あいたい






なにも無い

なにも聞こえない

なにも見えない

誰も居ない


出口も入り口も無い

こんな広く孤独な迷路に

キミはいつまでいるんだろう



身代わりに なれたら良いのに






自分を忘れていてもいい

自分に気付かなくてもいい

彼の心が少しでも 平穏になるなら
なんだってするのに





夢の中でただ 真っ白な空間を走る

息も上がらず 足もすり減らない


ルーファウスが ただ、走る


何処に行けばいいのだろう

一人孤独の中に居るキミを救うには

私に出来ることはもう無くて

でも、止まっていられなくて



キミを救う力がほしい




少しの変化にルーファウスが足をとめる

白ばかり見たせいで 目がおかしくなったかもしれない



ルーファウスはそこを見て

右手で口を覆った


目から涙が溢れる




「セフィロス!」









勢い良く目を開けて 宙を抱く


「ルーファウス!」

セフィロスは 自分が泣いている事に気付く

「お前は…俺を…心のある俺を忘れないでいてくれる…唯一の存在だ」


会いたい。

心のある、ルーファウスを愛する自分自身で
ルーファウスに会いたい


「ルーファウス…」












目から一筋涙が流れ ルーファウスがゆっくりと起き上がる

「…夢、だ…」

耳の奥に 懐かしい 優しい声が響く

「セフィロス」

名前を呼んだ途端 ルーファウスの目から止めど無く涙が溢れだした

右手で口を押さえ 左手で額を押さえ 膝を立てて声を殺す


会いたい


会いたい








えーと、うーん。

2011・2