LOOP |
ルーファウスが微笑む視線の先には 子供たちと走り回るクラウドの姿があった 神羅の孤児院で クラウドは子供たちに運動や遊びを教えながら 一緒に走りまわっていた ルーファウスの近くに その光景をじっと眺める子供の姿 「お前は何がしたい?」 ルーファウスがその子に問いかけると 子供は首を横に振った 「なにもしたくない」 「そうか」 「…遊べとか言わないんだ」 「遊びたくないなら遊ばなくていい」 「変な人」 「そうか?」 「ねえ、何をしてるの?」 「ここの壊れたゲーム機をなおしてる」 「なおせるの?」 「部品があればね」 「部品があれば直せるの?」 「勿論」 「僕のもなおしてくれる?」 「見てみようか。持っておいで」 子供が持ってきたゲーム機をルーファウスがいじってから解体する その様に子供は驚いた 「壊すの?」 「悪いところを見つける為に」 「本当に直るの?」 「これなら直る」 「…これ、死んだ父ちゃんと母ちゃんが僕の誕生日に買ってくれたんだ」 「それは大事だな」 クラウドが一休みをしようと歩いてきた時 ルーファウスが子供にゲーム機を渡す 「直ったぞ」 「…本当だ、すげえ!ありがとう!」 ルーファウスは微笑んで応えた 「疲れた」 「お疲れだな。ほら」 クラウドに飲み物を渡し ルーファウスはまた機械をいじる 「子供って体力あるよな。束になってきたら疲れる」 「充分すごいよ。私はキミみたいに子供と遊べない」 「でも、俺の相手できてるじゃん」 「…」 手をとめてルーファウスはクラウドを見た クラウドは頭を掻きながら困った顔を見せる 「昼間にする会話じゃないか」 「なあクラウド、キミは私で役不足だと感じたりしないのか?」 「は?」 「だってキミは体力も性欲も旺盛で、私はついていけてないんじゃないか?」 クラウドが顔を赤くして驚いた顔を隠す 「なあ、クラウド、ちゃんと足りてるのか?」 純粋な疑問として質問をするルーファウスに目を向けられずに クラウドは顔を伏せた 「あんた結構すごいと思うけど…」 「すごい?」 「俺はあんたにしか興味は無いし、満足してる。わかるだろう」 ルーファウスはにこりと笑ってまた機械をいじる その横顔を眺めながら ルーファウスから誘われた事がない事実に気付く いつだって自分からだった キスも、ただ抱きあうのも、ほとんど自分から… じっとルーファウスの横顔を眺めていると 些細なことに気付く きめ細かい綺麗な肌をしている。日焼けなんかしたことが無いような色 深い青色の瞳は今まで見たどの目よりも不思議な魅力がある 長いまつげ 本当に整った顔をしてる 「なあルーファウス。アンタはどうだ?俺で気が利かないとか言葉が少ないとか やり方が荒っぽいとか、頼りないとか…」 ルーファウスはクラウドの顔を見てから笑った 「私は自分が認めた人以外はこんなに傍におかない」 「…でも不満とかあるだろ」 「私がキミに不満を持ってるように見えるのか?」 「だって俺、独占欲は強いし、うるさいし…」 「ふふ。キミが私の不満な部分を言ったら、私も言うよ」 「…ずるい」 「無理に言わなくていいよ」 「言わなかったらアンタも言わないんだろ?」 「勿論」 そういいながらルーファウスが立ちあがる 「さあ、話の続きは車の中だ。修理は終わった。これ返してくるから」 「俺は、なかなかはっきりしないような所が気になってる」 クラウドは車に乗りこんですぐに話の続きをはじめた 「はっきりしない?」 「自分のことはけっこうはぐらかしたり言わなかったり アンタ思ってることなかなか言わないだろ」 「そうか」 「本心を見せなかったり、好きだとかも言わないし 弱みは隠そうとしてるだろ」 「そうか?」 「ああ。傷ついても笑顔でごまかすだろ」 「傷つくことがない」 「そういう嘘つかなくていい」 「…嘘…」 「…セフィロス以外にさ、アンタどんな奴とつきあった?」 「いないよ」 「…どんな奴に抱かれた?何回も同じ奴に抱かれたりしただろ?」 「そういう話?」 「嫌か」 「嫌だ」 「…じゃあ、あんたは?俺の不満な所。俺が言ったら言うんだろ?」 「無いよ」 「は?」 「ないって。キミに不満は無い」 「嘘だ、あるだろ」 「強いて言うなら、仕事をサボってまでうちに来て 昼間にベッドに押し倒されるのは感心しないかな」 「ぶっ…おま…」 「私は仕事ができる男が好きなんでね」 「…サボってるんじゃなく、その分の時間計算して仕事してんだよ」 「そんな計算しなくていいよ」 ルーファウスが笑いながら言うと クラウドが苦笑してルーファウスの頭を小突くように撫でた 家に帰り 食事を終えてからクラウドがテレビをつける テレビを眺めるクラウドの横でルーファウスは仕事をしている 身分の違う男女が愛しあうという実話。よくある話 「俺、アンタに釣り合ってないって言われた」 「なんだそれ」 突然口を開いたクラウドに驚きもせず ルーファウスは仕事を続けている 「俺の器が小さいんだと」 ルーファウスは一瞬クラウドを見て微笑んだ 「私は今のままのキミが心地良いよ」 「…本当か?」 「嘘をついても意味が無いよ」 「…でも俺も思わないわけじゃない。アンタとは住む世界が違うとはよく思うし」 「環境が違っただけだろう」 「それってデカいじゃん」 「不満なのか?私が育った環境が」 「…そうじゃないんだけど…ちょっとなんていうか、俺って本当に普通だなって…」 「英雄とまで呼ばれてるのに?社長より特殊じゃないか」 「いや、だから、王族と平民みたいな」 「いきすぎだろそれ…困ったな。私は同等のつもりなんだが」 苦笑しながらルーファウスがクラウドを見る クラウドは頭を掻きながら眉間に皺を寄せた 「いや…俺も同等でいるつもりだけど」 「それならいいじゃないか。私は今や立場なんて無いようなものなんだし」 「…アンタってそういう人だよな」 「どういう人だ」 「そういう人」 「そういう人?」 「そ」 同じ金髪でも ルーファウスの金髪は特別綺麗だし 同じ青い目でも ルーファウスの目は特別綺麗だし 同じ白い肌でも… これは俺だけが思うことではないはず 同じ人間とは思えない魅力 ルーファウスの深い瞳を直視しながらクラウドが考える ルーファウスもクラウドの瞳を直視している 「キミは綺麗だね」 微笑むルーファウスに クラウドが赤くなってそっぽを向いた 「アンタ自分が綺麗だと思うか?」 「上の中程度には思ってる」 「…上の中…」 思わず笑うクラウドに微笑み ルーファウスはまた仕事をはじめた 自分をじっとみつめるクラウドを無視して ルーファウスは仕事を続ける 数分間も見つめっぱなしのクラウドがおかしくてルーファウスは突然笑いだした 「なんだよいきなり」 驚くクラウドにルーファウスは「見すぎ!」と笑い続ける 「そんなに長い時間見るほど変わった顔をしているか?私は」 「いや…飽きないんだよアンタ見てるの」 「そうか?」 「なんか人間じゃないみたいだ」 「ひどい事を言うなあ」 「なんか不思議な存在だよな」 「キミも変わってると思うが」 「どこがだよ」 「好き好んで私といる所が」 「…あんたそんなに自分をわかってないのか?」 「ん?」 「アンタといたがったりヤりたがる奴なんかすごい多いだろ」 「身体や外見だけね」 「綺麗すぎるんだよ顔も身体も。中身はすっ飛んでるし」 「ひどいな、キミは」 「…わかってるだろうけど、俺はそれだけじゃないからな。アンタの顔や身体目当てじゃない」 ルーファウスは満足そうに笑ってパソコンの電源を切った 「私だって、顔や身体の相性だけでキミといるわけじゃない」 「…身体の相性…でも俺そんなテクニックとか…無…」 「だから、相性が大事なんだって。巧い奴なんてたくさんいるけど 相性が合うのはそんなにいない。これは気持ちがあるかないかなのかな」 クラウドが顔を赤くしてルーファウスを抱き寄せる ルーファウスは笑いながらクラウドの胸に頭を預けた 「クラウド、心臓が早い」 「あんたのせいだ」 「ふふ」 「…俺、アンタと釣り合ってるかな」 「キミはそういう無駄なことばかり考える」 「無駄かよ」 「無駄だよ。お互いこれで良いんだからそんな事考える事に意味は無いよ」 「…まあ、そう、だよな…でも…」 「そんな事を考えるのなら私だって、星を蝕んだ自分が 星を救った英雄と釣り合う筈が無いと考えなければならない」 「えーーー」 「考えるだけ無駄だよ」 「そうだな、こんだけ相性もいいんだもんな」 ルーファウスの服の中に手を滑らせながらキスをする 優しい手つきのクラウドにしがみつきながら ルーファウスは目を閉じた |
ソコで終わりかよ!な終わり方ですが。 身分とか釣り合いとか 考え出したら止まらないクラウドでした。 無限ループなクラウドから題名をつけました。 うちのクラウドは鬱陶しい。 2009・12 |