そういう仲 |
満天の星空を見上げ ティファが笑った 「ニブルヘイムの空に似てるねクラウド」 「…ああ」 クラウドの目が捉えていたものは その星空ではなく 少し遠くに居るルーファウスの車椅子だった 波の音が響く暗闇で 月に照らされて光る水面とルーファウスの金の髪 クラウドのバイクに近付いてきたのは ルーファウスではなくツォンだった 「ルーファウス様からだ。この書類を見ればわかる、と」 差し出された封筒を受け取り クラウドはバイクを走らせた 「アンタ今どこだ」 セブンスヘブンにティファを置いてから外で電話をかける 電話の向こうから 波の音が響いてる 「さっきの場所だ」 「今から行く」 さっきと同じ場所に 車椅子はあった クラウドがそこに近づくと ルーファウスの姿はすぐに見つかった 大きな岩の上に座っている 足を海に投げ出して 「あいつは?ツォン」 靴を脱いで海に入り 岩に近づいたクラウドに ルーファウスは笑った 膝近くまでの水位 「キミのバイクの音がしたから 帰した」 「ふうん」 「キミの故郷の空も、こんなに星があったんだろう?」 「…なんで」 「ニブルへイムの星空は綺麗だと昔聞いたことがある」 「誰に」 「忘れたよ」 「…」 「所で、話は?」 「…書類一枚多かった」 「それだけ?」 「…」 「わざわざ、すまないな」 「ニブルの空はもっと綺麗だった」 「山も水も空気も?」 「ああ。人間の心もね」 「キミも?」 不機嫌そうなクラウドに またルーファウスが笑う 「アンタよりはね」 「否定はしない」 海の水を両手ですくい上げ ルーファウスの頭にかける ルーファウスは怒るどころか笑った 「機嫌いいな」 「心が清くては私ではない」 「確かにな」 濡れた顔でルーファウスはクラウドを見上げる 「足が冷えた」 「当たり前だろ」 「空を見上げるのは、好きか?」 「…昔から空は…好きだ」 「よく見るのか?」 「子供の頃ほどじゃないけど」 「あそこ、泳げたら気持ち良いだろうな」 「なんだその発想」 「…帰ろうかな?」 「一人で?」 「ツォンはいないよ」 「じゃあ、一人だな」 「…頼みがある」 まだ水滴が残る顔で ルーファウスがクラウドを見る クラウドはルーファウスの前髪の水滴を指で拭った 「何だよ」 「送ってくれないか?帰る手段が無い」 「どうせ最初からそのつもりなんだろ」 「キミだって、そのつもりで来たんだろう?」 お互い笑ってから クラウドはルーファウスを担ぎ上げる 「アンタ体冷えてるな」 「長い時間外に居たからね。足の感覚が無い」 「馬鹿。バスタブにお湯入ってんだろうな」 「帰ったら入るつもりだったから、入っているよ」 家に到着すると クラウドはすぐにルーファウスをバスルームに押し込んだ 「アンタ冷えすぎだ」 自分も脱いで バスルームに入る 「解凍されている気分だ」 温かいバスタブで ルーファウスが笑う クラウドはルーファウスの身体を洗いながらその肌をじっと見る 「冷凍食品め」 「鮮度はいいぞ」 「それは知ってる」 ルーファウスの鎖骨にクラウドが唇をつける ルーファウスはクラウドの頭を抱きしめる 「キミの故郷の空 見てみたかった。幼い頃に幼いキミと」 「俺は幼いアンタを見てみたかった」 石鹸をつけた手で ルーファウスの肌をまさぐる ルーファウスは身体を素直に反応させる 「でも、きっと違うタイミングで会っていたら こうしてはいなかったんだろうな」 「そんなのわからないだろ。もっと…深かったかもしれない」 「身体はこれ以上繋がるところが無い」 「…繋がるのは身体だけじゃないだろ」 ルーファウスがクラウドの目を見る クラウドはルーファウスの腰をつかんで 自分の膝に座らせた 「ではクラウド…今の私達は、どうだ?」 「身体だけだと、アンタは思うか?」 「…もう少し時間をかければ変わるかもしれないと思っている」 「俺はもう、本音で話してもいいと思ってる」 ルーファウスからクラウドの額にキスをする 「今日はセックスをしないで話しでもしようか?」 「どっちもする」 「先にどっちだ?」 「ヤりながら話す」 ルーファウスも石鹸を手につけ クラウドを撫でる 「何を話そうか」 「俺の嫌な所は?」 「そうだなあ、もっと背が高かったらいいのに」 「アンタ失礼だな、アンタより少し高いぞ」 「髪の毛分な」 「違う」 「ふふふ」 「俺のアンタの嫌な所は、やらしいところ」 「なに?!」 「俺にならいいけどアンタいっつもやらしいからな」 「その方が失礼だろ」 「他の奴ともヤってんの?」 「それはキミだろう、あの黒髪の彼女と」 「してねーっつの、違う、そういう仲じゃないからな!」 「キミの好きな所は、ふふ、たまに子供っぽい所」 「なにそれ!」 「可愛いんだよ、何か下らない事に熱中したりして」 「嬉しくない。…俺は…やらしい所」 「そればっかり」 ルーファウスがクラウドの頬をぎゅっと握ると クラウドは慌ててルーファウスの手を叩いた 「痛い!」 「私の何処がやらしいと」 「わかったよもう。えーと、強気な所。弱いくせに」 「っ…あ…」 クラウドがルーファウスに挿入すると ルーファウスはクラウドの首にしがみつく 「あとそういう仕草も、声も、顔も」 「抱き付かれるの、嫌いじゃない」 「そういうのうっとうしがりそう」 「別に好きでも無い相手なら嫌だけど」 斜め下を見るクラウドに ルーファウスが抱きつく 「嫌か?」 「…なわけ無いだろ」 ルーファウスを抱きしめ キスをする 「アンタは、誰にでも抱きつけるか?」 「まさか」 「誰にもヤらせたり抱きついたりキスもさせるなよ」 「何故」 「アンタ俺のだから」 「…ではキミも他としたりキスしたりしないのか?」 「しない」 「そうか」 「わかったのか?」 「わかったわかった」 「約束しろ」 ルーファウスは笑ってクラウドの肩を叩いた 「それはすごい約束だな、まるで恋人だ」 「そうだよ」 赤い顔のクラウドを ルーファウスは目を丸くして眺める 「絶句すんなよ、なんか言え」 「…そうだな、驚いたが、わかった、約束しよう」 その時クラウドが見せた幼い笑顔に ルーファウスは笑った |
クラウドがルーファウスを好きすぎる・・・ 2011・2 |