灰色の空に白い雪




「白いなあ」

クラウドの横に突然現れたのはルーファウス

待ち合わせをしてはいたが、突然現れたルーファウスにクラウドは驚いた

白い雪を見上げてルーファウスは嬉しそうに目を細める


「ああ、白いな。寒くない?」

クラウドはそう言いながら黒い自分のマフラーをルーファウスの首に巻く
ルーファウスはクラウドを見て笑った

「暖かい」


粉雪が降り積もる景色よりも 降ってくる雪をルーファウスは見上げる

「目に雪入らないの?」
「まつげにつく」

その答えに「ああ」と納得しながらクラウドはルーファウスの目を見る

長いまつげに雪がついている



遠くでクリスマスソングが流れているのが 微かに聞こえる


クラウドも降ってくる雪を見上げてみた


白いとルーファウスは言った
クラウドには灰色に見えた


「白いか?灰色に見える」
「空は灰色だね」


ルーファウスの返答に 雪だけを意識して見てみると
なるほど白かった

「ホントだ。白く見えた」
「白いね」

またルーファウスを見る
目と髪と、マフラー以外白かった

肌もコートも白かった

青い目がやけに目立って見えた


「アンタ雪みたいだな」
「コート?」
「アンタも白い」
「私が?」
「肌とか。なんか髪も白く見えてきた」
「キミみたいな綺麗な金じゃないからな」

アンタの髪はじゅうぶん綺麗だ
誰よりも綺麗だ

クラウドがそう言葉にそうとすると ルーファウスは目を閉じて黙った

耳を澄ませているように見えた
クラウドも黙っていると 遠くのクリスマスソングが少し近くに聞こえた

「寒いな」

クラウドのその言葉に ルーファウスがマフラーを外そうとする
クラウドはルーファウスがマフラーを外す前に抱きしめた

「これであったかい」
「あはは」

ルーファウスはそれに応えるように クラウドの背中にしがみついた


ルーファウスの頬がひどく冷たく感じた

クラウドがルーファウスの手を握る

「冷えてるな」
「キミも」
「どこ行く?」
「どこでも」


穏やかな表情でルーファウスを見るクラウドを
微笑んで ルーファウスは見上げる


「街にでも行くか。クリスマスの雰囲気、俺、好きなんだ」
「ああ」



互いに冷たかった手が じんわりと暖かくなっていく



2人はそのまま手を繋いで 歩き出した








クラウドのバイクまで歩くのだろうか
車だろうか
ルーファウスはどうやってきたのだろうか
深いことなんか気にしない
ついでに深くないことも気にしない


2009・12