戻れない居場所













「ルーファウス、お前の心を占める一番多い気持ちはどれだ?
寂しいとか、切ないとか愛しいとか、そういう気持ちは?」



悲恋の映画を観た後、あくびをするルーファウスにセフィロスが聞く


ルーファウスは首を傾げてセフィロスを見た



「憎い」

「…実にお前らしいな…」

「君は?」

「俺は愛しいだ」

「ははっ、君らしいな」




主人公は死に、ヒロインは一生彼だけを思い生きていく話



「なあ、ルーファウス。愛する人が死んでしまって、もう誰も愛さないって、どう思う?」

「個人の自由だな」

「そうじゃなく、お前の意見」

「…別にどうも思わない」


「俺が死んだら?」

「そんな例え話、馬鹿馬鹿しい」



ルーファウスはDVDを取出し、ケースにしまうと腕をあげて伸びをした



「例えば、だぞ」

「それが馬鹿馬鹿しい。無意味だろう」

「例え話が嫌いなのか?それとも死という話題が嫌いなのか?」



想像よりも真剣な顔のセフィロスを見て、ルーファウスは眉を片方あげてその場に座った



「…ならセフィロス、例えば自分が死んだら、君は私にどうしてほしい?」



セフィロスは少し固まったように考え込み、はっ、とルーファウスと目を合わせた



「…幸せに…なってほしい…でも…俺は忘れないでほしい…」

「馬鹿馬鹿しい…」

「何…なんで?」

「正直な気持ちか?それ…」

「……本当は死んでもお前を、俺が守りたい…離れたくなんてない」



セフィロスが言うと、ルーファウスは満足気に笑った



「バカらしい例え話だ。お前は死なないと約束しただろう」

「…お前、馬鹿馬鹿連呼して…」

「…なあセフィロス、では、私が君より先に逝ったら、どうする」



セフィロスはじっ、とルーファウスを見つめ、微かに目を細めた



「俺は狂うだろうな」

「気持ちのいい答えじゃないな」

「でも、絶対狂う」

「馬鹿め」

「またお前…馬鹿って…」

「ふん」

「お前は、俺が死んだら…」


「想像してみろ。たぶん君が思ったことが私の答えだ」

「……想像つかない」

「私もだよ」



セフィロスは笑ってルーファウスの手を握ると、抱き寄せた



「離れたくない」

「私は、何処へも行かないよ」

「俺もいかない」

「…そうか?」



苦笑して、ルーファウスはセフィロスの胸に背中を預ける



「俺が、もし神羅を去ったら、付いてくるか?」

「いかない」

「…即答するなよ」

「私の居場所は、神羅にしかない」



ルーファウスはセフィロスの指を弄りながら欠伸をした



「お前の居場所は、俺じゃないのか?」

「違う、君の居場所が私なんだ」



そのままルーファウスは目を閉じて、セフィロスに体重をかけた























ああ、懐かしい夢を見た



暗いのか明るいのかさえわからない空間で

セフィロスはただ上を見上げる




あれは、自分の記憶





あの場所に帰るには


時間が流れすぎた

汚れすぎた

傷つき、傷付けすぎた






戻れない過去の夢














2009・6