まずは身体の関係だけの二人です









万能薬








「お前の評判は最悪だよな」


セフィロスの言葉に ふん、と鼻をならしてルーファウスは服を着る



「キミは恐れられてるほどの男じゃない」

セフィロスの方を見もせずルーファウスが言う


「お前から見たらたいしたことないと?」

「いいや、人間味がある」

「初めて言われた」



微笑むセフィロスを見て ルーファウスは苦笑した

セフィロスは首をかしげて口を開く


「お前自分の評判、聞いたことあるか?」

「勿論」

「どうだった?」

「どうって何が?」

「どんな評判で、どう思ったか」

「いい印象は無いような評判で、どうでもいいと思った」



表情が変わらないルーファウスに溜息をついて セフィロスも服を着た





「ルーファウス、お前誰かを好きになったことはあるか?」



ルーファウスからコーヒーを受け取りながら ごく真面目な顔でセフィロスが言うと
ルーファウスは目を細めて首をかしげた



「何故」

「普通は好きじゃなきゃやれないと、友人が言っていた」

「それ、女か?」

「…女役?」

「女はそういう感情が無ければやれないと言う人が多いそうだ」

「お前は女役だろう?」

「そんな感情が無ければやれないなら 私は誰ともしてない」

「つまりはいないんだな?」

「…キミは誰かを恋愛感情で好きになったことがあるのか」

「わからない」

「…つまらない話だな」

「確かに」




キスをすることも抱き合って愛を囁くこともないそんな関係

ルーファウスは紅茶を飲みながら書類を出した



「お前、仕事が好きなのか仕事熱心なのかどっちだ」

「さあ、自分でも自分のことはよく知らないんでね」

「たまに 抱き合ってキスでもしてみるか 新しい感情が産まれるかもしれない」



ルーファウスが顔を上げてセフィロスを睨んだ



「お前馬鹿か」

「どこまでも可愛げが無いなお前」

「可愛い奴がいいなら他を当たれば?」



そう言うと ルーファウスはまた書類に目を落とした













「好きじゃないと、セックスってできないものか?」

「いきなりなんだ」


アンジールはセフィロスの額に手を当てて熱を確認する

熱は無い様だ



「性欲だけを満たし合う相手がいる。男なんだが」

「とんでもないカミングアウトをサラっと言うなお前」

「お前だから言うんだが、こういう相手がいると好きな相手はできないか?」

「セフィロスお前好きな人を作りたいのか?」

「お前とザックスがうらやましいんだ」

「…その相手にはそういう感情が無いのか?」

「…多分」

「なんでそういう関係になったんだ?」

「こないだの飲み会の帰りに護衛として家に送ったんだが
そこでなんとなくやってからかな」




アンジールが頭を抱える



「まさか…副社長か?」

「女役はあっちだぞ」

「わかってる…」

「ただ、本当にやるだけであとは別に抱きしめたりキスしたりはない」

「したくならないのか?」

「特にならないな」

「相手が求めてくることは?」

「無い」

「笑顔を見たいとか喜ばせたいとか思うか?」

「…別に…そもそもそんな顔見たことが無いから想像できないな」

「本当にそれだけの関係なんだな。好きな人が欲しいなら別れ…関係やめれば?」

「それがいいと思うか?」

「相手に恋愛感情を持ってないなら、そう思うぞ」






副社長室に行くと ルーファウスは丁度出掛ける所だった



「ルーファウス、時間はあるか」

「あまり無いな。なにか用か」

「…俺達はどういう関係だ?身体を重ねるが、愛は囁かない」



ルーファウスは派手に顔を歪めた



「何が言いたいのかわからない」

「好きな人を作りたいと思って…」



ルーファウスは目を丸くして セフィロスを見上げている



「だから、お前とはもう関係を切ろうと思って」


ああ、と言ってルーファウスが苦笑した


「そんなもの、わざわざ言わなくてもキミが私を呼ばなければいいだけじゃないか」



そういえば、ルーファウスから誘った事は一度も無かったことにセフィロスが気付く



「そう、だな」

「では私はこれで」



ルーファウスのわざとらしくない笑顔を初めて見たような気がする

それは苦い笑顔だった














「関係を切ってきた」



とてつもない迅速な対応にアンジールが驚くと
セフィロスは首をかしげる


「恋愛をできるだろうか」

「できたら、いいな」





















久しぶりにルーファウスを見た

それは会社ではなく 街の中だった



ルーファウスは真っ白な花束を持って 街角に座っていた



「お前は目立つな」



声をかけると ルーファウスはゆっくり振り向く



「キミか」

「何をしてるんだ1人で。護衛は?」

「車を待ってる。キミは?」

「友人と食事をしに」

「そうか」

「花束は、誰かに?」

「これか?」

「ああ、誰に?」

「…好きな人はできたか?」



言葉が出ずに首を横に振ると ルーファウスは肩をすくめた



「ルーファウス、お前は好きな人でもできたか?」

「そう見えるか?」

「花束を見て、なんとなく」



ルーファウスは花束を眺めてからセフィロスを見上げた



「ルーファウス様、こちらでしたか!」



少し遠くからタ−クスが呼ぶ

ルーファウスは立ちあがり、セフィロスに花束を手渡した



「では私はこれで」















「わ、なにそれカッコイイ」



ザックスがセフィロスを指差す

セフィロスは笑ってザックスを撫でた

アンジールが花束に触れる


「どうしたんだ?それ。随分豪華な」

「来る途中ルーファウスに会ってな。くれた」

「何故」

「さあ?」

「会ったって、約束して会ったのか?」

「いや、偶然。で、あいつが花束を持っていて、誰かにやるのかと聞いたらくれた」



花束を見てセフィロスが溜息をつく

なぜだろう、スッキリしない



「あいつコレどうするつもりだったんだろう」

「誰かから貰ったけどいらなかったのかもよ?」



ザックスの言葉になるほどとセフィロスが納得すると
食事が運ばれてきた









一体何がスッキリしないんだろう

そもそもこの「モヤモヤ」はいつからあるのだろうか


セフィロスは自分の部屋で 白い花束を眺めて考える



そういえばルーファウスはどこかの帰りだったのだろうか

どこかへ行く途中だったのだろうか


もう少し 話をしたかった









翌日 駐車場で男といるルーファウスを見た

ルーファウスの腰を抱く男

その腕に手を乗せているのはルーファウス

男はルーファウスの耳から首筋へとキスをしていた



セフィロスは胸の辺りになにかモヤモヤするものを感じた


なんだか苛つく
















「何か用か?」



突然のセフィロスの訪問に ルーファウスは驚きながらも部屋に招きいれる



「話をしたくなって」

「電話でもよかったのでは?」



そう言いながらルーファウスはいつものコーヒーを差し出す



「電話ではなく顔を見て話をしたくて」

「なにか悩みでも?」

「憂鬱なんだ」



ルーファウスは書類を揃えてしまうと セフィロスの正面に座った



「何故私に言うのかがわからないのだが」

「話をするだけでいいんだ」

「それならば協力しよう。で、何故憂鬱なんだ」

「その理由がわからない」

「どうしようもないじゃないか」



セフィロスは目を細めてルーファウスを見る



「なあ、お前今日駐車場で一緒にいたの誰だ」

「駐車場?」

「お前キスさせてたよな」

「何の話だ」

「俺にはキスさせないくせに」

「キミがいつしようとした?」

「今していいのか?」



ルーファウスは溜息をついて不機嫌そうな顔でセフィロスを睨んだ



「…なあルーファウス。お前がくれた花束は、誰かにもらったものだったのか?」



ルーファウスは足を組んで 紅茶を飲んだ



「まあ、近いな。取引先の子供の結婚式でな
花嫁が私に手渡したんだ」

「何故」

「未婚の妥当な年頃の人間が私だけだったから、次は貴方です、と」

「じゃあお前が持ってたほうが」

「私は別に、そういう相手は求めてないからな」

「なるほどな」



じっとルーファウスを見つめて セフィロスが口を開く



「ベッドにいかないか?」



ごく真面目なセフィロスの顔に ルーファウスはなんとも言えない顔をした



「何しに来たんだキミは」

「話しをしに」

「それなら話をしたらどうだ?」

「…お前、笑ってた方がいいぞ」



ルーファウスは表情を曇らせて眉を片方あげた



「何の話をしに来たんだか」

「ああ、なんか、胃が痛い」

「ん?胃薬やるか?」

「いやでも胃じゃない気がする」

「どれ、どこ」

「わからん」

「どこが痛いか位わかるだろう」

「えっと、このあたり、でも痛みが移動するんだ」

「胸じゃないか。胃はこっちだろ」



ルーファウスは立ちあがると棚からなにかを取りだして
セフィロスに白い玉とお茶を差し出した



「これは?」

「万能薬みたいなもんだ。飲め、楽になる。
今日は帰って寝ろ。きっと疲れてるんだ」









家に着く頃には すっかり痛みが消えていた






















「書類を届けに来た」

「入りたまえ」



副社長室に来たセフィロスが ルーファウスに書類を差し出す



「薬、よく効いた」

「それはよかった」



ルーファウスは目を合わせずに口角をあげた



「あれは、なんて薬だ?」

「万能薬だって言っただろう?」

「どこで手に入るんだ?」

「それは言えない」

「誰に作らせてる?変な物混ざってないだろうな」

「まさか、私は身体に害があるものは口にしない」



パソコンを見ていたルーファウスの表情が変わり 突然立ちあがる



「急用ができたので失礼する」

「何かあったか?」

「急用だ。鍵を頼む」



セフィロスにカードキーを渡すと ルーファウスは銃を内ポケットにしまって出ていった




「おい、どこに行くんだ?」



セフィロスがルーファウスに追い付いたのは駐車場

ルーファウスはバイクにまたがった



「スラム」

「1人でか」

「喋ってる暇は無い」

「お前よりは俺のほうが早い。後ろに乗れ」



そう言いながらセフィロスはルーファウスからキーを取り上げ
ルーファウスの前にまたがりキーを差し込んだ


急発進したバイクに驚き ルーファウスはセフィロスの腰にしがみつく


また胃の辺りの痛みを感じながら セフィロスはスラムへ向かった











スラムにある孤児院で 小さな男の子が息を引き取った


それはルーファウスがかけつけて 手を握って数分のとき



孤児院の経営者がルーファウスに 泣きながら何度も礼を言った





「病気だったんだ」



バイクに乗らずにルーファウスが呟く



「スラムの孤児と、お前がどういう共通点があるんだ」

「スリを、私相手にしようとした彼を掴まえたのが始まりだな」

「…お前、あの子供に好かれていたんだな」

「大きくなったら、神羅に入ると約束をした」

「…乗らないのか?」

「キミは先に帰れ」




孤児院に入っていったルーファウスが建物から出てきたのはそれから4時間後



目の前のセフィロスに ルーファウスが目を大きくして驚いた





「なにしてる?」

「待ってた」

「待ってろとは言っていない」

「わかってる。なにしてきた?」

「…葬儀の、手配とか…」

「送る。乗れ」



既に夜 セフィロスはルーファウスの家の前にバイクをとめた



「大丈夫か?」

「なにが」



顔色の悪いルーファウスの額に触れる



「顔色悪いぞ」



ルーファウスは身を引いて手をかわした



「そうか?どこも悪くないぞ」



なんだろう また胸の辺りが痛い

セフィロスは痛みに顔を歪める



「おい、どうした?」


ルーファウスが明るくないセフィロスの表情に 顔を覗きこむ


「なんか、痛い」


ルーファウスは苦笑して家のドアをあけた


「薬飲むか?効けばいいけど」






薬を喉に流し込み、グラスを置く

ルーファウスはセフィロスのその動作を見届けてから髪をかきあげた



「なあルーファウス、悲しいか」

「嬉しくは無いな」

「1人で大丈夫か」

「意味がわからん」

「悲しいときは、誰かがいたほうが」

「寧ろ1人がいいな」






ルーファウスの血色の悪い顔色が脳裏に焼き付いている

セフィロスは覇気の無いルーファウスの表情を思いながら帰路についた





数日後 ルーファウスが欠勤した

子供の葬儀の日


セフィロスは仕事が終わってから孤児院に来た

丁度ルーファウスが出てきた


不思議そうにセフィロスを見上げてから ルーファウスは俯く


「子供の棺ってすごく小さいんだ」

「…そうか」



セフィロスを見上げて ルーファウスが笑った

不器用な笑顔に セフィロスも不器用な笑顔で返す

今までの痛みはルーファウスといるときしか出てこない痛みだと その時気付いた



「お前は悲しいと笑うのか?」

「知らないよ」

「送ろうか」

「頼むかな」




腰に抱きつくルーファウスの手に力が入っている














シャワーを浴びたルーファウスがなんとなくカーテンを開くと
下にセフィロスがいて ルーファウスは素早く窓を開けた



「何をしている?」

「お前が眠れるまでここにいようかと」

「何を考えてるんだか。帰れ」

「困った。お前のそういう顔、見たくない」

「そんなに変な顔してるか?」

「泣きたいなら笑うなよ?」



ルーファウスは首を横に振って口角を上げた



「ルーファウス、お前が笑うと俺は何故だか悲しくなる」

「そうか、では笑わないように気をつけるよ」

「そうじゃない」

「どうでもいい。それより、休みたい」

「寝るまで居るぞ」

「帰れ、気になって眠れない」

「…わかった」





セフィロスがバイクにエンジンをかけると
ルーファウスは窓を閉めてカーテンを引いた













「冴えない顔だな」

アンジールがセフィロスにお茶を出す

セフィロスが溜息をついてそれを受け取った



「好きな人ができん」

「そう簡単にはできないだろう」

「お前はいいな」



そうセフィロスが言うと アンジールが少し恥ずかしそうに笑った













暑い日が続いて寝苦しい

セフィロスは携帯を手に取り、ルーファウスに電話をする



「何の用だこんな時間に」

「いや、今何をしていた?」



涼みに外にでも行かないかと誘おうと、電話をした



「書類の整理だ」



ルーファウスの後ろから男の声が聞こえた



「…ルーファウス、誰かいるのか?」

「用件が無いなら切るぞ」

「誰と一緒だお前」

「用は無いんだな?では失礼する」



一方的に切られた










「おま…何しに来たんだ」



突然の訪問にルーファウスが驚く
セフィロスは無理矢理部屋に入った



「…ルーファウス様、セフィロスがなぜここに?」

「私にもわからん」



ルーファウスが肩をすくめる

セフィロスは2人に近付いた



「タ−クスがなんでここにいるんだ?」

「お前こそルーファウス様に何用だ?」

「ルーファウス、何故ここにタ−クスがいるんだ」

「キミには関係の無いことだ。ところでセフィロス、キミは何の用だ?」



セフィロスは腕組みをして考える

自分は何をしに来たのだろうか



「またどこか痛むか?」

「…いや…お前が何をしているのか、気になって…」



ルーファウスはタ−クスを見て何かを合図した



「ルーファウス様、明日また来ます」

「頼むぞ」





男が出ていった

ルーファウスはコーヒーを差し出す



「で、本題は?」

「…いや、涼みにいかないかと誘おうと」

「は?」

「明日またあいつを家にいれるのか?」

「まあ、用事があるから…」

「やめてくれ」

「何故」

「なんかいやだから」

「ここは私の家なんだが」

「…それもそうだな」

「何なんだ?」




まあ、とりあえず涼みに行こう

そう言ったセフィロスに ルーファウスが首をかしげる




「キミは、私と距離を置くのでは?」



セフィロスはルーファウスをじっと見ながら考えこむ



「それも…そう、だな」


ルーファウスは複雑な顔のセフィロスの肩を叩いた



「折角だから涼みに行くか」










「星が、すごいな」



海辺までくると 満点の星空

車をとめて砂浜に来た



「綺麗だな」



星空を見上げるセフィロスをよそに
ルーファウスは裸足になった



「冷たい」



波に足をつけているルーファウスを眺める




こいつといるのは俺にとって、とても自然なことなんだ

セフィロスはそう頭で呟く



落ち着くんだ



「このまま時間が止まればいいのに」



セフィロスの言葉にルーファウスが振り向く



「なに?」

「いいや、なんでもない」



砂浜に足を取られて転んで ルーファウスが笑った

はっきりと表情は見えなかった


立ちあがりセフィロスの近くまで来る



「なんだって?」

「いや、お前面白いな」

「なにが」



また転んで ルーファウスが1人で笑っている

セフィロスがそこまで歩いて 隣に腰を降ろした



「ルーファウス」

「なんだ」

「抱きしめていいか」



ルーファウスは横目でセフィロスを睨んで少し離れた



「遠慮する」

「お前笑ってた方がいいぞ」

「そんなの私の勝手だろう」

「よし、わかった」




セフィロスは立ちあがりルーファウスを抱え上げると
海に投げ込んだ



浅い所に座りこんだままルーファウスは笑った

そしてセフィロスの足を引っ張り 転ばせた



勿論転ばないようにしようと思えば体勢を取れたのだが
わざとされるがままに転がった



「笑った」

セフィロスが言うと ルーファウスも「お前もな」と笑った


セフィロスがゆっくりルーファウスに手を伸ばし 覆い被さる

額にキスをして抱きしめた


ルーファウスが身体を引くと セフィロスはルーファウスの髪を撫でた



「ルーファウス、やっぱり笑ってたほうがいい」



身体をまさぐるセフィロスの手を気にせず ルーファウスはセフィロスの腕を撫でた



「これ新しい傷だな」

「ああ、先週の任務で」

「ふふ、おい、髪が濡れてて私にはりつく」


セフィロスの濡れた髪がルーファウスの身体にまとわりつく

ルーファウスはくすぐったそうに身をよじった



「なんか随分笑うなお前」

「そうか?私はいつもと変わらない」

「笑顔なんて見たことが無い」

「それはセフィロス、きみが私を気にして見てなかったからでは?」

「悔しいが、今なるほどと感心した」

「ふん」



セフィロスがルーファウスを脱がしていく間
ルーファウスは機嫌良さそうに砂浜をいじったり 足にかかる波を蹴って遊んでいた




「愛のあるセックスをしてみたい」

「それにはまず、その条件を満たす相手が必要だ」

「ルーファウス、お前は?」

「残念ながら条件は満たしていない」

「お前が俺を好きではないと?」

「何言ってるんだお前」

「抱きたいんだ、お前を」

「好きな人を作りたいから 関係を切るんじゃなかったのか?」

「そうなんだが…」



すっかり海水で濡れた、乱れた着衣を整えて 2人は視線を合わせて笑った



「なんかお前のことばかりが気になるんだ」


セフィロスの言葉に ルーファウスは大袈裟に肩をすくめた



「お前性欲すごいからなあ」

「そうだが、そこじゃない」

「ルーファウス、お前は好きな人とか」

「興味無い」

「セックスは?男としかしてないのか?」

「何を聞くのかキミは…」

「俺はお前が好きなのか?」

「違う」

「お前は俺が好きなのか?」

「ふふ。なにを言うかね」

「抱きたいと思うのはなぜだろう」

「溜まってるからじゃないか?」

「なるほど」



難しい顔のセフィロスが ルーファウスをじっと見る


セフィロスはルーファウスの耳の辺りを掴んで自分の方へ引き寄せて
キスをした


ルーファウスの表情が固まった



「何、するんだ…」

「なんかまた胸がいたい」

「なんだそれ」

「ちがう、ドキドキしてる」

「は…」



セフィロスは軽くルーファウスを抱き上げ
抱きしめた


ルーファウスはもがきながらその腕の中から脱出する

砂浜に転がり 星空を見上げる



「ルーファウス、きっと俺、お前が好きなんだ」

「無理矢理恋愛をしなくても、自然にできるんだから無理するな」

「なあ教えてくれ、俺以外とやってるか?」

「好きに想像してくれて構わない」

「噂は本当なのか?」

「さあ、どの噂だろうか」



セフィロスが寝転びルーファウスを抱き寄せる


ルーファウスは黙ってこぶしを握った



「ルーファウス、お前が誰かに抱かれることや、キスをされること、抱きしめられること
俺はそれがとても面白くない。これは嫉妬だと思う」



セフィロスは何も答えないルーファウスの唇を舐めた



「でも今、こうしてお前を独占してる時間は心地良い。
ずっと続けば良いと思う。これって俺がお前を好きってことじゃないのか?」



セフィロスはそう言いながらルーファウスに覆い被さるように体勢を変えた

ルーファウスは真上のセフィロスと目を合わせて笑った



「そんなの知るか」



セフィロスも笑ってルーファウスの髪を撫でながら顔を近付ける



セフィロスのキスに ルーファウスは一瞬躊躇してから腕を伸ばす
セフィロスの首に手をまわしてキスに答えた



















「ルーファウス、そういえばあの薬、なんなんだ?俺のこの痛み、胸の痛みだった」

「ああ、それ、実は、薬じゃないんだ。ラムネ」

「はあ?!」

「お菓子だよ。効くだろう?ちゃんと」

「騙したのか!?」

「それが効いたのは、キミの痛みが精神的なものだったという証拠だ」





ルーファウスは人懐っこい笑顔をセフィロスに向ける
セフィロスは笑いながらルーファウスを抱きしめた



























好きという気持ちに気付かないセフィロスと
好きなんだけど両思いなんて思ってないルーファウス。

2009・7