loop・5







翌日副社長室に戻ったルーファウスの元にジェネシスが来た



「副社長、おかえりなさい」



ルーファウスは報告書を受け取って笑った



「ご苦労。これ持って行け」



渡された紙袋の中を見ると、高そうな酒が何本か入っている



「どうしたんですか?」

「貰い物。いらないから」

「副社長、飲まないんですか?」

「そんなにあっても飲みきれない」

「ありがとうございます。みんなで飲みます」

「ああ」





その時ノックも挨拶もなしにセフィロスが入ってきた

ルーファウスは顔をしかめてセフィロスを見上げた



「帰ったのならメールくらいしたらどうだルーファウス」


「セフィロス」



セフィロスが声のほうを見ると、ジェネシスがいた

セフィロスは苦笑して挨拶をする



「お前副社長とメールする仲だったのか」

「まあ、そうだな」

「ジェネシス、この無礼者を連れていってくれ」

「え?あ、はい」

「おいルーファウス、あとで電話するからな」





「ルーファウス様、ドアが開いて…」



開いたドアからツォンが顔を出す



「なぜソルジャーが?」

「気にするな」

「ルーファウス様、お話が…お時間よろしいでしょうか?」



ツォンが横目でソルジャーを見る


ルーファウスは二人に目で下がるよう合図をした











二人が副社長室を出てすぐに、ルーファウスが出てきた

一緒に出たツォンが鍵を閉めてルーファウスに渡すと
二人はセフィロスとジェネシスを無視して早歩きで消えて行った




何かあったのか?



一瞬見えたルーファウスの険しい顔に
セフィロスは不安を覚えた



















「今日、何かあったのか?」



夜、セフィロスの家に来ていたルーファウスがじっと新聞を眺めている


「いや…」

「折角久しぶりなのに、冴えない顔だ」



ルーファウスはじっとセフィロスを見上げて
座りなおすようにセフィロスの方を向いた



「不満は次々と表れるのに、解決する数が極端に少ない」

「は?」

「不満だらけだって言ってるだけだ」

「…何があったんだ?」

「いつものことだよ。オヤジは隠し事が多い」

「お前はプレジデントを憎んでるというよりも愛情を欲してるんじゃないか?」


ルーファウスを抱き上げ自分の膝に乗せる

そして髪を撫でてキスをした



「気持ち悪いことを言うな」

「プレジデントと俺、どっちが好きだ?」

「自分」



笑いながらセフィロスが優しくルーファウスをなで キスをする



ルーファウスは苦笑してセフィロスの腕に手を乗せる




舌を絡めながらルーファウスの服の中に手を滑らせる



「セフィロス、ここでか?」

「ベッド行くか?」

「先にシャワーを」

「待てない」



ソファにルーファウスを押し倒し、キスと愛撫を続ける



「シャワーくらい浴びさせろ」



そう言いながら、セフィロスの行為に応えるルーファウスのシャツのボタンを外し
ズボンに手をかけたその時、突然扉が開いた



ソファから離れようとするルーファウスの身体をセフィロスが押さえたまま離さず
足音が近づいてくる



「離せセフィロス」



小声で強く言うルーファウスを無視してセフィロスはドアを見ている





「セフィロス、酒持ってきたぞ」






セフィロスの腕から器用にすり抜けたルーファウスが
セフィロスの正面のソファに座っていた



「副社長」



ジェネシスがルーファウスを見つけて寄ってきた

ルーファウスがジェネシスとアンジールに「やあ」と挨拶をする



「副社長に頂いたお酒ですよ。飲みません?」



ジェネシスがルーファウスに向かって笑うと
ルーファウスは苦笑して立ち上がった



「結構だ、キミたちで飲め。私は失礼するよ」


「ルーファウス、どうせ用事がないなら付き合えよ」



そう言いながらセフィロスがグラスを取りに立ち上がった



「副社長、やはりセフィロスと恋仲ですか?」


ジェネシスがルーファウスの隣に座る

ルーファウスは横目でジェネシスを見て肩をすくめた


「まさか」

「では、セフィロスの家にはよく来るのですか?」

「いいや」

「副社長の家にセフィロスが行くことの方が多いですか?」


ルーファウスはジェネシスの顔をじっと見て眉をひそめた


「君が思うような仲ではないから、安心してくれ」

「安心とは?」

「キミからセフィロスをとったりはしない」

「なんですかそれ!」

「セフィロスに深い感情があるから気にするのではないのか?」

「違います!」

「では何故だ」


ジェネシスが髪をかき上げて グラスに酒を注いだ


「副社長がセフィロスの家にいるなんて想像もしなかったです」


そう言いながらジェネシスが背もたれに深く身体を沈めた


「そうか?」

「オレ、セフィロスと副社長の関係は怪しいと思ったんですけどね
でも副社長の護衛をして、最初本当に魅力が無いというか、可愛くないと思いましたよ」


ルーファウスはジェネシスの言葉に声を上げて笑った


「年齢を考えたらもっと可愛げがあっていいよなって思って」

「私はキミがあんなによく喋るとは知らなかったよ」

「セフィロスとの関係を探りたくて喋ってました」

「ははっ」


「確かに年齢を考えるともっと可愛げがあってもいいよな」

そう言って苦笑するセフィロスと目線を合わせずにルーファウスはワインを飲む


「私に可愛気を求めること自体間違いだろうが」

「お前の年齢忘れるよ。年上のはずのザックスの方が歳相応の可愛げはあるよな」



セフィロスの言葉にアンジールがむせると、他の3人が笑った



「正直言うと、俺もセフィロスの相手は副社長だと思っていた」


手酌しながらアンジールが言う


「何故だ?」


ルーファウスが二人を見る


「セフィロスが副社長を好きだからです」


ジェネシスが言うと ルーファウスはセフィロスを軽く睨んだ


「原因はキミか?」

「らしいな。好きなものは仕方がない」

「勘弁してくれ」


「副社長は男と女どっちが好きですか?」

「なに?」


ジェネシスの言葉に間の抜けた声を出すルーファウス

その声にセフィロスが笑った


「付き合ったりするのは女ですか?男ですか?」

「そんな質問をされたのは初めてだ…」

「アンジールは男だろう?」


ジェネシスの言葉にアンジールが噴き出す


「そういうわけじゃないんだが」

「だってザックスは男だぞ?」

「別に男がいいわけではないんだが」

「セフィロスの恋人は女なのか?」


ジェネシスの質問に セフィロスが困った顔で笑った


「…さあ。性別なんか気にしたこと無かった。でも結婚はできないから男なんだろうな」


「キミの好意を寄せる相手は?」

ルーファウスがジェネシスに言うと ジェネシスが固まる

そして悩んだような顔で笑った


「いるとしたら、男ですかね」


アンジールがつまみをつくりにキッチンに行くと
ジェネシスが思い出したようにセフィロスに袋を渡した


「これも頼む」

「ああ」


セフィロスがそれを受け取り キッチンに向かった



「副社長は、最初受けたイメージと今のイメージが全く違いますよ」

「ほう」


グラスを色々な角度に傾けながら ジェネシスが笑う


「あなたは本当にセフィロスと何もない?」

「ああ」

「セフィロスを見てたら完璧にあなたが好きだと分かりますが」

「それは私にはわからない」

「では私が貴方を好きになっても問題は無いんですね?」



ルーファウスがワインを噴き出すと 声を上げて笑った


「そんなこと言われても困らないぞ私は」

「笑うところですかね」

「まだ疑ってるようだが、セフィロスとはそういう仲ではないぞ」

「身体の関係も?」

「記憶の中ではないな」


無造作にソファに置かれたルーファウスの手にジェネシスの手が重なる

ルーファウスは笑ってその手を眺めた


「君の手はもっと華奢だと思っていたが」

「貴方の手は随分と頼りない」

「自分と比べるなよ」

「…男が男を好きだということに、あなたは抵抗がないですか?」

「別に、珍しいことか?」

「あなた自身経験は?」


ルーファウスがジェネシスを見上げて笑う


「想像に任せる」


すっと立ち上がり ルーファウスが窓を開ける

ジェネシスが後ろから覗き込んだ


「いい景色ですね」

「君の家からもいい景色が臨めるはずだ」

「見に来ますか?」

「私の部屋からの方が 見事だぞ」

「では行って良いですか?」

「セフィロスとアンジールと来ればいい」

「私一人では?」



ルーファウスは振り向き ジェネシスを見上げる



「拒否する理由は、ないかな」

「その言葉覚えておいてくださいね」

「キミは私よりも忙しいだろう」

「…副社長、俺の名前覚えています?」

「何故?」

「名前を呼んでくれないからです」



「おい何してるんだ」


セフィロスが早足で寄ってくると ジェネシスが「口説こうとしてた」と笑った


ルーファウスは軽く笑ってソファに戻った


「口説くなよ」

「だってお前たちはなんでもないんだろう?」

「オレはいい気がしない」


セフィロスが目を細めると ジェネシスが笑った


「セフィロス、お前片思いなのか?本当は恋人なんだろう?」

「ジェネシス、そう思うならやめろ」


アンジールがソファに座りながら言うと ジェネシスもソファに座った


「口説かれてないって」

ルーファウスが笑いながらセフィロスとアンジールを見た















酔いが回っているジェネシスがソファに転がる

ルーファウスはジェネシスの頭の横で笑った



「眠い」


アンジールが笑いながらセフィロスを見た

「連れて帰るよ。副社長、もしお帰りならお送りしますが」

「頼もうかな」


セフィロスがルーファウスをじっと見ると

ルーファウスはセフィロスを見て困ったように笑った


「いやだ、寝ていく」


ジェネシスの寝言の様な言葉を無視して
ルーファウスが立ち上がると セフィロスを見上げた


「私は失礼するよ」

「お前も寝ていけば?」

「落ち着いて寝れないじゃないか」

「俺のベッドで寝ろよ」

「はは、そうじゃないって」


「セフィロス、俺帰るな」


後片付けを済ませたアンジールに微笑みかけ、セフィロスが手を振った


「ザックス待ってるんだろう?」


アンジールは苦笑してルーファウスに礼をして家を出た


































続く。