早いですが、クリスマスの話
まだそういう仲ではないクラウドとルーファウスです



クリスマスの夜





賑やかな街の中から

賑やかな家に帰ってくる

クラウドは窓の外を見て 部屋の中を見回した


「クラウド!ご馳走できてるよ!」

後ろからマリンに抱きつかれ クラウドが苦笑する
そのままマリンを背負い 仲間の集まる場所へと移動した


雪が降るホワイトクリスマス


クリスマスはいつもこのセブンスヘブンに皆が集まる

明るく 笑いが絶えない 賑やかな空間


「メリークリスマス!」

耐えない笑顔

絶えない笑い声






子供が寝付いて

大人だけでの会話が弾む



外からは未だにクリスマスソングが鳴り響く




















白い長いマフラーを二重に巻いて
白いコートを着て

遠くミッドガルを見渡せる崖に立っていた


ルーファウスは灰色の空を見上げてゆっくりと目を閉じる



遠い昔のように思える記憶を辿り

薄く息を吐く


お前は今どこで何をしているんだろうな







「お前、こんな所で何してるんだ?」


ルーファウスの後ろ姿に問いかけるクラウドは
フェンリルを降りてその場に立った



「景色を 見ている」

「ここは俺の場所だ」


クラウドがそう言うと ルーファウスは俯き地面を蹴った


「名前でも彫ってあるのか?」



クラウドが近づく


「この剣が証拠だ」


「でもここは、神羅の土地だ」

「知るか」


ルーファウスが剣に視線をやった


「クリスマスなのに、キミは何故ここに?」

「俺は毎年ここに来てるんだよ。アンタこそ何だよこんな所に」

「毎年?何かあるのか?ここに」

「関係ない」



ルーファウスはそれから何も言い返さずに

空を見上げた



「アンタは何で」
「関係ない」


少し笑った声で ルーファウスが答えた

クラウドは不覚にも笑って、すぐに自分の口を押さえた



「親友がここで死んだ。親友の墓みたいなもんだ。
たった一人の俺の親友だ」

「キミには友人がたくさんいるだろう?」

「仲間と親友は、違う」


ルーファウスは薄く笑って「そうか」と答えた


「で、アンタは何でココに?
こんな夜に1人で出歩いていいのか?」

「ここは見晴らしが良いから。それだけだ」

「景色を見に来ただけか?」

「悪いか?」


真っ白なルーファウスの後ろに
黒づくめのクラウドが近づく

クラウドは剣に手を添える


ルーファウスがその手を見る


「昔、友人と…ここでこの景色を見た。
私にも思い出くらいあるさ」

「アンタ友達なんかいないと思ってた」

「いないよ」

「その友人がいるんじゃないのか?」

「死んだ」


そう言ってルーファウスはしゃがみ込む


「…あ、そ……」

クラウドがそう言うと ルーファウスの背中をじっと見た


ルーファウスが立ち上がる


遠くからクリスマスソングが聞こえてくる


ルーファウスが突然振り向くと
クラウドは驚いた顔でルーファウスを凝視した


「メリークリスマスクラウド」


ルーファウスが笑いながらクラウドに雪玉を投げ付ける

クラウドは呆気に取られてルーファウスを見た


「ば…何しやがる」


クラウドがルーファウスのコートを引っ張って
地面に転ばせた

ルーファウスは笑いながら空を見上げた


クラウドはルーファウスを見下ろす

ルーファウスもクラウドへと視線を移すと
クラウドがそこに寝転んだ


「何も見えない」

クラウドが呟くと ルーファウスは「右を向け」と言った

「…」

「私が見えるだろう」


クラウドは上半身を起き上がらせると同時に
ルーファウスに雪をかけた


まるで雪が降ったよう


「メリークリスマス…ルーファウス」



きらきらと 銀色に輝く


















雪を見てセフィロスを思い出すルーファウス。


2012・11