「空、たけぇー!」



それは、本当にきれいな青空だった


ザックスはその空に、感動して

アンジールはその空に、故郷を思い出す




「アンジール」




人懐こい笑顔でアンジールに駆け寄り、ザックスはまた空を見上げた


指をさす先には




「虹!」




薄くかかる虹を見つけ、はしゃぐ




「落ち着きの無い奴だな」




微笑むアンジール


その虹は、どんどん色濃くなって

はっきりと姿を現した




「綺麗だ」




アンジールの言葉に満足したように

ザックスは笑う





「ああ、綺麗だ」



そして空に向かって腕をのばすと、歩き始める


アンジールはそのザックスの背中を眺めながら、ゆっくり歩く




「アンジール」


「なんだ」


「今回の任務って、なんか休暇みたいだな」


「……」





確かに、ゆるい任務で

おかげで2人はこうして空を眺める余裕がある




ザックスが振り返り

笑う




虹がかかる空に


その笑顔はあまりにも自然に溶け込んだ




アンジールは、笑うのを忘れて 一瞬その姿に見入ってしまう




ザックスはまた空を見上げる




「虹ってすぐ消えるよな」



アンジールみたいだな、とぽつりと呟くと

そしてまた、にっ、と笑う


澄んでて、綺麗で、存在感があって


でっかい、みんなの憧れ




ザックスの心が読み取れず


アンジールは不思議そうに眉をひそめる





「俺のどこが…」

「あ!消えてきた!」




太陽が輝く



少し雨に濡れたザックスの髪から

雫が跳ねる





「アンジール!」




こいつに名前を呼ばれるのが

いつから心地よくなったのか


考えながらアンジールは歩く




「この空、持って帰りたい」




立ち止まり、空を見上げるザックスの表情はどこか淋しそう



アンジールはザックスの隣に立ち止まり、肩を叩く



「なあアンジール、空っていいよな。
あんまり思わなかったけど、今すごい思う。こういう時間、必要だ」


「持って帰りたい、か」


「ああ、持って帰りたい」




疲れた奴らみんなに見せてやりたい


仕事ばかりの奴らみんなに見せてやりたい



疲れた時、見ていたい





「空なんて、どこにでもあるだろう」


「ここの空はここだけだ」





アンジールは笑ってザックスの頭を乱暴に撫でると、歩きだした




「いつか最高の空を見せてやる」


「最高の空?」


「ああ、俺の故郷だ」




ぴたり、と動きを止めてから、ザックスは足早にアンジールにまとわりつく




「アンジールの故郷!本当に?」


アンジールは、笑顔だ



「ああ、真面目に仕事してたらな」


「本当に、絶対だからな!」


「ああ」


「約束だからな!」


「うるさいぞ」


「約束破るなよ!絶対連れてけよ!」


「あまりしつこいと連れていかんぞ」


「わかったよ、じゃあもう言わない。でも、約束だよな?」


「ああ」



「よっしゃー!」





嬉しそうにはしゃぐザックスに


アンジールは自然に笑顔が出る



きっと自分の故郷の空を


ザックスも気に入る筈




いつか2人で




最高の空を眺めよう





飽きるまで、ずっと










CCをやったあとに書いた物です。

ええそうです。
アンジール×ザックス大好きです。


マナーなのか…やはりマイナーなのかっ…