ソレル |
「セフィロス、顔色が悪いぞ」 苦笑しながらルーファウスがセフィロスを見上げる 「心配した」 ルーファウスに巻かれている縄を解いて セフィロスはルーファウスの手首にキスをした 数時間前にさらわれたルーファウスを見つけ出し 助けだしたセフィロスが本社に報告を入れる 「心臓に悪い。もうさらわれるのやめろ」 「それは私にはどうすることもできない」 「ずっとそばにいろ」 「無理だろ」 笑いながら立ち上がるルーファウスを、セフィロスは抱きしめる 「怪我が無くてよかった」 「何もされてない。キミがすぐに来たからだ。さすが優…」 ルーファウスの言葉を最後まで聞かずに、セフィロスがキスをする ルーファウスは抗議する様にセフィロスの腕をたたいた 「本当に、何もされてないか?」 「手を縛られてここに閉じ込められただけだ」 「本当に?」 しつこい、と言おうとしてセフィロスを見上げ 本当に心配そうな顔を見て、思わずルーファウスは笑った 「ああ、本当にだ」 両手をプラプラさせながら歩き出すルーファウスをセフィロスが追った 「副社長昨日誘拐されたんだって?」 出勤してきたセフィロスにザックスが寄ってきた セフィロスはうなずいて答えた 「ちょくちょく誘拐されるよな。身代金目当て?」 「…今回は脳味噌目当て」 「何それ」 セフィロスが座って、ザックスを見上げた 「ルーファウスはだいたいのことならどんな情報をも引き出せる能力があるからな」 「なにその超能力」 「機械に超人的なだけだ。そして知識も豊富だ」 「はー、そういう意味か」 「神羅の情報欲しさに誘拐」 「要するに頭が良いんだ?」 「そういうこと」 セフィロスは少し考えて立ちあがる 「ちょっと、行ってくる」 副社長室に行くと鍵がかかっていた セフィロスは器用に施錠を解除し、中に入り鍵をかける 執務室の隣の部屋を開くと、そこはルーファウスが仮眠室と呼ぶ小さな部屋 ルーファウスが眠っていた 軽く頬を撫でる 無反応のルーファウスの額にキスをした 上に着ている物を脱いで、セフィロスは隣に横になる 顔色のよくないルーファウスを抱きしめ、目を閉じた 「ん…う…」 肌に触れる何かの感触でルーファウスが目を開くと セフィロスが覆い被さってルーファウスの肌を撫でている ルーファウスは驚いて飛び起きた 「セフィロス?!」 「疲れてるんだろう?寝てていいぞ」 そう言いながらセフィロスはルーファウスの首に吸いついた 「わ…」 ルーファウスはセフィロスの腕をつかむ手に力を入れる 「何もしなくて良いから、黙ってろ」 耳元でセフィロスに囁かれ、ルーファウスが身震いをする 耳を押えてセフィロスを睨んだ 「ここは、会社だ、やめろ」 「鍵はかかってる」 はっとセフィロスを見上げてルーファウスは首をかしげた 「…あ…鍵かけたはずなのにおまえ、どうやって入ったんだ??」 セフィロスがルーファウスを見下ろし、一瞬止まった そして笑って頭を撫でた 「わ、なにをする!」 「かわいいよお前」 「意味がわからん!」 「鍵くらいあけられる」 「どうやってあけたんだ」 「企業秘密だ」 「壊した?」 「まさか」 「スペアキー?」 「ないだろう」 「…魔法?」 「どんな魔法だよ」 話しながらも自分の服を脱がすセフィロスに ルーファウスが笑った 「脱がすなよ」 「もう遅い」 「何時だ今」 「まだ昼前」 脱がされ まさぐられているのを気にも止めず ルーファウスは枕もとの携帯に手を伸ばす 「仕事ないのかお前」 「ああ、今日は午後から少しな」 「昼食食べる時間なくなるぞ」 「お前でいい」 脱ぎだしているセフィロスの肩を叩いてルーファウスが笑う 「私は食品ではない」 「お前は俺の心の栄養だ」 「寒い」 「うるさい」 「なあ、この部屋は、俺以外に誰が入った?」 「許可も無く入るのはキミぐらいだ」 「入ることを許可したのは何人だ」 「それは数えることが出来ないな」 「全員とやったのか!?」 「…お前な」 「抱かれたのか!」 「とりあえずキミはやめろというのにしたよな」 「抵抗はしなかった」 「まあな」 「誰が一番多くこの部屋に入った」 「私だ」 「違うだろう」 「キミだ」 「違うだろう、俺ははじめてだぞ」 「だから言ったじゃないか。入ることを許可した人数は数えられないと。 いないものは数え様が無い」 「…本当か?」 「嘘ではないが別に信じれないならそれでも構わんが?」 「信じる」 裸でぎゅっと抱きついてくるセフィロスを、ルーファウスは叩いた 「くすぐったい」 「…なんだ冴えない顔して」 ソルジャー統括、ラザ−ドがセフィロスを見上げる 溜息をついて書類を封筒にしまった 「届けなければならない書類があるんだが、どうも腰が重くてね」 「どこに」 「副社長」 「どうして腰が重い?」 「…苦手でね」 「セフィロス、副社長と仲良いですよ」 アンジ−ルの言葉に、ラザ−ドは書類を眺めてからセフィロスを見た 「急ぎなんだが頼めるか?」 「ああ」 副社長を苦手だという奴は多い 噂が噂を呼んで、いい印象はない そして本人も愛想が無い しかしラザ−ドのそれは、何か違うように感じた なにか接点があるのか? セフィロスは副社長室の前で立ち止まった 「ルーファウス、入るぞ」 扉に声をかけると、自動的に扉が開く 「ルーファウス、統括からこれ」 「…なんでキミが?」 「忙しいみたいだったからな」 「統括に頼まれたのか」 「ああ」 ルーファウスがふん、と鼻をならして 受け取った書類をデスクに叩きつけた その様子を見てセフィロスが首を傾げる 「それ、急ぎだったんじゃないのか」 「今日中とは言ったが」 「…ルーファウス、どうした?」 「なにが」 ルーファウスがデスクの上の紅茶を飲み、セフィロスを見た セフィロスがゆっくりルーファウスに寄っていく 「統括となにかあったのか?」 「いや、なぜ」 「なんとなく。ただの感だ」 「なにもない」 「嘘だろう」 「なんだその全く当たらない感は」 「…意識、してないか?」 「彼が私を避けるのは私の事が苦手なだけだろう。別に珍しくないさ」 いろんな噂があるからな、とルーファウスが呟く セフィロスが部屋を出ていった後、デスクに放った書類を手に取り、サインをした ルーファウス神羅 書いてからそのサインを睨み、封筒に入れた 呆っと封筒を眺めながら、ペンを口に当てて、ゆっくりと噛みつく 「社長、ソルジャー統括ラザ−ドからの書類だ。目を通して今日中に返しておいてくれ」 「わざわざお前が届けるなんてどんな書類だ」 「ラザ−ド統括からの大事な書類だ」 プレジデントがルーファウスを睨むように見ると すぐにその書類に目を通した そして社長室を出ようとするルーファウスを呼びとめる 「お前が返しておけ」 「断る」 「副社長、この書類をソルジャー統括に渡せ」 「これから私は取引先に行くのだが」 「これくらいもできないのか。そんなに役立たずなのか」 「社長が面倒がっている所に私がわざわざ行くんだ。少しは感謝してもらいたい」 「お前は社長の器じゃない。候補はお前以外にもいることを忘れるな」 ルーファウスは不機嫌そうに書類を受け取って部屋を出た 無人のラザ−ドの執務室に書類を置いて 辺りを見まわすと足音が聞こえた ルーファウスは聞きなれた足音の主を見上げる 「ルーファウス、どうした?」 セフィロスがフロッピーをラザ−ドのデスクに置いて、ルーファウスを見た 「書類を置きに」 それだけ言うと、ルーファウスはセフィロスの胸に額をつけた 「ル…ルーファウス?」 セフィロスがルーファウスを抱きしめようと手を伸ばした瞬間に ルーファウスはセフィロスから離れた セフィロスはルーファウスの腕を引っ張り抱きしめた 「なにがあった?」 ルーファウスはぐっと力を入れて離れてから、セフィロスを見上げる 「なにもない。疲れただけだ」 「嘘だろう」 「こんなことで嘘をついてどうする」 「でもお前」 何も無いのに自分からくっついてくるか? セフィロスは胸のうちにその言葉を留めて首を振る 「本当に何も無いのか?」 「しつこい」 「それならいい」 歩き始めたルーファウスを追う ルーファウスは自分の執務室までついてきたセフィロスを見上げた 「何か用事でも?」 「抱きしめてキスがしたくてついてきた」 「帰れ」 「ここでしていいのか?」 手首を掴まれたルーファウスは溜息をついて扉を開けた 入った瞬間後ろから抱きしめられる 扉が閉まった なにがあった? セフィロスはルーファウスを抱きしめ、口を開く 「何があった?」 そう言ったルーファウスはいつのも表情でセフィロスを睨むように見ている 「いや、なんでもないんだが…」 キスをしようとした瞬間、ルーファウスの執務室の電話が鳴った 「タイミング悪いな」 「ふふ、戻れ、これからでかける」 セフィロスは軽く触れるだけのキスをして部屋を出た 「なにを調べているのですか?プレジデントが、気にしていましたよ」 ヴェルドが助手席のルーファウスに言うと ルーファウスはふん、と鼻をならした 「自分の悪事でも探られてると思っているのか」 「親はいくつになっても子供を心配するものです」 「あいつがしているのは自分の心配だ」 「…で、なにをお調べで?代わって調べましょうか」 「個人的なことだ。誰にも関係は無い」 「そんなことはないでしょう」 「私の問題だ」 「なにか不安がありますか」 「不安は無い。あるとしたら不満だ」 「なにに対してですか」 「私の問題だ。これ以上話をするつもりはない」 「そうですか」 「大丈夫か?」 はっと、ルーファウスが顔を上げるとセフィロスがいた 気付いたら自分の家の前に座りこんでいた 「なにがあった?」 「なにって?」 「だってお前、自分の家の前で座りこんで考え事なんて」 「おかしいか?」 「…何かあったように見える」 「考え事を」 「どんな?」 じっと地面を睨んでから ルーファウスは首を振った 「ぼーっと、してた。疲れてるみたいだ」 立ちあがった瞬間ふらつくルーファウスをセフィロスが支えると ルーファウスはそっとセフィロスの手を離した 「用事を思いだした。ちょっと、行くから好きにしててくれ」 「ルーファウスお前、なんかおかしいぞ、送るから、どこだ?」 「いや、近くだから大丈夫だ」 「なあ、その用事、今じゃなきゃ駄目か」 心配そうに自分を見るセフィロスを見上げ ルーファウスが苦笑した 「…明日にするよ」 眠りについたセフィロスを覗きこみ、軽く叩く 無反応を確認してからルーファウスはセフィロスの胸に抱きついた 無意識にルーファウスを抱きしめるセフィロスに擦り寄って目を閉じて 唇を噛む きつく絵を閉じてから目を開く そっとセフィロスから離れ 起きあがると 部屋を出た 私よりよほど、神羅を…セフィロスは知っている 「とうさん、ねえ、ぼくね」 父の手を掴むと 勢いよく振り払われた 自分を見もしないで鬱陶しそうに顔を歪めている 人に触れることに抵抗を覚えたのは 物心つくかつかないかくらいの時だった 「ルーファウス、風邪引…」 暗い部屋のソファに座っていたルーファウスがセフィロスを見上げる 「泣いてるのか?」 慌てたようにしゃがみ込み、セフィロスはルーファウスの目元を撫でる そこは濡れてはいなかった 「なにがあった?」 「なにも」 「俺、なんかしたか?」 「違うって」 笑えてない、引きつった表情のルーファウスを セフィロスは抱き寄せた 「どうしたんだよ」 「なにも無い。昔の夢を見ていた」 「どんな」 「まさか。覚えてない」 「嫌な夢だったのか?」 「さあ、覚えてないと言っただろう」 セフィロスがルーファウスの手に触れる ルーファウスは手をびくりと反応させて セフィロスの手を見た そして微笑む セフィロスが心配そうにルーファウスを覗きこむ ルーファウスはセフィロスの首に腕をまわして抱きついた セフィロスはそのままルーファウスを抱き上げベッドに移動する 「何があったんだ」 ルーファウスは首を横に振って 焦点が合ってないような目で笑った 「何も無いんだ、本当に」 「俺にはウソをつくなよ」 ルーファウスはセフィロスを見上げて、じっと眺める 「しつこいな。何もないって。そんなに私はおかしいか?」 セフィロスは少し考えて寝転がった 「おかしいというか、何と言うか…いつもとは違うな」 「…ちょっと疲れてな。この間の誘拐の日から休みがないからかな」 「確かに誘拐された日も帰ってから仕事してたな…」 「おやじは仕事中も息抜きしてるのにと思うと腹が立ってね。苛々してた」 苦笑するルーファウスに セフィロスが微笑む 「お前は優秀だから頼られるんだよ」 「それは違う。私は実際何も教えられない」 「お前は潔癖な部分があるからな…」 「はあ?」 「情も深いしな」 ルーファウスが突然笑い出し セフィロスを叩いた 「そんなこと、お前しか思ってないよ」 セフィロスも笑いながらルーファウスを抱き締めた 「お前の素顔を知ってる数少ない人間だということだ」 黙るルーファウスの額に セフィロスは優しく口付ける 「ルーファウス、俺は何があってもお前の味方だ。お前が狂ってもな」 ルーファウスがセフィロスの頬を包む そして額に額をくっつける 言いたいことはたくさんある それでも言葉には出来なくて ルーファウスは苦笑した 「私はいい。一人でもいい。でもキミは一人ではダメだ」 「どういう意味だよ」 セフィロスが顔をしかめると ルーファウスがセフィロスを抱き締める 「キミがこの先どんな感情であれ他の誰を選んでもいい。 でも、私は常にこのポジションにいるんだ」 「俺は他の誰も選ばないぞ」 「ふふ、知るか」 「俺はお前が他の誰かを選んだら許さないぞ。お前もその相手も殺すかもしれんぞ」 「恐くないよ。キミに殺されることなんて」 セフィロスは目を細めて ルーファウスに抱きつくように抱き締めた 「…馬鹿め。俺にお前を殺せるものか」 「それは残念だ」 ルーファウスは優しくセフィロスの頭を撫でた 自分の言い表しきれないこの感情は セフィロスのそれと比べたらほんの小さな点程度だろう ルーファウスはセフィロスに見えない所で優しく微笑んだ |
ラザードとルーファウスの関係はルーファウスはどんな気持ちだったのだろうか。 あのルーファウスがラザードの憎悪に気付かない筈もないだろうし。 何が言いたいのかとか聞かないで下さい。 毎回題名を決めるのが一番頭を悩ませます。 なので毎回適当なんです。たまにまったく意味のないものもあります。 今回のソレルはハーブの名前で花言葉は親愛の情。 なんとなくです。 2009・8 |