かけら |
「乗れ」 バイクをクラウドの目の前に停め ルーファウスが後ろに乗れと促す 「運転は俺がする」 「運転手は運転だが、後ろに乗る者は戦うんだ」 それを聞いて仕方なさそうにクラウドがルーファウスの後ろに乗ると バイクは発進した 「ルーファウスお前、無理すんな」 「してない」 「怪我してるだろ!腕!」 「ああ、してる」 「だー、もう!」 激しく蛇行しながら敵をかわし、走る 剣で応戦しながらクラウドは酔いそうだ 「運転代われ!」 「私に戦えというのか」 「いいから代われ!」 「嫌だ!」 うんざりしながらクラウドがルーファウスの腰を思い切り引っ張り、抱き寄せた 「運転しながら、戦うことくらいできるから代われ」 耳元でそう囁くとクラウドはルーファウスを引っ掴み 自分の後ろに放り投げるように移動させると同時に前に出た 「乱暴者め」 ルーファウスはクラウドに掴まりながら銃を取出し、応戦した 「やればできるじゃん」 「馬鹿にするな、撃ちっぱなしは辛いんだぞ」 「文句の多い奴。手引っ込めろ。悪化するぞ」 「大丈夫だ」 「…俺の言うことくらい聞いたら?」 運転しながら剣で応戦するクラウドを見て、ルーファウスは銃をしまって 両手でクラウドに掴まった クラウドは満足そうに笑う モンスターの多い道を通り抜けると、瓦礫だらけの土地が見えてきた 「あそこだな?」 クラウドに掴まるルーファウスの手に力が入った 「そうだ。あれだ」 クラウドはそっとルーファウスの手を撫でてフェンリルを停めた 「ここは?」 瓦礫と化した建物が大きいものだったのは想像はつくが その建物が何だったのか、クラウドにはわからなかった ルーファウスは瓦礫の上を歩いていき、立ち止まると何かを拾い上げ ポケットに入れた 「ここは、昔私が住んでいた家だ」 「ここに?」 「ああ、幼い頃に」 ルーファウスが瓦礫を取り除きながら何かを探している様子を、クラウドは眺める 「…家が、無くなるのって…さびしくないか?」 「いや、取り壊す手間が省けてよかったよ」 「だって、実家って、思い出が残ってるものだろ?」 ルーファウスはクラウドを見上げ笑った 「そうなのか?」 「…なあ、何探してんの?」 「うん」 特に答えるわけでもなく、ルーファウスは瓦礫を取り除く クラウドもしゃがみこみ、瓦礫を除きこむ 「マテリアだ」 「欲しいものあったら持って行っていいぞ」 「…ああ、これ誰のだ?」 「さあ?私のじゃない」 「なんか武器とかいっぱいあるぞ」 「その場所は武器庫だったかな」 「あんたの部屋は?」 「そっち」 指をさされた場所に移動し、クラウドがしゃがみこむ 「クラウド、ちょっと」 呼ばれていくと、ルーファウスは小さな金庫を指さした 「これ、取ってくれないか」 クラウドが軽々と持ち上げ、ルーファウスの前に置くと ルーファウスは先程拾った物をポケットから取りだした それは鍵だった 金庫に鍵を刺し、ひねってから暗証番号を打ち込む そしてもう一度鍵をひねると鍵があいた音がした 「あった」 「なにそれ」 取りだしたファイルを持ちあげてルーファウスが笑う 「婚姻届。名前を書いてくれるか?」 「は…はぁ??」 クラウドは少し顔を赤くして焦ったように手を伸ばす 「で、本当は何だよ」 「うん」 ファイルから取りだした紙を見せる 「昔、おやじが私に、誕生日に何が欲しいかと聞いたことがあった」 「へぇ」 「そのときねだったものなんだ」 クラウドが差し出された紙を見ると、それは神羅ビルの社長室の図面だった 「何これ」 「社長室の図面」 「えー…あんたなんでこんなもん欲しがったんだよ」 「子供だったから」 「…よくわからん」 クラウドがルーファウスにそれを返すと ルーファウスは目を細めてその紙を眺める 少し微笑んでいる様に、見えた 「それが探し物か?」 「ああ」 ルーファウスは微笑みながら、ジッポを取り出した 図面を撫でてから、火をつける 「なんで燃やすの」 「もう必要ないから」 「わざわざ燃やしに来たのか?」 ルーファウスはクラウドを見上げて、満足そうに笑って立ち上がった 「帰ろう」 しっかりとクラウドの腰に抱きつき ルーファウスがクラウドの背中にくっつく いつもと様子が違うルーファウスを感じながら クラウドは何も言わずにフェンリルを走らせた |
萌えポイント皆無。 2009・5 |