寒いらしいです。
三成といつもの銀髪、明智と長曾我部、そして家康。何故このメンバーなのか。
考えないほうがいいみたいです。成就まであるので
元就受けならなんでもいよというツワモノのみどうぞ。
だらだらとした文章だし節操無いです・・・。
何かを伝えたかったわけじゃないのがまるわかりな小説です。
家康は誰かに本気なわけではなく可愛いのをつまみ食いしたいだけだそうです。
寒い日に |
「…」 横を歩く三成を見ると、顔が青褪めている。こいつも寒い様だ。 付いている肉といえば薄く付いた筋肉だけで 恐らく体脂肪率はかなり低いのだろう。 反対側を見ると、分厚い筋肉を付けた家康。 まあ、自分にも言えた事だが、体脂肪率はやはり低そうだ。 しかも家康は薄着すぎる。 元親は袖のある服を着てきてよかったと心から思った。 元親は襟巻きを外し、家康の首を絞めた 「苦し…」 「巻いとけ」 「長曾我部、そのまま殺せ」 「酷いぞ二人とも。元親すまないな」 何故今日はこんなに寒いのか。 そして何故獣道を歩いているのか。 誰も言わないが3人は今、迷子である。 星さえ出れば方角が読めるのにと元親が空を見上げると 崖の上に人が立っていた。 見覚えのあるあれは… 「あ…」 元親が声を漏らすと二人も上を見上げ、その人物を見つけた。 その人物は機嫌よさ気に手を振っている。 「明智だ」 光秀が飛び降りてきて、3人の前に立つ。 「あのう、貴方達、何処へ行くのですか?」 「…おめえは」 そう聞き返す元親に続いて、三成と家康も口を開いた。 「どこでもいいから休める所だ!」 「ワシは帰りたい」 「…なんだ、ただの迷子ですか。残念」 光秀が去ろうとすると、元親が武器を向ける。 いつもの碇槍ではなく、刀だ。 「ちいと聞きてえんだけどよ、ここは何処だ?」 「…いえ、私も迷子なんですよ。ご主人様とはぐれてしまって」 織田? 3人が心にその名前を思い浮かべる。 それは会いたくない。 「ああ、そうかい」 元親が光秀の横を通り過ぎる。それに続いて二人も通り過ぎる。 すると前から馬が二頭、向かってきた。 光秀が振り向いて両手を広げて笑う。 「ご主人様!待っておりましたよ!」 前を走る馬に乗っていたのは元就だった。 後ろの馬は忠実に付いて来ているだけ。 「明智貴様、手間をとらすでないわ!」 「すみません」 「…ご主人様?」 家康が呟く。その隣の三成はただ、二人を睨んでいる。 「小さくて気付かなかったぜ毛利」 元親が無表情で嫌味を言うが、元就は無視して光秀を見下ろす。 「行くぞ役立たず」 「手が震えているじゃないですか。寒いのでしょう?」 そう言って光秀が元就の後ろに乗ると、元就は光秀を蹴り落とした。 光秀は嬉しそうだ。 「酷いです」 「寒い、早く戻るぞ」 「つーか無視すんなてめえ!」 元親が元就の馬を撫でると、馬が元親にすりついた。 それを見て元就が元親を睨む。 「ハ。存在感が無くて見えなかったわ」 「絶対聞こえてたろてめえ」 元親が拳を握ると 家康が元親を宥めながら元就を見上げた。 「この辺りに暖を取れる場所をしらないか?」 「知らぬ」 光秀が3人を見て、元就の足首を掴む。力が強い。 「元就公、私の家に泊めて差し上げましょう。食料になりますよ」 「食うのかよ!」 元親が光秀を見て叫ぶと、家康が笑った。 「頼む、泊めてくれ」 「狭いですがどうぞ。では皆で馬に…」 光秀が腕組みをして元親と家康を見ている。笑ってはいるが… 「馬は二頭、人は五人。馬に3人は乗れません。 元就公3人なら何とかなるでしょうが元就公以外は皆大きいので」 「貴様を迎えになんぞ来なければよかったわ」 「私は元就公と乗りますので、お好きにドウゾ」 元就がそれを無視して三成を指差す。この中ではこいつが一番 煩く無さそうだ。いや、わからない。一番煩いかもしれない。 「…私が乗るのは貴様の前か後ろか」 「…」 「元就公、誰と乗っても抱きつくか抱き締められるか どちらかになりますが、本当に彼でいいのですか? 下心のある私の方がいいのでは無いですか?」 「…我は歩く」 降りようとする元就の腰を押さえながら元親が後ろに乗る。 多分これは乗った者勝ちだ。 「貴様おのれ」 「別にあんた俺の方を向いて抱きついてもいいんだぜ?」 「…」 「背もたれにすんなや」 別に重くは無いけど。可愛いなとかないから。ないない。 それを見て光秀がもう一頭の馬に乗り、三成の手を引っ張った。 「あなたは私の後ろに乗ってくださいね」 「ワシは!?」 「…徳川、貴様我と場所を変われ」 「いや、そこはいいや。歩くよ」 笑いながら家康は歩き出した 家に着くと光秀は髪をひとつに束ねながら四人を見る。 湯でも床でもお好きにどうぞ、元就公に聞いてください。 そう言いながら食事の用意をしに行った。 「…湯」 後ろの3人がハモり、元就は3人を見上げた。 なんだこやつらは。 「…3人で入らぬのならば順番でも決めておけ」 「明智」 元就が光秀の近くに、柱に寄りかかりながら立っている。 「あら、いい匂い。湯浴みしたのですね」 「機嫌がいいな」 「楽しくないですか?こういうのも。 まあ、布団はあの3人は別にしてもらいますがね」 「貴様布団は一組しかないと言っておったであろうが」 「そんなもの貴方と寝る口実に決まってるでしょう」 「…貴様今日は徳川と長曾我部に挟まれて寝るがいい」 「いやです。信長公以外のタチはいりませんから」 「言葉がわからぬ」 「私は今日も貴方に突っ込みたいと言っているのです」 「我はボケではない」 「いやそうじゃなく」 光秀が苦笑しながら元就の前に来て、髪を撫でながら 元就の前髪を髪留めで留めて、元就の首筋に噛み付く 「やめぬか」 「外したら駄目ですよ、怒りますからね、ご主人様」 「…」 「寝る前に私も身体綺麗にしますから、一緒に寝ましょうね」 光秀が元就にお盆を持たせると、元就は溜め息を吐いて戻っていった。 3人の前に来て、近くに居た家康にお盆を渡す。 「おいしそうだな!」 「運ぶのを手伝え」 「なあ毛利」 「なんぞ」 「髪、可愛いな」 家康が笑顔で言うと、茶を飲んでいた元親と三成が咳き込む。 そこは突っ込んでよかったのか、と。 「…明智の趣味だ」 「仲がいいんだな」 「そう見えるか」 「見えるな」 そう言ったのは元親だった。 その言葉に3人が元親を見ると 光秀の声が聞こえてきた。 「誰か運ぶの手伝ってくれませんか?」 食事も終わり酒を片手に暖炉を囲む。 そこの部屋に普通のサイズと大きいサイズ、二組の布団が用意されていた。 「お好きに寝てください」と言われると三成は一つ狭い布団を離し、 そこに自分の刀を置いた。 「ナニ俺家康と寝るのか?」 「三成、ワシと元親だとさすがに狭いんだが」 「私は貴様より身長はあるぞ」 「そうか?でもワシの方が大きいぞ?体」 「布団をつけて3人で寝たらいいでしょう?そのほうが広いですよ」 「毛利と明智は、何処に寝るんだ?」 ちょっとした質問を家康がすると、光秀が元就を見た。 「私たちは二人で向こうの部屋です。覗かないで下さいね」 「ふざけんなよ明智てめえ」 元親が酒を飲みながら光秀を見る。別に喧嘩を売っているわけではないのだが。 「ああ、耳も塞いでくださいね。元就公声が大き…」 元就が隣の光秀の髪を思い切り引っ張ると、光秀は笑いながら元就を掴む。 「痛い、痛いですって」 「バカみてえに感じやすいからなあ。仕方ねえよ」 元就が隣に居る元親の髪を引っ張る。 「あでででで!いてえ!毛利痛え!」 「貴様らが二人で寝るがよかろう!好きなだけ交われ!」 「いやだ俺コイツはいらねえ!」 「私だって嫌ですよこんな筋肉」 家康が三成に酒を注ぐと三成は礼も言わずに飲み干した。 「三成、ワシら二人で寝るか」 「断る」 「…毛利!ワシと寝るか!」 「家康てめえ石田がダメなら毛利かよ」 「だって元親も思わないか?あの髪型可愛い」 元親が家康を小突くと、元就は家康に杯を投げた。 「痛いぞ毛利」 「貴様ら3人で寝るがいい。我は石田と寝る」 三成が元就を見て、興味なさ気に酒を飲む。 そして酒を注いだ自分の杯を元就に差し出した。 「私は貴様を抱いたりはしないぞ」 「当たり前だバカか貴様」 「…だが酔ったらどうなるか知らんぞ」 「もう飲むな」 元就が杯を受け取り口を付ける。その様子を黙って4人が見ていた。 「三成、お前ずるいぞ」 「酔ったフリして元就公を食べるのですか」 「なんか見物してえ気もするぜ俺」 「貴様らはなんなのだ!」 「貴様らはなんなんだ!」 三成と元就がハモった。 三成と元就以外はだいぶ飲んでそこらへんに寝転んでいる。 寝ているのか居ないのかは微妙だ。 「毛利」 元就は杯にお茶を注いで三成に渡した。 自分にも用意しながら「なんぞ」と答える。 「貴様織田と繋がっているのか、それとも明智と」 「明智を拾ったら随分と懐かれて、迷惑をしておる」 「拾った?」 「人の屋敷の前で、雨の日ぼろぼろになって落ちていた」 「何故貴様の屋敷に」 「さあ、知らぬ。聞こうとも思わぬ」 光秀が薄く目を開き、元就の膝を引き寄せながらそこに顔を埋める。 抱きつくように、甘えているようだ。 「私はねえ、元就公なら、うけいれてくれるかな〜って。 なんかなにもかも上手くいかなくて。ふふふ」 「…それ俺もやっていいか?」 元親が元就の足に額を付けて言うと、三成が無表情で笑った。 「酔っ払いはお断りだ」 元就が二人の頭をがしがしと撫でると、二人が声を出して笑う。 その様子を見て三成が溜息を吐いた。 「秀吉様と半兵衛様が居た頃は…時間が穏やかでよかった」 こやつも酔っているな、と元就が立ち上がると 光秀と元親が床に頭を打つ。 元就は三成の頭を掴みながら自分の膝に転がした。 「貴様何をする」 「豊臣も竹中も、同じ気持ちであったのだろう。我は知らぬが あやつらはそういう詰まらぬ奴等だ。貴様豊臣にそっくりぞ」 「…私が?恐れ多い」 「不器用で感情表現が下手で表情にあまり出ないが穏やかな時間を好む。 でかい図体に似合わず感傷的になるが自分でその気持ちを消化できない」 三成が元就の膝に頭を乗せたまま、黙って元就を見上げている。 相当酔っているらしい。 「毛利貴様知ったような口を聞くな」 三成が元就の襟を掴み引き寄せ、唇が重なる。 元親と光秀は起き上がってその姿を見ていた。 「…家康、起きろ、秘密の花園だ」 「…何が起きたんだ?」 「毛利、私と寝ると言っていたな。やめておけ」 「…何故」 「私も男だ」 「いや我もだが」 「貴様説明しなければわからんのか、だから私は」 「いい言わなくて良い!寝ろ貴様ら!」 三成が上半身を起こすと同時に元就が立ち上がる。 三成も立ち上がり、元就の頭を撫でながら布団に向かった。 「先に休む」 「ワシも休む」 「…なんぞ」 「起こさないように、部屋を移動しましょうか」 「貴様らもう飲むな」 廊下を歩きながら元就はフラつく二人を掴んでいる。 転びそうだこやつ等。 「元就公、私ねえ、人の気持ちがわかるくせに自分の気持ちが わからないあなたが好きですよ。あなたは?」 「鬱陶しい貴様が嫌いだ」 「俺は素直じゃねえ毛利が嫌いだ。突っ込まれてる時は可愛いくせにこのやろうが」 「我は貴様が無条件で嫌いぞ」 「アア?コノヤロウ」 「あなた方は本当に、仲がいいですねえ」 光秀の寝室の布団に二人を転がし、元就は壁に寄りかかる。 正直一緒に寝たくは無い。 「来いって毛利、おめえも布団で寝ろ」 「元就公、こっちに、はい、どうぞ」 二人に引っ張られ二人の間に寝転ぶ。有り得ぬ。そう思いながら 元就は二人を見るが、二人とも目を閉じていた。 背中を向けて眠れないのが落ち着かない。どっちを向いても人が居る。 しかもすごく密着している。抜け出せない。 「全く西海の鬼は空気も読めないのですか?」 「おめえもだよ馬鹿早く寝ろ」 「酒臭いわ貴様ら、寄るな」 「アア?」 元親が元就を自分の上に乗せて 髪を引っ張り口付けると、隣で光秀が笑っていた。 起き上がり元就を背中から抱き締め、光秀が元就の顎を掴み口付ける。 「すげえ眺め」 「まあ、見ていてください。楽しませますから」 元親に跨らせた元就を後ろから愛撫する光秀の髪が揺れる。 元就は声を出すまいと奥歯を噛みながら手に力を入れている。 真下に元親の顔があるため 元就は見られないように元親の胸に額を付けるが 後ろから光秀に前髪を掴まれ顔を上げさせられた。 行為が進むと元親は元就の頬を掴んで口付ける。 舌で唇を割られ、元就の口から声が漏れた。 自分が抱いているわけじゃないのに自分の上で乱れる元就を眺め 元親が顔を顰める。 「明智、俺限界だわ、抜けよ」 「ふふふ、先に出したいですか?どうぞ」 光秀が抜きながら布団に転がり、元就を抱き上げる 「ひでえなあ、お互い」そう言いながら元親が元就を後ろから抱き締めた。 元就はただただ、早く終われと願うばかりだった。 力で敵う筈が無い。そもそも力が入らない。 夜が明ける頃、ようやく二人が寝入った。 何度か気を失った元就が違和感に耐え切れずに目の前の元親の胸を叩く。 起きないかもしれないと思ったが、背後の光秀はすっかり寝入っている。 体力では光秀より元親の方が上だ。多分、恐らく。 「長、曾我部…」 「ン?どうした?」 「…うしろ、抜いてな…入ってる、抜…」 「あー、そりゃ…寝れねえわな。すげえな明智」 「感心してるな、いいから、はやく…」 光秀が挿入したまま寝ている。元親が元就を器用に抱き寄せ抜いた。 そのまま元親は元就を抱き締める。 「大丈夫か?…じゃねえか」 「死ぬかと思ったわ」 「…ちいと、悪乗りしすぎたな」 「悪乗りどころではない」 「あー、だってお前、明智に抵抗しねえんだもん。腹も立つって」 「意味がわからぬ、なに?」 「いや、つまらねえ嫉妬であんたをいじめただけだ。悪かったよ」 「わかるように言え」 「…もっかい、すんぞ。勃ってきた」 「貴様鬼だな」 「何とでも言え」 「もう出るものも無かろう、やめよ触れるな、干からびるぞ」 「明智起こさねえように、声出すなよ」 元親が耳たぶを甘噛みしながら舐める 「無理だ、もとち…長曾我部」 「…はっ…俺も無理だ。我慢できねえ。アンタやらしすぎだろ」 もっかい、呼んでくれよ。 元親は何度か囁くが、名前を呼ばれる事はなかった。 光秀が起きると、元親が元就をしっかりと抱き締めていた。 元就の手も元親の背中に回っている様子を見て、光秀は微笑む。 「まあ、そうなんでしょうねえ」 起き上がり居間へ行くと、二人はまだ寝ていた。 家康が、背中を向ける三成の腰に手を置いている。 「…さて、朝食でも」 光秀が作り始めると家康が起きてきて手伝いを始める。 「昨日は楽しい酒だった、ありがとう」 「私も楽しかったです。久し振りに賑やかで」 「元親と毛利はまだ寝ているのか?」 「ええ、抱き合ってるのでほっときましょ」 「ははは。本当にあの二人はあの二人の世界があるな」 「鬼が羨ましいです。どうやってあの居場所を手に入れたのか」 「毛利は近付けば逃げるし引っ掻くが、たまに抱かせてくれる野良猫みたいだ」 「狐でしょ」 「ははは」 朝食を作り終えると三成が起きていた。 その頃別室で元親と元就も目を覚ます。 「大丈夫か?オイ」 「…いや、起き上がれぬ」 「無理しねえで寝てろよ。身体拭いてやるよ」 「…湯で洗い流したい。べたべたする」 「どれ、起きるか?」 元親が元就の手を引っ張り 立たせてから手を離すと、膝から崩れ落ちる。 元親は元就を抱き止めて苦笑した。 「ハハ、腰砕けちまったか」 「…許さぬぞ貴様ら」 「運んでやるよ。ついでに洗ってやる」 元就を抱いたまま元親が居間の前で叫ぶ。 「湯もらうぞ」 居間から光秀が「どうぞ〜」と機嫌良さそうに返事をした。 「毛利、中まだどろどろじゃねえか、抜いてやっから暴れんなよ」 「いい、いらぬ…」 「いいから、流れ出てんじゃねえか」 「誰の責任だ!」 「俺だけじゃねえよ!」 「やめよ、本当に、辛い」 「…抜かなきゃそこずっとべたべたすんぞ」 「…」 大人しくなった元就の中に指を入れると、元就が声を漏らす。 必死に声を殺す元就を眺めながら元親が顔を顰める。 「…なあ毛利、外に出すから、だめか?」 「…有り得ぬわ絶倫め」 元親が達する瞬間、突然扉が開かれ光秀が現れた。勿論笑顔で。 元就よりも元親の方が驚いている。 「声きこえてますよ?」 「ハ!?」 「いえ、嘘です。そろそろ上がって下さいね海賊さん。私も入りますので」 「…おう、今抜くわ」 「また中で出したんですか?鬼ですね」 「あんたにビックリして出す前に抜けなかったんだよ!」 元就は肩を上下させながら無言で二人を睨んでいる。 光秀が微笑んで元就に手を伸ばす。 「かき出してあげますよ」 「…いらぬわ。貴様らもう我に寄るな」 「元親、毛利はまだ寝ているのか?」 居間に来た元親に食事を出しながら家康が言うと、元親は不機嫌そうに顔を顰めた 光秀が元就を拭いていた。 その後二人がどうしたかは知らない。 「ああ、多分な」 「晴れているが貴様らはどうする。私は帰る」 「待てよ三成、まず地図でも作ろう。また迷うぞ」 何だかんだと3人が話していると、光秀が元就を抱えて戻ってきた。 そっと居間にある布団に寝かせると、3人に寄って行く。 「貴方方、これからどうなさるおつもりで?」 「私は帰る」 「また迷いますよ。私でさえ迷うんですから」 「そういえば毛利は迷わなかったんだよな?何でだ?」 元親が聞くと、光秀は腕組みをして考えるような素振りを見せる。 考えているんだか、ただのフリなんだかわからない。 「まあ、不思議な方ですからね。馬にでも教えてもらったんじゃないですか?」 「さすがにそりゃねえだろ。しるし付けて歩いたわけでもなさそうだし」 「私本当に知らないんですよ。方向感覚があるだけではないですか?」 「この家はあんたのだろ?そのあんたが知らねえのに毛利がわかるってのも おかしくねえか?毛利はココでよく過ごすのか?」 「いいえ、2日前に来たのですが、それが初めてですよ」 「おい」 二人の間に三成が割って入る。三成は布団の元就を指差した 「あいつは体調不良か?」 「昨夜私と鬼で」 「体調不良だろうよ」 口を開いた光秀の口を塞ぎながら元親が言うと、三成が元就を見た。 「…私は帰る。貴様らここ周辺の地図を作れ」 「作れるなら作ってますよ女王様」 光秀の返答に家康と元親が吹き出すが、三成は全く気にはしていない。 もしかして気付いていないんじゃないだろうか。 さて地図はどうするか。 「元就公の調子が戻ったら道案内してもらえばいいじゃないですか」 「…どこまで行ける」 「多分安芸までならいけますよこの人」 光秀が立ち上がり、元就の頭元に座ると、その小さな頭を触る。 「…連れて行っていいですよ。不本意ですが」 「なあ明知、アンタこいつとどういう関係なんだ?」 「私が安芸から攫ったんですよ、この人を。でも私無我夢中でして ここに着いた時にはもう道がわからなくて」 「バカだろ」 「お黙りなさい」 夕方、元就が目を覚まし起き上がると、居間は真っ暗で無人だった。 「…好機か…」 今なら逃げ出せる。 辺りを見回し立とうとするが、力が入らない。腰を押さえながら顔を顰める。 思い出したくもない。 近くにあった刀に手を伸ばし、それを杖代わりに立ち上がると その刀に長曾我部の家紋が見えた。 「獲物を置いてどこへ行った?」 外を覗くと少し遠くに感じた独特の気配。 元就は元親の刀と自分の弓矢を持ち 馬でそこへ向かった。 勘は見事に当たっていて、あの4人が戦っていた。 驚いたことに誰一人武器を持っていなかった。 「莫迦かこやつらは…」 それにしては強い。 肉弾戦での戦いに慣れている家康は勿論だが 他の3人も強かった。 ただ、矢張り力では家康と元親が有利に見える。 しかし相手は武器を持っている。雑魚でも無さそうだ。 ならばこの刀は。 「石田!長曾我部の刀だ、受け取れ!」 「毛利貴様体調はいいのか!」 「…貴様に心配されるとは。明智、弓だ」 「元就公!腰は大丈夫ですか!」 元就はそれを無視して馬で駆け抜ける。 弱そうな1人の兵士の襟を掴むと自分の馬に乗せ、武器を奪い叩き落した 「無茶苦茶だなあいつ」 眺めていた元親が呟くと、元就は奪った弓を構える わりとすぐに片付いた 「…貴様ら何も持たずに何をしておったのだ」 「いえ、この周辺の地図をつくろうと、四人居れば迷わないだろうと思って」 「して、迷わなかったのか?」 「…迷いました」 三成が元親に刀を返すと、元親は笑いながら受け取った。 拳で戦ったのは久し振りだった。 「元親は強いなあ」 「いやでもマジ疲れる。拳ってえのは痛えなあ。家康おめえちょっとすげえな」 「えー?褒めてるのか?それ」 家の前に着き、光秀が元就を抱き上げて馬から家に運ぶ。 光秀が元就を布団に座らせて正面に座った。 「この方たちは帰りたいそうです。元就公、安芸まで連れて行っていいですよ?」 「…わかった、明日の朝発つ」 「あっさりしていますね。寂しいです」 「貴様も来い。どうせ迷って帰れぬのであろうが」 「…元就公」 光秀が元就に抱きつく前に、元親が元就を抱き上げた 「酷いです」 「あんた明日にはもう大丈夫なのか?身体」 「問題ない」 「俺今日も一緒に寝っけど大丈…」 「死ね。いいか貴様ら、今晩は酒を飲まずに眠れ。我は石田と眠る」 三成が咳き込むと、元就が元親から降りて三成の背中を軽く叩く 「…毛利貴様正気か。私は1人で寝る」 「それができれば我もそうしておるわ」 「…」 「もう、いっそ皆で並んで寝ないか?」 家康の言葉に、全員が家康を見た。恐らく一番安全。 「私は端で寝る。家康は反対の端だ。これは譲らない」 「お前どんだけ家康嫌いなんだよ」 「酷いぞ三成。ワシは三成と毛利に挟まれて寝たい」 「…我は石田とは反対側の端でも良い」 「貴様は私の隣だろう」 「なんか間違った男らしさがあるぜ」 そう言いながら元親が笑うと、家康と光秀も笑った 「我は隣に明智と長曾我部が居なければ良い」 「その時点でもう意見割れていますよ」 「明智、家康、俺、毛利、石田でいいんじゃねえの? どうせ俺と毛利挟んだら家康は石田にゃ届かねえよ」 「…そうか…妥協してやる」 「我の意見はどこへ行った」 「元親、なんだか卑怯だぞ」 「鬼と私の位置が変わってもいいんじゃないですか? いえ、いっそのこと元就公を真ん中にしても」 「三成、ワシ、毛利、元親、明智でどうだ」 「私は家康の隣には寝ない」 「どうでも良い!我は眠る!」 元就が端に転がると、滑り込むように隣に光秀が転がった。 楽しそうだな、と元就が光秀を睨むが光秀の笑顔は消えない。 家康が苦笑しながら元就とは反対側の端に寝転んだ。 そこで元親と三成が目を合わせる。 「俺明知の隣は嫌だ」 「私は家康の隣がいやだ」 この時点で寝る場所は決まっていたはずだった。 元親が素直に家康の隣に転がると、元就と、まだ横になっていない三成以外が眠った。 「…毛利貴様」 「なんだ」 「味噌汁は作れるか」 「ハ?」 「味噌汁なら飲んでやる」 「…」 三成はあまり食事を摂っていない。 いつもならば知るか、と無視をしてやる所だが、元就も眠くは無かったので立ち上がり 無言で台所に行った。 元就が部屋から消えると三成が立ち上がり、光秀を元親の隣に転がして 何事も無い顔で座り直す。 元就が戻ってきて味噌汁と小さめの握り飯を三成に差し出す。 「…味噌汁だけで良い」 「黙れ」 「貴様が黙れ」 「徳川と長曾我部に挟まれて眠りたいか貴様」 「断る」 三成が味噌汁を飲んで少し黙り、元就を見る。 元就が握り飯を指差すと、三成はそれをかじった。 「…どうだ石田」 「…毛利、貴様…まさかとは思うが…この味」 「なんだ」 「…半兵衛様の味と…似ている」 「…そうか。それなら、食せるであろう?」 「…何故だ?」 「さあ、知らぬ。先に休むぞ」 元就が端に転がると、少しして三成が端に入ってきた。 元就は光秀の隣に押し込まれる。 「貴様何をする」 「煩い。私は端が良い」 「餓鬼め」 「…寝ろ」 仰向けの元就に身体を向けて三成がじっと視線を送ると 元就が振り向く 「目を閉じぬか」 「貴様が閉じろ」 元就が目を閉じると、突然肩をつかまれ身体を三成の方に向けるように転がされる 元就が目を開くとすぐ上に三成の顔があった 「童か貴様」 「煩い」 軽く口付けられ、元就が目を大きくすると 三成の手が元就の帯に掛かる 元就は素早くその手を掴んだ 「毛利、手を離せ。解けん」 「解いてどうする貴様」 「説明が必要か」 「…隣に3人も居る」 「恥ずかしいのか」 「貴様狂って居るのか」 「ならば別の部屋に」 そう言いながら起き上がろうとする三成の肩を掴んで寝かせる 「今晩は、大人しく寝ろ」 「…貴様私を馬鹿にしているのか?」 「ゆっくり、できぬ。またそのうちに」 「約束しろ。次私が貴様の家に行った時に」 「莫迦か貴様」 突然三成が起き上がり、元就を押し倒すように上にのしかかる まずい。そう思った元就は平静を装い三成の胸を軽く叩いた 「次な、わかった」 「約束できるか」 「…覚えていたらな」 「約束しないのなら今」 「わかった、約束、する」 三成は小さく溜め息を吐いて寝転び そのまま目を閉じて眠る準備をしている 三成が寝入った後に元就は少しだけ距離を開けて目を閉じた どいつもこいつも、頭がおかしいのか? *** 早起きした光秀が隣の元就と三成を見て、そっと元就の手を掴んだ。 三成に抱きつかせて、三成の手も元就を抱き締めさせる。 さてどんな反応をするんでしょう? そっと元就の額に口付けて起き上がった。 暇なのでついでに元親と家康も起こしてみる。 眠そうではあったがとりあえず三成と元就を見て目を覚ましたらしい。 元親が二人を覗き込み、元就の髪を撫でた 「…おい明智、これお前の仕業か?」 「はい。素敵でしょう?」 「二人ともなんか可愛いなあ」 「本当に可愛いな」 家康が楽しそうに二人を眺めている。 ふと元就が目を覚まし、目の前の三成を見上げる。 眉間に皺を寄せ、少し頭を上げた 「明智、貴様か?遊んだのは」 「あらら、何故わかるんですか」 「石田、起きよ、重い、腕」 三成が目を薄く開けて元就を見た。 身体を伸ばしながらぐっと元就を強く抱き締めた後、目を大きくして驚いている。 「毛利貴様何をしている」 「貴様の腕が重いのだ馬鹿が」 「…」 無言で起き上がり、三成が元就の頭を掴む。元就は動けない。 「毛利、私の食事は貴様が作れ」 「貴様殺されたいか」 「私は貴様の飯しか食わん」 そう言って三成が部屋を出ると、全員が三成を目で追ってから元就を見た。 元就は思わず目をそらして起き上がる。 何事だ。 「ちょ、毛利、お前石田と何があった…」 「さあ、我にもわからぬ」 元就は首を伸ばしてから台所へ向かう。 光秀が残っている二人を見た。 「私たちの分も作ってくれると思います?」 二人は首を横に振って、元親が台所へ向かった。 「おい毛利!息子の分だけ作んないでお父さんの分も作…」 飛んできた包丁は元親の耳スレスレの柱に刺さった。 思わず元親が動きを止めると、元就がその包丁を引き抜く。 「手が滑ったわ」 「…良い性格してるよな」 「貴様ほどではない」 「石田と何かあったのか?」 「…さあ、何のことだか」 「絶対あったろ」 「それより長曾我部、食事を摂ったらすぐに出るから…ちょっと来い」 「あ?」 元親が元就に寄っていくと、元就が馬の餌を指さす。明らかに重そうだ。 「三頭居る。食事と水と、毛並みも揃えて来い」 「何で俺が」 元就が元親の襟を掴み、引き寄せ、唇を重ね、じっと元親の目を見る。 元親は顔を真っ赤にして顔を背けた。 「わあったよ!やりゃいいんだろ!そのかわりお前俺と馬乗れ、わかったか!」 「貴様がどうしても我と乗りたいなら構わぬが?」 「うるせえ!お前は俺と乗れ!わかったな!」 餌を持って出て行く元親の背中を見て元就が眉を片方上げた。 自分からする時は堂々としている癖に、おかしな奴だ。 食事を摂り、元就が昼食を光秀に渡すと、光秀はそれを馬に縛り、元就を見る。 「元就公、私と乗ってくれないんですか?」 「長曾我部と乗る。こいつは敵が来た時左に若干の隙があるからな」 「私も髪で隠れるんですけど」 「縛れ阿呆」 「私が家康と乗るのか。不快だな。家康、貴様走れ」 「酷いぞ三成。少しは我慢しろよ。 あとできるだけがっちり抱きついてくれ。寒いから」 「つねってやる」 「三成…」 外はまだ寒い。 元就は元親の後ろに乗り、その肩に毛皮を巻いた。 元親が笑って元就の手を撫でる。 「さあ毛利、安芸まで道案内を頼むぜ」 |