「抱きしめる試み。」 (戦いを背景に) 設定無し。設定無視。設定無茶苦茶。 |
「その1・もうデキてるクラルー」 無数にある傷から流れる血に ルーファウスは顔をしかめる 「社長、すみません…お逃げ下さい…」 壊れたヘリの中にはもう回復系のアイテムがない 目を閉じて気を失うツォンを見て ルーファウスはヘリの外に出た 戦闘に勝てば 何か入手できるかもしれない ポーションだって何個か入手できれば 体力は回復する 早く戻らねば できるだけ強いモンスターと戦う 実戦の経験は少なくもないが多くは無い 集めた回復系のアイテムをツォンに使い また集めに行く それを何度か繰り返す ツォンの出血は止まった それでもまだ足りない 倒せるはずの無いレベルのモンスターに遭遇してしまった 「やばい」 銃を向けるが 相手の一撃でルーファウスの体力のほとんどが奪われた 2度目 振り上げられた爪を ルーファウスは睨む これで終わりか? そのモンスターが突然倒された 振り向くと クラウドが立っていた 「ツォンから電話もらった。動けないから急いでアンタを助けろって」 そう言いながらクラウドはルーファウスに回復魔法をかける 「来てくれたのか」 安堵を表情に出して ルーファウスは微笑む 「もう、大丈夫だ。ツォンはどこだ?」 「そっちの茂みに」 「ルーファウス」 クラウドがルーファウスを抱きしめて笑った 「頑張ったな」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「その2・もうデキてるセフィルー」 ゆらりと 炎が揺れる 激戦にピリオドを打つべく戦地に赴いたセフィロスが 帰ってくる予定はとっくに過ぎている 蝋燭をじっと眺め ルーファウスはため息を吐き 鳴らない携帯電話を蝋燭の隣に置いた 今日も 声も聞けないまま終わる 窓の外は寒々しく 雪景色 蝋燭の灯りは小さく 頼りない 時計が0時を過ぎた 流れる蝋を無視して ルーファウスは目を閉じた 一瞬寝入ったか 突然窓から冷たい空気が入ってきて 蝋燭の灯りが消えた ルーファウスは暗闇で苦笑を漏らす 「ただいま、ルーファウス」 笑顔のセフィロスをルーファウスが見上げる 「遅刻だ馬鹿」 「すまん、遅くなった」 窓を閉め ルーファウスを抱きしめる 「待っていたか?俺を」 「お前なんか忘れて寝ていたよ」 「つれない奴め」 そう言って笑うセフィロスにつられて ルーファウスも笑った ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「その3・うっかりジェネルー」(ちょっとイキヌキ) ルーファウスが銃を構えた瞬間 ジェネシスは敵を召喚魔法で燃やし尽くした 「キミに倒せない敵はいないのか?」 「あなたに倒せる敵はいますか?」 ルーファウスが笑うと ジェネシスも笑った ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「その4・まだデキてないクラルー」 黒い煙を吸いこみ ルーファウスが咳込む まだ激戦区のこの地域で ルーファウスは空を見上げた 「アンタは足手まといなんだよ」 クラウドのその言葉を受け ルーファウスはクラウドを睨む 「黙れ貧乏人」 「苛つく」 昨日より呼吸が荒いルーファウスにクラウドはため息をつく 「悪化してるぞアンタ」 「それは私だけじゃない。ここの地域の人間みんなだ」 小さな洞窟の中 クラウドとルーファウスは休息を取る ひと眠りして 食事を取ってクラウドがまた洞窟から出る その姿を見届けた後 ルーファウスも出る すぐそこで いたる所で 血の雨が降る 「アンタもう外に出るのやめろ」 ヒューヒューと息をするルーファウスが 首を横に振る 「物資の調達がキミに出来るか?」 「死なれたら面倒なんだよ」 「外に放っておけば吹き飛ぶだろう」 「それこそ物資の調達は誰がやる?生きてりゃそのうちまたできんだろ」 「他にもこういう取引が出来るやつくらいいるさ。これ」 「なんだよ」 「ここに私が取引している相手の情報や、他にも役立つ情報を書いた」 「俺には無理だ」 「ここに置いておく」 ルーファウスが横になると クラウドはため息をついた 「面倒を俺に押し付けるな」 翌日 戦場から戻ったクラウドが 寝ているルーファウスを覗きこむ 「おい、聞いたか?」 薄くまつげを揺らすルーファウスを揺する 「おい、いつまで寝てんだ」 「帰ったか」 薄く目を開くだけのルーファウスの顔色に クラウドの顔色も変わる 「おい、ちょっと待て」 「すまない、面倒を押し付けることになって」 「おい、馬鹿かお前!起きろ」 「物資、倉庫に補充したから、私は外に、放っておいてくれ」 「起きろ!馬鹿かお前起きろ!」 ルーファウスがクラウドを見上げ 笑う 「早く、終わるといいな、クラウド」 「起きろ!待て!終わるんだ!終わるんだ!」 既に反応を見せないルーファウスを抱き上げ クラウドが叫ぶ 「もうすぐ終わるんだ!だから待てよ!」 「ルーファウス」 ルーファウスの身体を抱きしめ クラウドが泣いた 2日後 戦いが終わった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「その5・まだデキてないセフィルー」 敵国の男が捕らえられ 拷問にかけられた 3日前のこと 口を割らないスパイが今日 何も話さなかったら殺せ そう言われ セフィロスは地下室へと進んだ 鎖に両手両足を繋がれ 固い鉄の椅子に座らされた男を見る うなだれている男に近付き セフィロスは剣の鞘で男の顎を持ち上げた 「名は」 男がセフィロスを睨み上げると セフィロスは鞘を引っ込めた 「…どこの国の者か、名は何というか、目的は何か 吐かなければ貴様をここで殺すことになる。 処刑は俺の担当だ」 拷問の跡をこれまで見てきたセフィロスは 男を見ても驚くことは無い 「俺は痛めつけるのが趣味なわけではないが、気が長いわけでもない。 喋らないなら斬るぞ」 男は声を絞りだすように 喋った 「斬るがいい」 「喋れるなら喋れ。無駄に殺すのが好きなわけではない」 「何度も言っている、何も話す事はない」 「では答えろ、出身はどこだ」 「この国だ」 「嘘つくな。お前の髪の色の人間は異人だ」 「私は、この国しか知らん、この事実を嘘というなら早く斬れ」 「親はどこの生まれだ」 「…言っても信じないだろう、なら早く斬れ」 セフィロスは首をかしげて男の前に座った 「言ってみろ」 「…親は居ない。育ててくれた神父も知らないと言っていた」 「その神父はどこだ」 「戦争が殺した」 「…子供の頃のこの土地の思い出はあるか?」 「…私はいつも、隠れて暮らしていた。外に出たことは無い」 この男が捕らえられたのは おおきな教会が爆撃された跡地だと聞いている セフィロスは男の目を覗きこんだ 「証明できるものはあるか?」 「小さい頃、神父が写真を撮ってくれた…それは証明にはなるのか?」 「わからんが、探しに行こう」 セフィロスはそう言うと 男に回復魔法をかけた 「立てるだろう」 「…何故そこまで?」 「さあ…お前美形だな」 男を見て セフィロスが笑った 隠し通路から外に出ると 外は暗い 教会の跡地を指さし 男がセフィロスを見上げる 「私の部屋は屋根裏。大きな部屋だった」 瓦礫の中 男は探し物をする 「…お前、名は?」 「ルーファウスだ」 「俺はセフィロスだ」 「知ってる」 「何故」 「有名だろ。英雄だ」 ルーファウスが何かを見つけ それを胸に抱えうずくまる 「どうした」 「神父の聖書だ…燃えてなかった」 セフィロスがそれを優しく取り ページをめくると 写真が出てきた 「神父と、これお前だな」 ルーファウスが肯くと セフィロスは写真を戻し 聖書をルーファウスに返した 「ここで解放されて お間は行くところがあるか?」 「またすぐに掴まる」 「軍はお前をスパイに仕立てあげ、殺したがっている」 「知ってる」 「俺の家に来るか?」 「無理だ、見つかる」 「俺の家は安全だ。出歩かないのは慣れているんだろう?」 セフィロスの家に住んで3日 セフィロスは毎日遅くなっても帰ってきた 「ルーファウス、この戦争が終わったら、俺が外に連れ出してやる」 「本当か?危なくないか?」 「俺が隣にいて、危ないかと思うのか?」 「そういえばそうだな」 笑うルーファウスを セフィロスが抱きしめる 「もう大丈夫だ」 翌日の夜 帰宅したセフィロスが目を見開いた 玄関で ルーファウスが血を流して息絶えていた まだ温かいルーファウスの身体を抱き上げ セフィロスはうずくまった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「最後に戦争に関係無いのを」 「ルーファウス」 身体を揺すられ目が覚めた 目の前にあったのはクラウドの顔だった 「クラウド…お帰り…」 「ただいま。アンタうなされてたぞ」 「…ああ、いや…夢見ていたんだな…」 「なんの夢だよ」 「えっと…わからない」 「忘れたんだ?」 「そうみたいだ…」 ルーファウスが自分の前髪に触れるクラウドの手を掴んで抱きしめる クラウドはもう片方の手でルーファウスを抱きしめた 「クラウド、いつ帰ったんだ?」 「けっこう前。風呂入ってから隣で寝てたんだけど」 「寝てた?起きたのか?」 「いや、アンタの声で起きた」 「声?」 「ああ。うなされてたから」 「…すまない」 「いや、平気。大丈夫か?」 「ああ、大丈夫だよ」 「っておい、くすぐったい」 「風呂上がりのにおいがする」 ルーファウスがクラウドの耳付近に鼻を近づけると クラウドは笑いながらルーファウスの額に口付けた 「そういうことされると勃つぞ」 「それは困る」 ルーファウスが目を閉じながらクラウドの肩口に頭を預ける 「なんで困るんだよ」 「だって眠いだろう?お互い」 「アンタ眠いのか?」 「キミは眠くないのか?」 「あんまり眠くない」 クラウドがそう答えると ルーファウスは目を開いてクラウドを見る 「…アンタが眠いなら、俺も寝る」 「本当は、あまり寝たくない」 「寝たくない?夢見るからか?」 「うん。いや、眠くないからだよ」 「…どんな夢見たんだよ…アンタ、叫んでたぞ」 「…叫ぶ?なんて?] [いや、小さく悲鳴を上げた感じだから、なんて言ったとかはないけど」 「一体どんな夢を見たんだろうな、私は」 「悪夢?」 「…さあ。わからない」 「怖い夢?」 「いや、違うと思う。わからない」 「最近夢見悪いんじゃないか?」 「…もしかして今日始まった事じゃないか?」 「昨日さ、寝苦しそうだったぞ」 「そうか…夢は覚えていないんだが、昔からたまにあるんだ。何だろうな」 「ちょっと心配だな、そういうの精神的ななんかだろ?」 「今は大丈夫、キミがいるから」 「起きるまで離れないから安心しろ」 クラウドがルーファウスを強く抱きしめると ルーファウスも抱きつく |
2010年最後。 特に意味もなく何となくです |