青空・10






神羅は1日も休むことなく動く

市民の生活に既に浸透し
罵声も以前よりは減っていた




しかし神羅の風当たりはまだ強かった




それでも神羅は 何に遠慮することなく ひるむ事無く 堂々としていた


神羅はルーファウスそのものだった




「何があるかなんて誰にもわからない。絶対などない。
何が起こるかわからない、それが楽しいんじゃないか」


ルーファウスの言葉を思いだしてクラウドが笑う


「自分のこととなると弱いくせに いつも強がって」


クラウドがそう呟いてから思う

いや 弱さを見せないのはあいつの強さだ あいつの弱さに気付く奴なんかそういない




「俺は何に負けただろう」

自分の弱さで、ルーファウスの手を離した


ルーファウスの歩行の練習をした海 砂浜に寝転び 青空を見上げる


俺が手を離したんだ


そうだ、すべて俺が

でも、もうこの気持ちは終わらせなければ。









「なあ社長。もうクラウド忘れたんすか?」


報告書を受け取ったルーファウスにレノが言うと
ルーファウスは気にするそぶりも見せずに書類に目を通した


「くだらない話をしている暇があったら 次の仕事をしろ」
「クラウドが社長に…」

レノがそこまで言うと ルーファウスは眉を片方上げてレノを見た

「会ったのか?」
「会ったし、電話きましたよ、と」
「そうか、元気か?」
「いいや、健康だけど元気はないみたいですよ、と」
「健康で何より」
「…クラウド、社長に話があるって。ふっきれたいんだって」
「…」


複雑そうな顔で ルーファウスが書類を睨む


「会う理由がわからん」
「クラウドはまだ社長の事吹っ切れてないんですよ、と」
「…」
「はっきりもう一回言ってやれば?」
「クラウドが、それを望んでいるのか?」
「それは本人に聞いてやってくださいよ、と」
「気が乗らない」
「それは社長もまだ吹っ切れてないからじゃない?」
「既に話はついているんだぞ」

レノを睨むルーファウスに、レノは笑いかけた

「自分も吹っ切れてきたら?さ、行きますよ、と」
「今?!」




















「クラウド、こんな所に呼びつけて、どうしたの?」


子供達を連れてきたティファがクラウドを見下ろす

デンゼルとマリンは海に入ってはしゃいでいる

シドやヴィンセント、仲間みんなが揃った


「ごめんみんな、俺、やっぱり駄目だった」


















すぐ近くに 車が停まった


「社長、ここだぞ、と」

「…」



車から出て 優雅に歩いてくるルーファウスに みんなが注目する


「ルーファウス!」


素早く走ってルーファウスに抱きつくマリンに クラウドが笑った



レノが車から降り、その場で眺める


「ルーファウス」


クラウドの声に ルーファウスが目を合わせる


「俺やっぱりアンタと居たい」


ティファがはっとしてクラウドを見る

ユフィがティファの隣に立って手を握った



ルーファウスが目を丸くしてクラウドを見る



「やっぱアンタを忘れられない、また一緒に居てくれないか?」


ルーファウスが周りを見渡してからクラウドを見る

マリンがぎゅっとルーファウスの手を引いてクラウドの正面に歩み寄ると
その手から離れた


「傷つけて、ごめん」
「こんな所で何を考えているんだ」
「これでも死ぬほど悩んだんだ」
「人前で恥かしくはないのかキミは」
「恥ずかしいとか言ってる場合じゃないんだよもう」
「何の為に…無意味な事は」
「本当に、俺駄目だった、アンタがいないと、もう駄目だ」
「クラウド落ち着け、それは…」


近くまで来ていたレノがルーファウスの肩を叩いた

「自分の気持ち一番に考えてやれよ、と」

レノを眺めてルーファウスは苦い顔をする

そしてクラウドを見る

「ルーファウス、俺…」

言葉に詰まるクラウドが 額を押さえて俯く

「なんか、なんて言ったらいいか…思いつかない…
ルーファウス…俺」


「また、同じことになるのではないか?」
「もうならない、もう絶対ならないから」
「絶対なんてあるか。また一緒になってもそれを後悔するぞ」
「しないよ。もう仲間もわかってるし、俺、自分を
一番に考えてまたアンタに…告白してんだけど…」


ルーファウスは自分の手を自分の口に当てて
小さく噴き出すように笑って クラウドを見た


「もういいよクラウド」


ルーファウスは胸ポケットからクラウドが愛用していたペンを取り出し 手渡す

「…あと、これ」

ルーファウスはペンと一緒に取りだしたカードキーを渡した

「あ…これ、アンタんちの?」

「好きに使うといい。私はいつでもそこに居る」


困ったようにクラウドに笑いかけると クラウドはルーファウスを抱きしめた


「おかえり クラウド」

「ただいま ルーファウス」












なんとなく終わりました。
いつも思う。ハッピーエンドじゃなくてもよかったのではなかろうか。
先が見えるようなお話で本当スミマセン!
微妙に納得がいかないラストになってしまいました。
ホントごめんなさい。


2010・12