンタは、いつだって誰かの特別だ」

「それは君だろう」

「アンタだ」

「私は誰かの一番ではないよ」



勢いよくクラウドが起き上がる

ルーファウスはその隣に座った



「セフィロスは!タークスは!」



「あのたまに現れるイカレたセフィロスは私のことなど眼中に無いよ。
タークスは仕事のパートナーだしな。どこかの誰かは仲間のほうが大事だろうし」

「俺は…」

「社長、僕が社長が一番なら、社長は僕を一番にしてくれる?」



ルーファウスは真剣なカダージュを見て、笑った



「可愛いよ、お前は」

「嬉しくないな」

「ルーファウス!」



クラウドはルーファウスの目の前に手を置いて立ち上がる



「確かに俺は大事な人が多い、でもアンタは特別だ!」



そのまま固まるルーファウスを抱き締めると、カダージュがクラウドを叩いた



「離れろよ!」



ルーファウスは片手でクラウドに抱きつくと、もう片方の手でカダージュを撫でた



「社長!」
















「僕は必要じゃないから愛されないの?」



書類を整理するルーファウスを邪魔しながら

カダージュはルーファウスに話かける



「必要だから、存在してるんだろう?」

「じゃあ必要じゃなくなると死ぬの?」



ソファに転がってたクラウドが、ルーファウスを見る


ルーファウスは変わらない表情で口を開いた



「いいや、死ぬというのは、神に愛されてるからなんだ。
神は自分の傍に置きたくて、連れていく」

「愛されてるから死ぬ?」

「死んだ時、誰かがその死を悲しみ涙を流すと、死者は天使になれる」



クラウドが起き上がる



「初めて聞いた。誰に聞いた?」



クラウドを見て、ルーファウスはペンを自分の唇に当てた



「作り話」



クラウドが笑い、また転がった



「じゃあアンタは天使になれる」

「君も」

「僕は?」



ルーファウスが目の前のカダージュの額にキスをした

カダージュが目を丸くすると、ルーファウスは少し、笑った



「勿論なれる。だが、君は私よりも長く、生きてほしい」

「社長は僕のために泣いてくれないの?」

「ああ、私は泣かないんだ。誰も私より先には死なないから」

「アンタは俺の後だ。俺が生きてる間は、死なせない」



ルーファウスがいつの間にか近づいているクラウドを見上げて

素直に笑った



「君に口説き落とせない人は、いないだろう」

「生憎アンタ以外は口説いたことが無い」



クラウドの顔は、少し赤い

でも、真剣に真っ直ぐ、ルーファウスを見る



「負けを認めよう」



ルーファウスはクラウドの手を掴んで、自分の頬に寄せた



「クラウド、もしも君が死んだら、私は涙が枯れるまで泣いて、
もう他の誰かのためには泣かないんだ」

「兄さんと社長は、好き合ってるんだ」



不機嫌そうなカダージュに、クラウドが視線を移す



「好きより強い好きだ」



クラウドの言葉にルーファウスは声を上げて笑った



「カダージュ、そんなに好きだの特別だのが欲しいなら、もっと人と接しろ
そのうち大切なものがわかる。見つかる」



「クラウド、君は今日何だかおかしいな。いつものクラウドじゃない」

「悪かったな」

「悪くない」



カダージュがじっとそれを見て、ため息をつく



「僕も、そんな幸せそうな顔したい」



「誰が幸せそう?」



ルーファウスの言葉に カダージュは二人を見た



「両方だよ。でも、僕兄さんは嫌いじゃないけど社長は好きだよ」


「クラウドより、兄みたいか?」


「ううん、兄さんとかそういうんじゃなくさ
優しいしあったかいし、ずっと見てたいとか触ってたいとか思うんだ」


「それって母さんじゃないか?」



クラウドが笑いながら言うと

ルーファウスはペンでクラウドを突いた



「うーん、ちょっと違うような。ねえ社長はどうして僕を追い出さないの?」



カダージュの言葉に、クラウドもルーファウスを見る



「さあ、追い出すなんて発想が無かったからかな?」



ルーファウスは二人に見向きもせずに

平然と書類にペンを走らせる



「アンタってそういうヤツだよな。でもコイツいる間は俺も泊まるぞ」

「やだよ、社長と二人になれないじゃん。かえってよ」

「イヤだね」




ルーファウスは二人を見て苦笑して書類をそろえた



「賑やかになりそうだ」












ほのぼのと

この先ルーは二人の掛け合いとかに笑って和みます

カダージュがルーに持ってるのは恋愛感情だから!!

ヤズーとロッズはどうしたの?

題名のjouerは、仏語で遊ぶという意味らしい。ジュエ。